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三界
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さんがい
ふりがな文庫
“
三界
(
さんがい
)” の例文
古来伝うるところの
偈文
(
げもん
)
には、「迷うがゆえに
三界
(
さんがい
)
常あり、悟るがゆえに十方空なり。本来東西なし、いずれの所にか南北あらん」
迷信と宗教
(新字新仮名)
/
井上円了
(著)
「一人でね。でも、いゝわね。男のひとは、何とか、落ちつくさきがみつかるもンだけど、女つてものは、
三界
(
さんがい
)
に家なしだから」
浮雲
(新字旧仮名)
/
林芙美子
(著)
……その
三界
(
さんがい
)
無縁の一匹の蛆虫が、コンナにまでも戦慄し、驚愕して、云い知れぬ良心の呵責をさえ受けている原因はどこに在るのだろう。
戦場
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
自分はいくらお
貞
(
さだ
)
さんが母のお気に入りだって、そのために彼女がわざわざ大阪
三界
(
さんがい
)
まで出て来るはずがないと思った。
行人
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
この場合わが身一つの外に、
三界
(
さんがい
)
の
首枷
(
くびかせ
)
というもののないことは、誠にこの上もない幸福だと思わなければならない。
西瓜
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
▼ もっと見る
如
(
し
)
かず椽先の飛石に投げうつて昔に返る
粉
(
こ
)
な
微塵
(
みじん
)
、宿業全く終りて永く
三界
(
さんがい
)
の
輪廻
(
りんね
)
を免れんには。汝もし霊あらば庭下駄の片足を
穿
(
うが
)
ちて
疾
(
と
)
く西に帰れ。
土達磨を毀つ辞
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
「君。廢語があるんなら、復活語もありさうなもんぢやないか」「もちろん、ありますとも」「たとへば?」「たとへばですね。——子は
三界
(
さんがい
)
の
首
(
くび
)
つ
枷
(
かせ
)
」
折々の記
(旧字旧仮名)
/
吉川英治
(著)
三界
(
さんがい
)
に焼ける火、王宮といえども逃れられはしませんぞ。十善の帝位に誇られる身であっても、黄泉の国に行かれてから、
牛頭馬
(
ごずめ
)
の責を免れられぬのですぞ
現代語訳 平家物語:05 第五巻
(新字新仮名)
/
作者不詳
(著)
葉子がもし木村であったら、どうしておめおめ米国
三界
(
さんがい
)
にい続けて、遠くから葉子の心を翻す手段を講ずるようなのんきなまねがして済ましていられよう。
或る女:2(後編)
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
わしたちがもしことを起こさなかったらだれかがきっと起こしたろう。われわれはただ選ばれたのにすぎない。
三界
(
さんがい
)
をさまようている
怨霊
(
おんりょう
)
につかれたのにすぎない。
俊寛
(新字新仮名)
/
倉田百三
(著)
私は
杣口
(
そまぐち
)
の母の実家に帰って来た。けれど、父の家が私の家でなかったように、ここもまた私の真の家ではなかった。私は
三界
(
さんがい
)
に家なき
哀
(
あわ
)
れな
居候
(
いそうろう
)
にすぎなかった。
何が私をこうさせたか:――獄中手記――
(新字新仮名)
/
金子ふみ子
(著)
お土産も前日にまさる多額のもので、土塀のあるじはただもう雲中を歩む思いで烏帽子を置き忘れて帰宅し、娘を呼んで、女
三界
(
さんがい
)
に家なし、ここはお前の家ではない
新釈諸国噺
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
悠々として
倫敦
(
ロンドン
)
三界
(
さんがい
)
から
欧羅巴
(
ヨーロッパ
)
の目抜きを横行して、
維納
(
ウィンナ
)
の月をながめて帰ることができました。
大菩薩峠:22 白骨の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
どこと云って
三界
(
さんがい
)
宿なし、一泊御報謝に預る気で参ったわけで。なかなか家つきの幽霊、
祟
(
たたり
)
、
物怪
(
もののけ
)
を済度しようなどという道徳思いも寄らず。実は入道
名
(
な
)
さえ持ちません。
草迷宮
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
京
三界
(
さんがい
)
まで一緒に連れ立って来て、弟に苦労さするが兄の手柄か、少しは御分別なされませ
鳥辺山心中
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
何しろアメリカ
三界
(
さんがい
)
