二日ふたひ)” の例文
帰るべき家なしと言張りて、一日ひとひ二日ふたひすぐうちに、漁師夫婦の質朴なるに馴染なじみて、不幸なる我身の上を打明けしに、あはれがりて娘として養ひぬ。ハンスルといふは、この漁師の名なり。
うたかたの記 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
いつぞは正氣しやうきかへりてゆめのさめたるごとく、父樣とゝさま母樣かゝさまといふをりのありもやすると覺束おぼつかなくも一日ひとひ二日ふたひたれぬ、空蝉うつせみはからをつゝもなぐさめつ、あはれかどなるやなぎ秋風あきかぜのおとこえずもがな。
うつせみ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
住みつかぬ山のいほりはけうとけどまだそぞろなり一日ひとひ二日ふたひ
雀の卵 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
さて、ひと日過ぎ、二日ふたひ過ぎ
晶子詩篇全集拾遺 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
うたがふはつみふかきことなり一日ひとひ二日ふたひ待給まちたま御返事おへんじまゐるはぢやうぞとひしにちがひはかるべししさうならばなんとせん八重やへうへもなき恩人おんじんなればなにごとなりともることしてよろこばせたしとししたなれど分別ふんべつあるひととてことばすくなゝればねがひはあるのぞみはなしやがたきを
五月雨 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
便たよりまつ一日ひとひ二日ふたひうれしきやうなづかひな八重やへ遠慮ゑんりよらぬものゝまたすかとおもはるゝもはづかしくじつとこらゆる返事へんじ安否あんぴもしやとおもへば萬一もしやになるなり八重やへ大丈夫だいじやうぶ受合うけあへどそれやすめのことばなるべしふみとても御受取おうけとりになりしやならずや其塲そのばそのま〻御突おつもどしになりたるを
五月雨 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)