トップ
>
馬道
>
うまみち
ふりがな文庫
“
馬道
(
うまみち
)” の例文
伯母から聞くと、
馬道
(
うまみち
)
のお政の稽古所へ、日参しているほど
取上気
(
とりのぼ
)
せた八五郎に、こんな分別があろうとは思われなかったのです。
銭形平次捕物控:053 小唄お政
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
馬道
(
うまみち
)
に祖父の
贔屓
(
ひいき
)
にしている
鮨屋
(
すしや
)
があったところから、よく助ちゃんに頼んで稽古にくるついでに買ってきてもらったりしていた。
桜林
(新字新仮名)
/
小山清
(著)
店の若い者の伊之助がさっき
馬道
(
うまみち
)
まで使いに出て、そのついでに観音さまへ参詣にゆくと、仲見世で栄之丞にぱったり出逢った。
籠釣瓶
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
この二人は浅草公園を
徘徊
(
はいかい
)
する不良の
徒
(
と
)
で、岩本は千束町に住んで活動写真の広告のビラを
貼
(
は
)
るのが商売、山西は
馬道
(
うまみち
)
の
床屋
(
とこや
)
の
伜
(
せがれ
)
であった。
水魔
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
怪人物は、うしろを見ながら、ひろい道路を
馬道
(
うまみち
)
の方へかけていく。かれは老人のように見えながら、いやに足が早かった。
金属人間
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
▼ もっと見る
あの
馬道
(
うまみち
)
の通りを、急いで帰って来たのですよ、すると、
擦
(
す
)
れ違った町娘が『あら染之助が来るよ』と、云うじゃないか。
ある恋の話
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
「ちょッとこっちへ寄ろうじゃねえか。ここは土手へ出る
馬道
(
うまみち
)
の本通りだ、
吉原
(
なか
)
へゆく四ツ手や人通りが多くって、おちおち話もしていられない」
鳴門秘帖:02 江戸の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
吉原通いの
馬道
(
うまみち
)
などは毎晩物凄いくらい、十五、六年頃を盛りに二十五、六年まで、その後ゴム輪になったが最初は丸ゴム、次に今日の空気入りタイヤ。
明治世相百話
(新字新仮名)
/
山本笑月
(著)
博奕打
(
ばくちうち
)
が相手の
懐合
(
ふところあ
)
いを勘定したり、
掏摸
(
すり
)
やインチキ師が「感付かれたな」と感付いたり、
馬道
(
うまみち
)
あたりの俥屋が
暗黒公使
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
十分間
(
じつぷんかん
)
に
七十五輌
(
しちじふごりやう
)
、
敢
(
あへ
)
て
大音寺前
(
だいおんじまへ
)
ばかりとは
云
(
い
)
はない。
馬道
(
うまみち
)
は
俥
(
くるま
)
で
填
(
う
)
まつた。
淺草
(
あさくさ
)
の
方
(
はう
)
の
悉
(
くはし
)
い
事
(
こと
)
は、
久保田
(
くぼた
)
さん(
万
(
まん
)
ちやん)に
聞
(
き
)
くが
可
(
い
)
い。……
山
(
やま
)
の
手
(
て
)
、
本郷臺
(
ほんがうだい
)
。
麻を刈る
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
そのとき三人伴れの、職人らしい男たちが、
馬道
(
うまみち
)
のほうから来かかり、
端
(
はし
)
にいた一人が深喜に肩をぶっつけた。かれらは酔って上機嫌で、鼻唄などうたっていた。
花も刀も
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
其の年も果て、翌延享三年二月二十九日の晩に、浅草
馬道
(
うまみち
)
から出火いたし、吉原へ
飛火
(
とびひ
)
がしました。
或
(
あるい
)
は飛火がしたのではない、吉原からも出たのだと申します。
粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分):02 粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分)
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
観音堂から堂へ向って右手の方は、
馬道
(
うまみち
)
、それから
田町
(
たまち
)
、田町を突き当ると
日本堤
(
にほんづつみ
)
の
吉原土手
(
よしわらどて
)
となる。
幕末維新懐古談:11 大火以前の雷門附近
(新字新仮名)
/
高村光雲
(著)
すぐに
初酉
(
はつとり
)
なのに今年は例年よりあたたかくて、吹く風も湯あがりの上気した頬に快かつた、
