美人びじん)” の例文
よねさんにまけない美人びじんをとつて、若主人わかしゆじんは、祇園ぎをん藝妓げいしやをひかして女房にようばうにしてたさうでありますが、それもくなりました。
雪霊記事 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
大将たいしょう、きれいなおんないてもらいたいとおもうんだが、すてきな、美人びじんいてくれないか。」と、菓子屋かしや番頭ばんとうがいいました。
生きている看板 (新字新仮名) / 小川未明(著)
あゝ、おれいままでにこひをしたか? やい、まなこよ、せなんだと誓言せいごんせい! 今夜こんやといふ今夜こんやまでは、まこと美人びじんをばなんだわい。
嗟乎あゝをしむべし、かゝる美人びじんこの辺鄙へんひうまれ、昏庸頑夫こんようぐわんふの妻となり、巧妻こうさいつね拙夫せつふともなはれてねふり、荊棘けいきよくともくさらん事あはれむたえたり。
きぬとは何人なんぴとぞ、きみおどろなかれ、藝者げいしやでも女郎ぢよらうでもない、海老茶えびちや式部しきぶでも島田しまだ令孃れいぢやうでもない、美人びじんでもない、醜婦しうふでもない、たゞのをんなである
湯ヶ原より (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
母親ははたいへん縹緻きりょうよしなので、むすめもそれにひなまれなる美人びじんまた才気さいきもはじけてり、婦女おんなみち一ととおりは申分もうしぶんなく仕込しこまれてりました。
されどもてん美人びじんんで美人びじんめぐまずおほくは良配りやうはいざらしむとかいへり、彌生やよひはなかぜかならずさそひ十五夜じふごやつきくもかゝらぬはまことにまれなり
別れ霜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
としころ廿六七、まゆうるはしい口元くちもとやさしい丁度ちやうど天女てんによやう美人びじんわたくし一目ひとめて、この夫人ふじんその容姿すがたごとく、こゝろうるはしく、にも高貴けだか婦人ふじんおもつた。
そのそでをおとりになると、かほかくしましたが、はじめにちらと御覽ごらんになつて、いたよりも美人びじんおぼされて
竹取物語 (旧字旧仮名) / 和田万吉(著)
社會的しやくわいてき觀察くわんさつすれば、よめにもらひのない女文士をんなぶんし救濟家きうさいか(この一失言しつげん取消とりけし。こんなこともあらうかと、はじめに、みな美人びじんだと、御世辭おせじをいつておいたのだが)
頃来このごろ書肆駸々堂主人一小冊を携えて来り、居士に一言をかんせん事を望む、受て之をけみすれば、即ち三遊亭圓朝氏のえんぜし人情談話にんじょうばなし美人びじん生埋いきうめを筆記せるものなり。
松の操美人の生埋:01 序 (新字新仮名) / 宇田川文海(著)
お耳慣れました西洋人情話の外題げだいを、まつみさお美人びじん生埋いきうめとあらためまして…これはいけはた福地ふくち先生が口うつしに教えて下すったお話で、仏蘭西フランス侠客おとこだて節婦せっぷを助けるという趣向
全校ぜんかう評判ひやうばんになつた美人びじんがあつたことはなした。
背負揚 (新字旧仮名) / 徳田秋声(著)
拜見はいけん致しますから何卒どうぞ夫までお寢なさらずにお待なすつて下さいといひつゝ一寸ちよつと男の顏横目よこめで見たはお光の方に深き意の有とも知ず音羽小町と言るゝ程の美人びじんにてらされ庄兵衞五たい宛然さながらとろける如くいつもピンシヤンる娘が今日に限つて自分のはうから夜がふけたらば忍んで行うと言のは
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
おもふに、ゑがける美人びじんは、ける醜女しうぢよよりもなりつたく、かん武帝ぶてい宮人きうじん麗娟りけんとしはじめて十四。たまはだへつややかにしてしろく、うるほふ。
唐模様 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
嗟乎あゝをしむべし、かゝる美人びじんこの辺鄙へんひうまれ、昏庸頑夫こんようぐわんふの妻となり、巧妻こうさいつね拙夫せつふともなはれてねふり、荊棘けいきよくともくさらん事あはれむたえたり。
廷臣ていしんひざはしれば平身低頭へいしんていとうゆめとなり、代言人だいげんにんゆびはしればたちま謝金しゃきんゆめとなり、美人びじんくちびるはしればたちま接吻キッスゆめとなる。
おうさまは、戦争せんそうからおかえりなさると、そのうつくしいおきさきをおもらいになりました。三ごく一の美人びじんですけれど、まだおわらいになったことがありません。
春の日 (新字新仮名) / 小川未明(著)
