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點滴
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したゝ
岩を
削つて
點滴る
水は、
其の
火の
見階子に、
垂々と
雫して、
立ちながら
氷柱に
成らむ、と
冷かさの
身に
染むのみ。
何處に
家を
燒く
炎があらう。
紅も
笹色の
粧を
凝して、
月光に
溶けて
二葉三葉、たゞ
紅の
點滴る
如く、
峯を
落ちつつ、
淵にも
沈まず
飜る。
見まい、
見まいの
氣が
逆上つて、ものの
見えるは
目のあるため、と
何とか
申す
藥を、
枕をかいもの、
仰向けに、
髮を
縛つた
目の
中へ
點滴らして、
其の
兩眼を、
盲にした、と
云ふのであります。
鮮紅と、
朱鷺と、
桃色と、
薄紅梅と、
丹と、
朱と、くすんだ
樺と、
冴えた
黄と、
颯と
點滴る
濃い
紅と、
紫の
霧を
山氣に
漉して、
玲瓏として
映る、
窓々は
恰も
名にし
負ふ
田毎の
月のやうな
汽車の
中から