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佳肴
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かこう
ふりがな文庫
“
佳肴
(
かこう
)” の例文
そこに並んだのは、美酒と
佳肴
(
かこう
)
と数十基とも知れぬ
銀燭
(
ぎんしょく
)
と、そして、十二三から二十五六までの一粒
選
(
よ
)
りの美女が二十人ばかり。
銭形平次捕物控:088 不死の霊薬
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
と、ある限りの湯女を一席にあつめ、ある限りの酒と
佳肴
(
かこう
)
を
供
(
そな
)
えて、介三郎をもてなそうとしたが、介三郎はほどよくかれを外へ連れ出して
梅里先生行状記
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
土井の出て行った後で、私は下宿のまずい晩飯の
箸
(
はし
)
を取った。……彼らの
美酒
(
びしゅ
)
佳肴
(
かこう
)
の華やかな宴席を想像しながら。が土井は間もなく引返してきた。
遁走
(新字新仮名)
/
葛西善蔵
(著)
悪く評すれば文明を珍膳
佳肴
(
かこう
)
のごとく考えて、一箸ずつは
嘗
(
な
)
め試みる神農主義、たとえばこの辺の何文堂の店に、日蓮・大本・忍術・姓名・哲学の類から
雪国の春
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
卵から出た幼虫は親の
据
(
す
)
え
膳
(
ぜん
)
をしておいてくれた
佳肴
(
かこう
)
をむさぼり食うて生長する、充分飽食して眠っている間に幼虫の単純なからだに複雑な変化が起こって
簔虫と蜘蛛
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
▼ もっと見る
卓上の
銀燭
(
ぎんしょく
)
は
青烟
(
せいえん
)
を
吐
(
は
)
き、
垂幕
(
すいばく
)
の金糸銀糸は鈍く光って、寝台には赤い小さな机が置かれ、その上に美酒
佳肴
(
かこう
)
がならべられて、数刻前から客を待ち顔である。
竹青
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
最初に
鼈
(
すっぽん
)
の
肉羹
(
スープ
)
が出、つづいて
牛脇腹
(
うしわきはら
)
の
油揚
(
コツレツ
)
、
野鴨全焼
(
ローチ
)
という工合に次から次に珍味
佳肴
(
かこう
)
が運び出される。
平賀源内捕物帳:長崎ものがたり
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
手摺
(
てすり
)
からマストまで紅白の布で巻き立てて、
毛氈
(
もうせん
)
や
絨壇
(
じゅうたん
)
を敷き詰めた上に、珍味
佳肴
(
かこう
)
が山積して在る。
爆弾太平記
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
と
頻
(
しきり
)
に歎息しける時お登和嬢は日本料理の御馳走が出来たりとて
食卓
(
てーぶる
)
の上へ珍味
佳肴
(
かこう
)
を運び来る。
食道楽:秋の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
今日はこうして
扶桑
(
ふそう
)
第一といわれる風景のところに、絶世の美人で、そうして一代の詩人に迎えられて、水入らずにお月見——美酒あり、
佳肴
(
かこう
)
あり、
毛氈
(
もうせん
)
あり、文台がある。
大菩薩峠:34 白雲の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
十一
月
(
ぐわつ
)
の二十八
日
(
にち
)
は
旦那
(
だんな
)
さまお
誕生日
(
たんぜうび
)
なりければ、
年毎
(
としごと
)
お
友達
(
ともだち
)
の
方々
(
かた/″\
)
招
(
まね
)
き
參
(
まい
)
らせて、
坐
(
ざ
)
の
周旋
(
しうせん
)
はそんじよ
夫
(
そ
)
れ
者
(
しや
)
の
美
(
うつ
)
くしきを
撰
(
ゑ
)
りぬき、
珍味
(
ちんみ
)
佳肴
(
かこう
)
に
打
(
うち
)
とけの
大愉快
(
おほゆくわい
)
を
盡
(
つく
)
させ
給
(
たま
)
へば
われから
