かゝは)” の例文
新字:
かゝはりのないことだが、念の爲に申上げよう、——湯島切通しに屋敷を持つてゐられる、三千五百石の直參、望月丹後たんごといふじんぢや。
此邊このへんまではるのだ。迂路うろつきまわるのですでに三以上いじやうあるいたにかゝはらず、一かう疲勞ひらうせぬ。此時このときすで打石斧だせきふ十四五ほん二人ふたりひろつてた。
所が最後に一つ、今度はまだ十三四の弟子が、やはり地獄變の屏風の御かげで、云はば命にもかゝはねない、恐ろしい目に出遇ひました。
地獄変 (旧字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
私は何處に行くのかと訊ねた。馭者は、ある遠く離れた土地の名を云つた。そこは確かにロチスター氏とは何のかゝはりもないところであつた。
表向きの沙汰となす時はかれが父の家名にもかゝはるべしとて思案の上白洲へ出座有て藤五郎を見られ其方儀帶刀をも致す身分を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
定めて若氣わかげの短慮とも、當座の上氣じやうきとも聞かれつらんこそ口惜しけれ、言はば一生の浮沈にかゝはる大事、時頼不肖ながらいかでか等閑なほざりに思ひ候べき。
滝口入道 (旧字旧仮名) / 高山樗牛(著)
女王樣ぢよわうさまたゞ彼等かれらが一ぷんでもおくれゝば、れが彼等かれら生命いのちかゝはつてるとふことだけを注意ちういされました。
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
そんな風でしたから、向ふの内部的態度が始終私に近づかう近づかうとしてゐるにもかゝはらず、私の態度は外部的に義理にもお時を離れよう離れようとしなければならなかつたのです。
反古 (旧字旧仮名) / 小山内薫(著)
一昨日をとゝひ笹野新三郎から用意のために手渡された金、將軍樣の命にかゝはらうと言ふ場合ですから、物惜ものをしみなどをして居る時ではありません。
此豫報このよほうが一たび各新聞かくしんぶんつてつたへられると、迷信めいしん非迷信ひめいしんかゝはらず、江湖こうこおほいなる注意ちういこれけてはらつた。
其方共儀長八むすめ身受みうけ相談さうだんの儀は公儀かみに於ても孝心を御賞し有るにつき利欲りよくかゝはらず深切しんせつ懸合かけあひとげ遣はすべし
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
「それはない、ある筈もないのだ。奧は役向きのことにかゝはりがなく、召使の者からも、出入りの者にも評判の良い方であつた」
受出うけいだしたる事露顯して召捕めしとられ其盜賊の引合なりと申事にて如何にも樣子やうすが氣にかゝり萬一文右衞門樣の御身の上にかゝはる事ではある間じきやと思へども御前さんも長兵衞樣も留守るすの事なりほかはなあふひともなしまことに女の身のかなしさは只々蔭ながら文右衞門樣を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
「それは無い。私は怨まれても仕方が無いが、女房にはかゝはりの無いことだ。——その娘がどうかしましたか」
お仙にかゝはる疑が濃厚になると、平次に任せて、もう少し證據固めをして置かうと思つたのでせう。
「フーム、さうか、なか/\立派な口をきくのう。が、大場の家の浮沈にかゝはることぢや、捨て置くわけには參らぬ。半之丞、打つて/\打ち据ゑいツ、黒助は水を掛けるのだ」
許婚と言つたところで、親同士の口約束で、本人には何んのかゝはりもありません。
組とは別々に誘拐いうかいされ、何んのかゝはりもないことは唯今まで申上げた通りで御座いますが、私が行方知れずになつて三十日も經たないうちに、助十郎殿と祝言をする氣になつたお禮殿とは
それが餘計だよ。お靜にはかゝはりの無いことだ。斯うなりや俺も覺悟を