馬道
(
うまみち
)
の大通りにまだ起きてゐる支那ソバや十銭のライスカレーを食はせる店があつた
一の酉
(新字旧仮名)
/
武田麟太郎
(著)
向島
(
むこうじま
)
に住んだ頃は、浅草へ行くというのが何よりの楽しみでしたけれど、歩いて行く時は、
水戸様
(
みとさま
)
の前から
吾妻橋
(
あずまばし
)
を渡って、
馬道
(
うまみち
)
を通って観音様の境内へ入るので、かなりの道なのです。
鴎外の思い出
(新字新仮名)
/
小金井喜美子
(著)
他の一筋は堤の尽きるところ、
道哲
(
どうてつ
)
の寺のあるあたりから
田町
(
たまち
)
へ下りて
馬道
(
うまみち
)
へつづく大通である。電車のないその時分、
廓
(
くるわ
)
へ通う人の最も繁く往復したのは、千束町二、三丁目の道であった。
里の今昔
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
矢張
(
やっぱり
)
、
俳優
(
やくしゃ
)
だが、
数年
(
すねん
)
以前のこと、今の
沢村宗十郎
(
さわむらそうじゅうろう
)
氏の門弟で
某
(
なにがし
)
という男が、
或
(
ある
)
夏の晩
他所
(
よそ
)
からの帰りが大分遅くなったので、折詰を片手にしながら、てくてく
馬道
(
うまみち
)
の通りを急いでやって来て
今戸狐
(新字新仮名)
/
小山内薫
(著)
田町
(
たまち
)
から
馬道
(
うまみち
)
につづいた家も土蔵ももう一面の白い
刷毛
(
はけ
)
をなすられて、
待乳
(
まつち
)
の森はいつもよりもひときわ浮きあがって白かった。
箕輪心中
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
三囲
(
みめぐり
)
から、竹屋の渡しを渡って、
待乳山
(
まつちやま
)
、
馬道
(
うまみち
)
、富士神社と来ると、鉛色の空に、十二階のシルエットが浮いている。
胡堂百話
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
それから、この浅草寺ですが、混淆時代は三社権現が地主であったから
馬道
(
うまみち
)
へ出る東門(
随身門
(
ずいじんもん
)
)には矢大臣が祭ってあった。これは神の境域であることを証している。
幕末維新懐古談:31 神仏混淆廃止改革されたはなし
(新字新仮名)
/
高村光雲
(著)
浅草
馬道
(
うまみち
)
の井城抱斎先生は早くも洋式に転向してなかなかの流行、それでも昔忘れぬ薬箱の御持参、旧式の桐箱ではない、黒皮張りのケースでふたをあけると原料の小瓶がずらり
明治世相百話
(新字新仮名)
/
山本笑月
(著)
家は
馬道
(
うまみち
)
辺で二階を人に貸して家賃の足しにしていた。おかみさんはまだ婆さんというほどではなく、案外
垢抜
(
あかぬ
)
けのした小柄の女で、上野
広小路
(
ひろこうじ
)
にあった映画館の案内人をしているとの事であった。
草紅葉
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
そうして浅草の方へとぼとぼと歩き出したが、
馬道
(
うまみち
)
の角まで来てまた立ち停まった。どう考えてもこのまま主人の家へは帰りにくかった。
籠釣瓶
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
やり出すか判りゃしません。最初からこの野郎が一番怪しかったが、困ったことにその晩は
馬道
(
うまみち
)
の
賭場
(
とば
)
で夜明しをして、一と足も外へ出なかったそうで
銭形平次捕物控:102 金蔵の行方
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
もう打っちゃっても置かれないので、七兵衛は自分で浅草へ出張って、
馬道
(
うまみち
)
の裏長屋に住んでいる駕籠屋の勘次をたずねた。
半七捕物帳:18 槍突き
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
平次は
馬道
(
うまみち
)
で朝帰りの客のために開いている飯屋に飛込み、そそくさと腹を
拵
(
こしら
)
えながら、八五郎を励ましました。
銭形平次捕物控:115 二階の娘
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
馬道
(
うまみち
)
の上州屋という質屋の息子がひどく妹の方に惚れ込んでしまって、三百両の支度金でぜひ嫁に貰いたいと、しきりに云い込んで来ているんです。
半七捕物帳:22 筆屋の娘
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
事件の
翌
(
あく
)
る日、変死した乞食の身許を洗いようがないと解ると、平次は最後の手段として、
馬道
(
うまみち
)
に朝から張り通して今日も来るかも知れない娘を待ったのでした。
銭形平次捕物控:023 血潮と糠