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
概
(
がい
)
して、たいのような赤色皮の魚がよい。青黒色の魚はなんであっても感心しない。しかし、青黒皮のはもは例外の
佳肴
(
かこう
)
である。要するに、焼き魚という条件を中心にして工夫すべきである。
夜寒に火を囲んで懐しい雑炊
(新字新仮名)
/
北大路魯山人
(著)
内容は密会であるが、形式は金吾家のこころ祝いというわけで、座にはきらびやかに
屏風
(
びょうぶ
)
をめぐらし、
煌々
(
こうこう
)
と
燭
(
しょく
)
を列ね、さすが特別収入のある連盟だけに、美酒
佳肴
(
かこう
)
の
配膳
(
はいぜん
)
にもぬかりはなかった。
思い違い物語
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
さりながら黒衣ぬし、今日は和主は
客品
(
かくぼん
)
にて、居ながら
佳肴
(
かこう
)
を
喰
(
くら
)
ひ得んに、なにを苦しんでか自ら
猟
(
かり
)
に出で、かへつてかかる危急き目に逢ふぞ。毛を吹いて
痍
(
きず
)
を求むる、
酔狂
(
ものずき
)
もよきほどにしたまへ。
こがね丸
(新字旧仮名)
/
巌谷小波
(著)
先刻とはべつな閣室に、花を飾り、美姫をめぐらし、善美な
佳肴
(
かこう
)
と、
紅酒黄醸
(
こうしゅこうじょう
)
の瓶をそなえて、曹操は、彼を待っていた。
三国志:05 臣道の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
珍味
佳肴
(
かこう
)
を供し、華美相競うていたずらに
奢侈
(
しゃし
)
の風を誇りしに過ぎざるていたらくなれば、未だ以て真誠の茶道を解するものとは称し難く、
降
(
くだ
)
って義政公の時代に及び
不審庵
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
それは困る……折角今日まで美酒
佳肴
(
かこう
)
をさしあげて、貴殿の精をよくしておいたのに、今になってお食事が細ると、貴殿の人胆の
効目
(
ききめ
)
がうすくなる。
江戸三国志
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
そして信長の
一顧
(
いっこ
)
の言、或いは一笑にでも触れて
退
(
さ
)
がれば、献物の珍器
宝什
(
ほうじゅう
)
や美酒
佳肴
(
かこう
)
の百倍千倍にも値いするものを獲たような歓びを抱いてみな帰り去るのである。
新書太閤記:07 第七分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
かつ席をあらためて、酒宴をひらき、成都の美酒、四川の
佳肴
(
かこう
)
、下へもおかずもてなした。
三国志:10 出師の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
彼らの卓は、たちまち、次々と運び出される
佳肴
(
かこう
)
で埋まった。うま煮、焼肉、丸揚げ、菜汁、
果盆
(
かぼん
)
。こなたの武行者が、ちらちら横目で見たぐらいでは、品数もかぞえきれない。
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
指物師の上手に作らせた五尺ほどな小棚の多い
水屋棚
(
みずやだな
)
を作らせ、それに
数々
(
かずかず
)
な珍味
佳肴
(
かこう
)
を入れ、
爼板
(
まないた
)
、
庖丁
(
ほうちょう
)
のたぐいまで、ふさわしいのを添え、或る折、田沼の慰めに送ったらしい。
美しい日本の歴史
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
玄徳は、敵の虜将たる二人を、美酒
佳肴
(
かこう
)
の前にならべて置いてこういった。
三国志:05 臣道の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
一樽
(
ひとたる
)
の美酒と、幾重ねの
佳肴
(
かこう
)
などが、舟から舟へ手渡された。
新書太閤記:08 第八分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
“佳肴”の意味
《名詞》
佳 肴(かこう)
美味しい料理。
(出典:Wiktionary)
佳
常用漢字
中学
部首:⼈
8画
肴
漢検準1級
部首:⾁
8画
“佳肴”で始まる語句
佳肴杯盤
佳肴芳盞
佳肴鮮味