此處こヽ一つに美人びじん價値ねうちさだまるといふ天然てんねん衣襟えもんつき、襦袢じゆばんえりむらさきなるとき顏色いろことさらしろくみえ、わざ質素じみなるくろちりめんに赤糸あかいとのこぼれうめなどひん一層いつそう二層にそうもよし
暁月夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
あまりにさけんでさけのためにはなあかくなつた獨逸ドイツ陸軍士官りくぐんしくわんや、其他そのほか美人びじん標本へうほんともいふ伊太利イタリー女俳優をんなはいゆうや、いろ無暗むやみくろ印度インドへん大富豪おほがねもち船客等せんきやくらあひだ立交たちまじらつて
そのときわたくし良人おっともおにかかりましたが、あとで、『あんな美人びじんつま男子だんしはどんなに仕合しあわせなことであろう……。』などともうしたくらいに、それはそれはうつくしい花嫁はなよめ姿すがたでございました。
わたしが、獨身どくしんであつたなら!)なかでも、時雨しぐれさんは、美人びじんである(多分たぶん女性ぢよせい美人びじんであるといはれることをよろこぶにちがひない、とわたししんじてゐるのだが——)それからまた、生粹きつすゐ江戸えど
本堂ほんだうぬかづてて、ちてきざはしかたあゆでたるは、年紀としはやう/\二十はたちばかりとおぼしき美人びじんまゆはらひ、鐵漿かねをつけたり。
弥次行 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
もし江戸にいださば朱門しゆもん解語かいごの花をさかせ、あるひは又青楼せいろう揺泉樹えうせんじゆさかえをなし、此隣国りんごく出羽にうまれたる小野の小町が如く美人びじんの名をもなすべきに
こうまよいました。そのおとこむすめというのは、評判ひょうばん美人びじんであったからであります。そして、すぐには返答へんとうができなかったのでかんがえておくことにしました。
幸福に暮らした二人 (新字新仮名) / 小川未明(著)
うつくしうて、かしこうて、わしおもじにさするほど賢過かしこすぎた美人びじんゆゑ、おそらくは冥利みゃうりき、よもや天國てんごくへはのぼれまい。
くちもとはちいさからねどしまりたればみにくからず、一つ一つにとりたてゝは美人びじんかゞみとほけれど、ものいふこゑほそすゞしき、ひと愛嬌あいけうあふれて、のこなしの活々いき/\したるはこゝろよものなり
たけくらべ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
女人藝術げいじゆつは、美人びじんぞろひである。
すもゝにはから背戸せどつゞいて、ちひさなはやしといつていゝくらゐ。あの、そこあまみをびた、美人びじんしろはだのやうな花盛はなざかりをわすれない。
春着 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
もし江戸にいださば朱門しゆもん解語かいごの花をさかせ、あるひは又青楼せいろう揺泉樹えうせんじゆさかえをなし、此隣国りんごく出羽にうまれたる小野の小町が如く美人びじんの名をもなすべきに
まち問屋とんやや、工場こうじょうや、会社かいしゃなどでは、まぐるしく、ひとたちがはたらいているあいだかれは、鼻唄はなうたをうたいながら、さもたのしそうに、美人びじん姿すがたいていました。
生きている看板 (新字新仮名) / 小川未明(著)
馬爪ばづのさしぐしにあるひと本甲ほんかうほどにはうれしがりしものなれども、人毎ひとごとめそやして、これほどの容貌きりよううもとはあたら惜しいもの、ひとあらうならおそらく島原しまばらつての美人びじん
われから (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
むきへて、團扇うちはげて、すらりとつた。美人びじんには差覗さしのぞく……横顏よこがほほ、くつきりと、びん艷増つやましたが、生憎あいにくくさくらかつた。
浅茅生 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
淫慾いんよく財慾ざいよくよくはいづれも身をほろぼすの香餌うまきゑさ也。至善よき人は路に千金をいへ美人びじんたいすれどもこゝろみだりうごかざるは、とゞまることをりてさだまる事あるゆゑ也。
いつのまにか、菓子屋かしや看板かんばん美人びじんは、このまちひとたちの仲間入なかまいりをして、りっぱな存在そんざいになったのであります。
生きている看板 (新字新仮名) / 小川未明(著)
ちらり姿すがたなつすだれごしくやれゆゑしみてか藥師やくしさまの御縁日ごゑんにちにそヾろあるきをするでもなく、ひとまちがほ立姿たちすがたかどにおがみしこともなけれど美人びじんこの近傍かいわいにかくれなしとくは