を渡り歩いていろいろなことをして来た人間です。御承知の如く
手蔓
(
てづる
)
を求めて
何処
(
どこ
)
の家庭へでもずるずるべったりに入り込むことには妙を得ている男です。
細雪:02 中巻
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
ドッカと
坐
(
ざ
)
して飛散りし花を
捻
(
ひね
)
りつ
微笑
(
びしょう
)
せるを、
寸善尺魔
(
すんぜんしゃくま
)
の
三界
(
さんがい
)
は
猶如
(
ゆうにょ
)
火宅
(
かたく
)
や。
風流仏
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
「
音無
(
おとな
)
しく、彼奴、麻布の狸穴に引っ込んでればよかったんだ。——何もこんな小梅
三界
(
さんがい
)
へ這出して来るこたァなかったんだ。——こんなとこへのこ/\這出して来たりゃこそ
畢竟
(
ひっきょう
)
そんなことにもなったんだ。」
春泥
(新字新仮名)
/
久保田万太郎
(著)
小笠原
三界
(
さんがい
)
出でてはるばると帰りつきたりこの戸
開
(
ひら
)
かせ
雀の卵
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
悲願の尊者、
諸菩薩
(
しよぼさつ
)
よ、ただ
三界
(
さんがい
)
に
流浪
(
るらう
)
する
有明集
(旧字旧仮名)
/
蒲原有明
(著)
三界
(
さんがい
)
かけての、素間抜け野郎でさあ
南国太平記
(新字新仮名)
/
直木三十五
(著)
「迷故三界常、悟故十方空、本来無東西、奈所有南北。」(迷うはもとより
三界
(
さんがい
)
の常、悟るはもとより十方空。本来東西なし、いかなる所、南北ある)
妖怪学
(新字新仮名)
/
井上円了
(著)
したもので、各大学の法医学部と、私の持っている参考書の著者に五百部だけ贈呈したものなんだが、それがどうして
亜米利加
(
アメリカ
)
三界
(
さんがい
)
まで行ったんだろう
暗黒公使
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
諺
(
ことわざ
)
に女は
三界
(
さんがい
)
に家なしと申しまして、この世に女の立てた家はございません、本来、
女人
(
にょにん
)
というものは、物を使いつぶすように出来ている身でございまして、物を守って
大菩薩峠:40 山科の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
僕だって朝鮮
三界
(
さんがい
)
まで駈落のお供をしてくれるような、
実
(
じつ
)
のある女があれば、こんな変な人間にならないで、すんだかも知れませんよ。実を云うと、僕には細君がないばかりじゃないんです。
明暗
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
悪魔よ来たれ。わしは汝に今こそ親しく呼びかけるぞ。わしは
三界
(
さんがい
)
に
怨霊
(
おんりょう
)
というもののできる理由を今こそ知った。わしのごとく
遇
(
ぐう
)
せられて死んだものの霊が、
怨霊
(
おんりょう
)
にならずして何になるのだ。
俊寛
(新字新仮名)
/
倉田百三
(著)
三界
(
さんがい
)
に家なしといふ
女子
(
をみなご
)
を突き
出
(
いだ
)
したりまた見ざる
外
(
と
)
に
雀の卵
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
三界
(
さんがい
)
・ふぶき
月夜
(
づくよ
)
雲霧閻魔帳
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
仏語に「迷うがゆえに
三界
(
さんがい
)
常あり、悟るがゆえに十方空なり。本来東西なし。いずれの所にか南北あらん」とあるは、鬼門の迷信を諭すに最も適切の
偈文
(
げもん
)
であると思う。
迷信解
(新字新仮名)
/
井上円了
(著)
小笠原
三界
(
さんがい
)
に来て
現身
(
うつしみ
)
やいよいよ痩せぬ
飯
(
いひ
)
は
食
(
は
)
めども
雀の卵
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
“三界”の解説
仏教における三界(さんがい、sa: tri-dhātu、または梵: त्रिलोक, IAST:triloka)とは、欲界・色界・無色界の三つの世界のことであり、衆生が生死を繰り返しながら輪廻する世界をその三つに分けたもの。三有(さんう)ともいう。
欲界よりも色界のほうが、色界よりも無色界のほうが、いっそうすぐれた生存のしかたであると考えられており、その場所も、欲界が最下にあり、無色界が最上に位置する。
(出典:Wikipedia)
三
常用漢字
小1
部首:⼀
3画
界
常用漢字
小3
部首:⽥
9画
“三界”で始まる語句
三界流転
三界六道
三界城
三界義
三界一心
三界万霊
三界乞食
三界無宿
三界風雨
三界一心記