世界中せかいぢゆう)” の例文
しかもその苛責かしやくわかつて、ともくるしんでれるものは世界中せかいぢゆう一人ひとりもなかつた。御米およねをつとにさへこのくるしみをかたらなかつたのである。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
屹度きツとたまちやんは世界中せかいぢゆうで一ばんねこちがひないわ!おゥ可愛かあいたまちやん!わたし今迄いまゝでのやうに始終しゞゆうまへそばられるかしら!
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
亞弗利加洲アフリカしうにアルゼリヤといふくにがある、凡そ世界中せかいぢゆう此國このくにひとほど怠惰者なまけものはないので、それといふのも畢竟ひつきやう熱帶地方ねつたいちはうのことゆえ檸檬れもんや、だい/\はなき亂れてそのならぬかほり四方よもちこめ
怠惰屋の弟子入り (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
ぴきいぬえながらかれふ。うしろはうでは農夫のうふさけぶ。イワン、デミトリチは兩耳りやうみゝがガンとして、世界中せかいぢゆうあらゆる壓制あつせいが、いまかれ背後うしろせまつて、自分じぶん追駈おひかけてたかのやうにおもはれた。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
今日けふ役所やくしよ同僚どうれうが、此間このあひだ英吉利イギリスから來遊らいいうしたキチナー元帥げんすゐに、新橋しんばしそばつたとはなしおもして、あゝ人間にんげんになると、世界中せかいぢゆう何處どこつても、世間せけんさわがせるやう出來できてゐるやうだが
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)