“存在”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
そんざい63.6%
ぞんざい14.5%
もの5.5%
ザイン3.6%
ビーイング3.6%
1.8%
ありか1.8%
いきもの1.8%
ながらえ1.8%
エートル1.8%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
「何も驚くことはありやしない。此の臭をれて平氣へいきになツて了はなけア、自分で自分の存在そんざい保證ほようすることが出來ないんだ。」
平民の娘 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
御米はこの存在ぞんざいな言葉を聞いてそのままうちへ帰ったが、心の中では、はたして道具屋が来るか来ないかはなはだ疑わしく思った。
(新字新仮名) / 夏目漱石(著)
それどころか世にはこんな珍しい存在ものがあるのか、と云ったぼんやりした感嘆が房子の空虚うつろな瞳には少しづつ浮んで来た。
五月 (新字旧仮名) / 原民喜(著)
科学はもちろん非常に強力なものであるが、それはあくまで、存在ザインの世界のものである。科学が人間の生活の中にはいって行き、人間の幸福を齎すためには、今一つ行動の要素が加わる必要がある。
動力革命と日本の科学者 (新字新仮名) / 中谷宇吉郎(著)
それらはもう決してわれわれ人間の心理でなくて全く違った「存在ビーイング」の心理になってしまっている。
一つの思考実験 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
撲られる苦痛で、典膳とお浦とは身悶えし、身悶えするごとに、二人の体は、宙で、じれたりじれたりし、額や頤をぶっつけ合わせた。そういう二人の顔は、窓の高さに存在った。
血曼陀羅紙帳武士 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
わたくしはあのたきおとをききながら、いつもそのおとなかけこむような気分きぶんで、自分じぶん存在ありかわすれて、うっとりとしていることがおおいのでございました。
これまでの安逸な、墮落した、老い朽ちた俺をいとしむ代りに、——俺はあの清らかな美しい存在いきものを己れの生き甲斐として、愛しはぐくむはずだったのだ。
これは弘化こうか年度に生れて今まで存在ながらえている老人としより言草いいぐさのように聞えます。
離婚について (新字新仮名) / 与謝野晶子(著)
私は「存在エートル」と「非存在ノン・エートル」とを識別する感情を失つた。そして音楽のみ一つ、他の全ての上にあるやうな印象を与へられた。私は考へた。