骨太ほねぶと)” の例文
体格は骨太ほねぶと頑丈がんじょうな作り、その顔はまなジリ長く切れ、鼻高く一見して堂々たる容貌ようぼう、気象も武人気質ぶじんかたぎで、容易に物に屈しない。
非凡なる凡人 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
他家の質子ちしとはなっても、父孝高よしたか剛毅ごうきと、戦国の骨太ほねぶとな育成に生い立って、すこしもいじけた子となってはいなかった。
新書太閤記:06 第六分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
久「いゝえ桜川の庵室に居ったから、それを姓として櫻川又市というので、面部かおに疵があり、えゝ年は四十一二で、立派なたくましい骨太ほねぶとの剛い奴で」
敵討札所の霊験 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
今から推察すれば父の胸算きょうさんに、福澤の家は総領に相続させるつもりでよろしい、所が子供の五人目に私が生れた、その生れた時は大きなせた骨太ほねぶとな子で、産婆さんばの申すに
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
姿はすらりとしていたが、田舎娘らしくがっしりと堅太かたぶとりした、骨太ほねぶとな、大柄なであった。
吉野葛 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
男の世話になれるやうな女とも思へない程、四角張つた、色の黒い骨太ほねぶとな女だつた。
浮雲 (新字旧仮名) / 林芙美子(著)
初生はつなりと末生うらなりの差異が現れて来たのか、菊太郎君は僕よりも発育が好かった。頭の大きいくらいのものは体躯からだも釣合を保つ為めに自ら比例を求めるのらしい。丈が高い上に骨太ほねぶとだった。
勝ち運負け運 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
しかし、根が骨太ほねぶとの岩乘なからだであつたから、十日も經たぬうちに全快し、食慾は舊の如く旺盛で、色慾などもちよつと出て來て、よせばよいのに、またもや兎の庵にのこのこ出かける。
お伽草紙 (旧字旧仮名) / 太宰治(著)
その十数名の軍夫の中に一人たくましきおのこあり、の看護員に向ひをれり。これ百人長なり。海野うんのといふ。海野は年配ねんぱい三十八、九、骨太ほねぶとなる手足あくまで肥へて、身のたけもまた群を抜けり。
海城発電 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
香蔵と来たら、たかく持ち上げた左の肩に物を言わせ、歩きながらでもそれをすぼめたり、ゆすったりする。この二人に比べると、息づかいも若く、骨太ほねぶとで、しかも幅の広い肩こそは半蔵のものだ。
夜明け前:02 第一部下 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
わけていま、永禄四年ごろは、後の天正、慶長などの時代よりは、もっともっと人間が骨太ほねぶとだった。荒胆あらぎもだった、生命を素裸にあらわしていた。
上杉謙信 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
くと、それがボズさんとのちつた老爺ぢいさんであつた。七十ちかい、ひくいが骨太ほねぶと老人らうじん矢張やはり釣竿つりざをもつる。
都の友へ、B生より (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
しかし、根が骨太ほねぶとの岩乗なからだであつたから、十日も経たぬうちに全快し、食慾は旧の如く旺盛で、色慾などもちよつと出て来て、よせばよいのに、またもや兎の庵にのこのこ出かける。
お伽草紙 (新字旧仮名) / 太宰治(著)
までたかくはないが、骨太ほねぶと肉附にくづきい、丸顏まるがほあたまおほきなひとまなじりながれ、はなたかくちしまり、柔和にうわなか威嚴ゐげんのある容貌かほつきで、生徒せいとしたしんでました。
日の出 (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
常陸はずんと風もあらい、地もあらい、人も荒削あらけずりじゃが、剛毅ごうきというやつが骨太ほねぶとに坐っておる。こう二つのものの中庸ちゅうようを行って、よく飽和ほうわしているのが大石大夫の人がらじゃと、わしは思うが
新編忠臣蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)