不肖ふせう)” の例文
また床次君のやうに自分が偉人らしい言草いひぐさも気に喰はぬ、不肖ふせうながら朝夕南洲翁にいてゐたから、翁の面目めんもくはよく知つてゐるが
かねうけたまはる、かれちゝなる濱島武文氏はまじまたけぶみしと、春枝夫人はるえふじんとのこゝろざしかはつて、不肖ふせうながら日出雄少年ひでをせうねん教育きよういくにんをば、これからこの櫻木重雄さくらぎしげを引受ひきうけませう。』
つかはす夫にて皆々不肖ふせう致せと白洲の外に控へ居たる一人の男を呼出よびいだされしに久しく日の目を見ざりしと見え顏色かほいろあしけれ共よく肥太こえふとりたりイザ此者を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
自分の餘命と藝術を、不肖ふせうの伜に捧げ盡して惜まなかつた、初代勘兵衞の欺瞞ぎまんは、何は兎もあれ、一應は許さなければならない種類のものだつたのです。
さまでにおほせくだされさふらへば、きつとかしこまさふらふそれがし不肖ふせうなる、なにもつ御言おことばむくたてまつらむ
十万石 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
われかつたびつかへてたびきみはる。鮑叔はうしゆくわれもつ(九)不肖ふせうさず、ときはざるをればなりわれかつたびたたかうてたびはしる。鮑叔はうしゆくわれもつけふさず、われ老母らうぼるをればなり
不肖ふせう家時、清和の嫡流ちやくりうに生まるといへど、かなしいかな、徳なく才とぼしく、家祖の遺託にこたふるあたはずして、苦計むなしくやぶれ、かへつて、家統も危きを見、わづかに家名の絶えを支へんため
私本太平記:01 あしかが帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
たとへそれがし不肖ふせうとい
鬼桃太郎 (旧字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
承はり度と申ければ文右衞門其仔細そのしさいと申は最早八ヶ年以前の事にて御家の騷動出來致し忠臣は退しりぞ佞奸邪智ねいかんじやちともが蔓延はびこるに付不肖ふせうながらも是をたゞ些少いさゝか忠義を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
この大使命だいしめいには不肖ふせうながらわたくしあたりませう。』といふと大佐たいさおほいよろこ
殺害せつがいなしたるならめ如何元益其方弟の頼を受け小西屋へ行きし事あるかと問れて此方はかたちあらたはお奉行のお言葉とも覺えず不肖ふせうながら山田元益仁術にんじゆつとする醫道いだう
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)