づく)” の例文
鉢植はちうえのつるばらがはやると見えて至るところの花屋の店に出ている。それが、どれもこれも申し合わせたようにいわゆる「懸崖けんがいづくり」に仕立てたものばかりである。
錯覚数題 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
學校に入りてよりは、「パラツツオオ、デル、ドリア」のひさしづくりの平屋根より笑ひ戲るゝ群を見ることを許されしのみ。すべて街のこなたよりかなたへ行くことだに自由ならず。
みせは二けん間口まぐちの二かいづくり、のきには御神燈ごしんとうさげてじほ景氣けいきよく、空壜あきびんなにらず、銘酒めいしゆあまたたなうへにならべて帳塲ちようばめきたるところもみゆ、勝手元かつてもとには七りんあほおと折々をり/\さわがしく
にごりえ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
時のうらかたも神のみすゞりも、十四五なるわらべ、ぢやえぢきかざて、おたかべのあらば、お祭りのあらば、うにきやらやほこて、又からやほこて、作るづくりも時々に出来できて、御祝事おいわひごとばかり
ユタの歴史的研究 (新字新仮名) / 伊波普猷(著)
懸崖けんがいづくりのつるばら」のようなものであるという例証にはなるかと思う。
錯覚数題 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
夜目よめなればこそだしもなれひるはづかしき古毛布ふるげつと乘客のりてしなさぞぞとられておほくはれぬやせづくこめしろほどりやしや九尺二間くしやくにけんけぶりつなあはれ手中しゆちゆうにかゝる此人このひと腕力ちからおぼつかなき細作ほそづくりに車夫しやふめかぬ人柄ひとがら華奢きやしやといふてめもせられぬ力役りきえき社會しやくわいつたとは請取うけとれず履歴りれき
別れ霜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)