経つくゑ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
一體いつたいあのへんには、自動車じどうしやなにかで、美人びじん一日いちにちがけと遊山宿ゆさんやど乃至ないし温泉をんせんのやうなものでもるのか、うか、まだたづねてません。
人魚の祠 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
四面しめんみな山にて老樹らうじゆ欝然うつぜんとして翳塞おほひふさぐなかこの美人びじんを見ること愕然びつくりし、是たぬきにあらずんばかならず狐ならんといひければ、岩居がんきよともだちと相顧あひかへりみうつわらふ。
このまちで、いちばんりっぱなおうちなのです。そこのおじょうさんは、評判ひょうばん美人びじんですが、あなたとおなとりが、このあいだまで、かわいがられて、われていたのですよ。
美しく生まれたばかりに (新字新仮名) / 小川未明(著)
一人ひとり如法によはう變屈へんくつものにて一にち部屋へやなかにまぢ/\と陰氣ゐんきらしきむまれなれど、あねのおはな皮薄かわうすの二ぢうあごかわゆらしく出來できたるなれば、美人びじんといふにはあらねども年頃としごろといひひと評判ひやうばんもよく
たけくらべ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
いまは、容子ようすだけでもうたがところはない……去年きよねんはるなかごろから、横町よこちやう門口かどぐちの、數寄すきづくりの裏家うらやんだ美人びじんである。
浅茅生 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
殿とのさまの一人娘ひとりむすめであったひめさまは、またとないほどの美人びじんであったけれど、三にんまでねがいをかけた婿君むこぎみが、一人ひとりいだされなかったことをじて、このやまのぼられ
三つのかぎ (新字新仮名) / 小川未明(著)
中硝子なかがらす障子しやうじごしに中庭なかにはまつ姿すがたをかしと絹布けんぷ四布蒲團よのぶとんすつぽりと炬燵こたつうちあたゝかに、美人びじんしやく舌鼓したつゞみうつゝなく、かどはしたるひろひあれは何處いづこ小僧こそうどん雪中せつちゆうひと景物けいぶつおもしろし
別れ霜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
いまひとおそるゝ、名代なだい天生峠あまふたうげして、あゝつたるゆきかな、と山蛭やまひるそではらつて、美人びじん孤家ひとつや宿やどつたことがある。
麻を刈る (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
そして、あたまうえがくには、支那しな美人びじんはいっていましたが、うつくしい、なよやかな姿すがたが、ちゃをすする瞬間しゅんかんには、さながらものをいうように、真紅まっかくちびるうごくのをおぼえました。
らんの花 (新字新仮名) / 小川未明(著)
園生そのふうゑてもかくれなきもの中村なかむらのおぢやうさんとあらぬひとにまでうはさゝるゝ美人びじんもうるさきものぞかしさても習慣しふくわんこそは可笑をかしけれ北風きたかぜそらにいかのぼりうならせて電信でんしんはしら邪魔じやまくさかりしむかしはわれむかしおもへど良之助りやうのすけ千代ちよむかふときは
闇桜 (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)
で、高尾たかを薄雲うすぐも芳野よしのなど絶世ぜつせい美人びじん身代金みのしろきんすなは人參にんじん一兩いちりやうあたひは、名高なだか遊女おいらん一人いちにん相當さうたうするのであるから、けだ容易よういなわけのものではない。
人参 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
「なかなか美人びじんじゃないか?」
生きた人形 (新字新仮名) / 小川未明(著)
くちびるてたのが、錦繪にしきゑいたがけの美人びじんにそつくりで、微醉ほろゑひのそれしやが、くろもじをんだより婀娜あだツぽい。
松の葉 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
あの、白無垢しろむく常夏とこなつ長襦袢ながじゆばん浅黄あさぎゑりして島田しまだつた、りやう秘密ひみつかくした、絶世ぜつせ美人びじんざうきざんだかたは、貴下あなた祖父様おぢいさんではいでせうか。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)