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せうりやう
貧乏な
所帶であれば
彼等は
幾ら
少量でも
不足をいはぬ。
然し
多少の
財産を
有して
居ると
彼等が
認めて
居る
家でそれを
惜めば
彼等は
不平を
訴へて
止まぬ。
重湯か、
薄粥、
或は
麺麭を
少量と
言はれたけれども、
汽車で、そんなものは
得られなかつた。
乘通しは
危險だから。……で、
米原で
泊つたが、
羽織も
着ない
少年には、
粥は
煮てくれぬ。
彼等はじり/\と
喉が
焦げる
樣に
感じても
苦い
顏を
蹙めつゝ
飮んで
見る
者さへある。
比較的少量な
酒が
注ぐ
度に
手にする
度に
筵の
上に
滾れても
彼等は
惜まない。
其の
根を
乾燥して
粉にして
入れゝば
蕎麥の
分量が
滅切殖えるといふので、
滿腹する
程度に
於ては
只管食料の
少量なることのみを
望んで
居る
勘次は
毎年作つて
屹度それを
用ひつゝあつた。