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
そのころ浅草の
馬道
(
うまみち
)
に有名な
接骨
(
ほねつぎ
)
の医者があるというので、赤坂から馬道まで駕籠に乗って毎日通うことにした。
半七捕物帳:16 津の国屋
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
最初の一人は
赤坂表町
(
あかさかおもてまち
)
の
流行
(
はやり
)
医者で
本田蓼白
(
ほんだりょうはく
)
先生、これは二十日目に弁慶橋の下へ死体になって浮上がりました。二番目に行方不明になったのは
馬道
(
うまみち
)
の名医、
伊東参龍
(
いとうさんりゅう
)
先生。
銭形平次捕物控:025 兵糧丸秘聞
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
そのあいだ何と云って誘って来たのか知りませんが、とうとう其の娘を
馬道
(
うまみち
)
の方へ引っ張り出して来たんです。
半七捕物帳:02 石灯籠
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
「すぐ解ったよ、
馬道
(
うまみち
)
の糸屋、
出雲屋
(
いずもや
)
の若主人宗次郎だ」
銭形平次捕物控:063 花見の仇討
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
馬道
(
うまみち
)
の庄太という子分が神田三河町の半七の家へ駈け込んで来たのは、文久元年七月二十日の朝であった。
半七捕物帳:23 鬼娘
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
彼はあくまでその不思議の正体を突き止めたかった。その晩は徳寿に別れて、神田の家へまっすぐ帰ったが、あくる朝、浅草の
馬道
(
うまみち
)
にいる子分の庄太を呼びにやった。
半七捕物帳:09 春の雪解
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
戸沢長屋は花川戸から馬道の通りへ出る横町で、以前は戸沢家の抱え屋敷であったのを、享保年中にひらいて
町屋
(
まちや
)
としたのである。そこへ来る途中、
馬道
(
うまみち
)
の庄太に逢った。
半七捕物帳:63 川越次郎兵衛
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
庄太は浅草の
馬道
(
うまみち
)
に住んでいながら、その菩提寺は遠い百人町の海光寺であるので、きょうは親父の命日で朝から墓参に来ると、ここらには唐人飴の噂がいっぱいに拡がっていた。
半七捕物帳:54 唐人飴
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
震災以後、町の形はまったく変わってしまったが、その頃の市村座へゆくには、
馬道
(
うまみち
)
の大通りから妙に狭い横町のようなところを抜けたり曲がったりして、足場が甚だよろしくなかった。
明治劇談 ランプの下にて
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
馬道
(
うまみち
)
の鼻緒屋の娘で、ことし十六になるお
捨
(
すて
)
というのが近所まで買物に出ると、白地の手拭をかぶって、白地の浴衣を着た若い女が、往来で彼女とすれ違いながら、もしもしと声をかけた。
半七捕物帳:23 鬼娘
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
馬道
(
うまみち
)
の下駄屋へたびたび呼び込まれて懇意になると、そこの亭主が悪い奴で、この小按摩を巧くだまし込んで、療治に行った家の物を手あたり次第にぬすませて、自分が
廉
(
やす
)
く買っていたんです。
半七捕物帳:41 一つ目小僧
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
黒沼の屋敷を出て、半七は更に
馬道
(
うまみち
)
の方へ行った。
半七捕物帳:10 広重と河獺
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
浅草の
馬道
(
うまみち
)
に河内屋という質屋があります。
半七捕物帳:30 あま酒売
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
「
馬道
(
うまみち
)
の露路の中でございます」
半七捕物帳:47 金の蝋燭
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
子分の庄太の家は
馬道
(
うまみち
)
である。
半七捕物帳:56 河豚太鼓
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
馬
常用漢字
小2
部首:⾺
10画
道
常用漢字
小2
部首:⾡
12画
“馬道”で始まる語句
馬道裏