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わびずまい
ふりがな文庫
“
佗住居
(
わびずまい
)” の例文
裏路地
(
うらろじ
)
の
佗住居
(
わびずまい
)
も
自
(
みずか
)
ら
安
(
やすん
)
ずる処あらばまた全く画興詩情なしといふべからず、金殿玉楼も心なくんば春花秋月なほ
瓦礫
(
がれき
)
に
均
(
ひと
)
しかるべし。
矢はずぐさ
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
落城後
(
らくじょうご
)
私
(
わたくし
)
があの
諸磯
(
もろいそ
)
の
海辺
(
うみべ
)
に
佗住居
(
わびずまい
)
をして
居
(
い
)
た
時分
(
じぶん
)
などは、
何度
(
なんど
)
も
何度
(
なんど
)
も
訪
(
おとず
)
れて
来
(
き
)
て、
何
(
なに
)
かと
私
(
わたくし
)
に
力
(
ちから
)
をつけてくれました。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
二人だけの
佗住居
(
わびずまい
)
を淋しがる彼女ではなかったのに、何かの異常なものの予感に堪えきれなくなったらしい。だが、それが何であるかは、彼にはまだ分らなかった。
苦しく美しき夏
(新字新仮名)
/
原民喜
(著)
彼女の立ちすぐれた
眉目形
(
みめかたち
)
は
花柳
(
かりゅう
)
の人たちさえうらやましがらせた。そしていろいろな風聞が、清教徒風に質素な早月の
佗住居
(
わびずまい
)
の周囲を
霞
(
かすみ
)
のように取り巻き始めた。
或る女:1(前編)
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
建てつけの悪い窓を、やっとあけると、葡萄棚の下に鶏が三羽、埃の中に膨らんで、背戸の松薪の、山のようなのも山家らしい
佗住居
(
わびずまい
)
、日はまだあるが、鼠に曳かれそうで心細い。
スウィス日記
(新字新仮名)
/
辻村伊助
(著)
▼ もっと見る
同十五年には今までの古い家を壊して、その跡に新築することになり、
傍
(
そば
)
にあった小屋で一冬を過すことになった。郷里から次姉が迎えられたが、この不自由な
佗住居
(
わびずまい
)
で
炊事
(
すいじ
)
の手伝をしていた。
夢は呼び交す:――黙子覚書――
(新字新仮名)
/
蒲原有明
(著)
見る蔭もない
茅屋
(
ぼうおく
)
に
佗住居
(
わびずまい
)
を致して居ります、此の
後
(
ご
)
とも幾久しく……
菊模様皿山奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
虚言
(
うそ
)
と思うなら目にも三坪の
佗住居
(
わびずまい
)
。珍々先生は現にその妾宅においてそのお妾によって、実地に安上りにこれを味ってござるのである。
妾宅
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
母
(
はは
)
の
方
(
ほう
)
でも
私
(
わたくし
)
が
諸磯
(
もろいそ
)
の
佗住居
(
わびずまい
)
にくすぼり
返
(
かえ
)
っていた
時
(
とき
)
に
比
(
くら
)
べて、あまりに
若々
(
わかわか
)
しく、あまりに
元気
(
げんき
)
らしいのを
見
(
み
)
て、
自分
(
じぶん
)
の
事
(
こと
)
のように
心
(
こころ
)
から
歓
(
よろこ
)
んでくれました。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
草深いその
佗住居
(
わびずまい
)
——佗住居と妻は云っていた——には、夏になると、いろんな昆虫がやって来た。
吾亦紅
(新字新仮名)
/
原民喜
(著)
有助貴様も己と根岸に
佗住居
(
わびずまい
)
をしていた時を思えば、元々じゃアないか
菊模様皿山奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
潜門
(
くぐりもん
)
の板屋根には
痩
(
や
)
せた柳が
辛
(
から
)
くも若芽の緑をつけた枝を
垂
(
たら
)
している。冬の昼過ぎ
窃
(
ひそ
)
かに
米八
(
よねはち
)
が病気の
丹次郎
(
たんじろう
)
をおとずれたのもかかる
佗住居
(
わびずまい
)
の
戸口
(
とぐち
)
であったろう。
すみだ川
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
あなたと
私
(
わたくし
)
とは
幼
(
おさな
)
い
時代
(
とき
)
からの
親
(
した
)
しい
間柄
(
あいだがら
)
……
殊
(
こと
)
にあなたが
何回
(
なんかい
)
も
私
(
わたくし
)
の
佗住居
(
わびずまい
)
を
訪
(
おとず
)
れていろいろと
慰
(
なぐさ
)
めてくだされた、あの
心尽
(
こころづく
)
しは
今
(
いま
)
もうれしい
思
(
おも
)
い
出
(
で
)
の
一
(
ひと
)
つとなって
居
(
お
)
ります。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
秋の雨しとしとと降りそそぎて、虫の
音
(
ね
)
次第に消え行く郊外の
佗住居
(
わびずまい
)
に、
倦
(
う
)
みつかれたる
昼下
(
ひるさが
)
り、尋ね
来
(
きた
)
る友もなきまま、独り
窃
(
ひそか
)
に浮世絵
取出
(
とりいだ
)
して眺むれば、ああ
浮世絵の鑑賞
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
何故
(
なぜ
)
というに神社の境内に近く
佗住居
(
わびずまい
)
して読書に
倦
(
う
)
み苦作につかれた折
窃
(
そっ
)
と着のみ着のまま
羽織
(
はおり
)
も
引掛
(
ひっか
)
けず我が
家
(
や
)
の庭のように静な裏手から人なき境内に
歩入
(
あゆみい
)
って
日和下駄:一名 東京散策記
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
青山竜巌寺の松は北斎の錦絵『
富嶽卅六景
(
ふがくさんじゅうろっけい
)
』中にも描かれてある。私は大久保の
佗住居
(
わびずまい
)
より遠くもあらぬ青山を目がけ昔の江戸図をたよりにしてその寺を捜しに行った事がある。
日和下駄:一名 東京散策記
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
路地はそれらの浮世絵に見る如く今も昔と変りなく
細民
(
さいみん
)
の棲息する処、日の当った表通からは見る事の出来ない
種々
(
さまざま
)
なる生活が
潜
(
ひそ
)
みかくれている。
佗住居
(
わびずまい
)
の
果敢
(
はかな
)
さもある。隠棲の平和もある。
日和下駄:一名 東京散策記
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
その
傍
(
そば
)
の
煤
(
すす
)
けた柱に
貼
(
は
)
った
荒神様
(
こうじんさま
)
のお
札
(
ふだ
)
なぞ、一体に汚らしく乱雑に見える周囲の
道具立
(
どうぐだて
)
と
相俟
(
あいま
)
って、
草双紙
(
くさぞうし
)
に見るような何という
果敢
(
はかな
)
い
佗住居
(
わびずまい
)
の情調、また
哥沢
(
うたざわ
)
の節廻しに唄い古されたような
妾宅
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
佗
漢検1級
部首:⼈
7画
住
常用漢字
小3
部首:⼈
7画
居
常用漢字
小5
部首:⼫
8画
“佗住”で始まる語句
佗住