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遶
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めぐ
ふりがな文庫
“
遶
(
めぐ
)” の例文
しかし見上げたる余の瞳にはまだ何物も映らぬ。しばらくは軒を
遶
(
めぐ
)
る
雨垂
(
あまだれ
)
の音のみが聞える。三味線はいつの
間
(
ま
)
にかやんでいた。
草枕
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
『宋高僧伝』二に、弘法大師の師匠の師匠の師匠のまた師匠
善無畏
(
ぜんむい
)
が
烏萇国
(
うじょうこく
)
に至った時、白鼠あり馴れ
遶
(
めぐ
)
りて日々金銭を献ず。
十二支考:11 鼠に関する民俗と信念
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
例ならず疾く起きいでゝ窓を開けば幾重の山嶺屏風を
遶
(
めぐ
)
らして草のみ生ひ茂りたれば其の色染めたらんよりも麗はし。
かけはしの記
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
津浦線
(
しんほせん
)
の事件だの、
京漢線
(
けいかんせん
)
の汽車にすら乗ることを危ぶんでゐた人達のことだのが、またしても私の頭を
遶
(
めぐ
)
り出した。
北京の一夜
(新字旧仮名)
/
田山花袋
、
田山録弥
(著)
水野越前は、お豊に太刀を持たせて、泉水を
遶
(
めぐ
)
り、築山を越え、屋敷から遠い、巨木の木立の中へ入って行きました。
礫心中
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
▼ もっと見る
「前に七坪余りの小庭を控へて、杉柾の萱門を浅く、椽に近き
小細水
(
ささらみず
)
は江戸川の流を
偃入
(
せきい
)
れて胡麻竹の袖垣を
遶
(
めぐ
)
り土塀を潜りて、内庭の池に注ぐなりけり」
巣鴨菊
(新字旧仮名)
/
正岡容
(著)
十月
朔
(
さく
)
。舟廻槻木ヲ
歴
(
へ
)
テ岩沼ノ駅ニ飯ス。名取川駅ノ東ヲ
遶
(
めぐ
)
ツテ海ニ入ル。
晡時
(
ほじ
)
仙台ニ投ズ。
列肆
(
れっし
)
皆
卑陋
(
ひろう
)
。富商
大估
(
たいこ
)
ヲ見ズ。独
芭蕉
(
ばしょう
)
衢
(
く
)
ノ屋宇
巍然
(
ぎぜん
)
トシテ対列スルノミ。
下谷叢話
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
女は其意を得て
屏風
(
びょうぶ
)
を
遶
(
めぐ
)
り、奥の
方
(
かた
)
へ去り、主人は立っても居られず其便に坐した。
雪たたき
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
若し
然
(
しか
)
云ふをうべくんば、彼は唯一箇の不調和な形を具へた肉の断片である、別に何の事はない肉の断片に過ぎぬ、が、其断片を
遶
(
めぐ
)
る不可見の
大気
(
アトモスフエーヤ
)
が極度の「悄然」であるのであらう。
雲は天才である
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
前を
遶
(
めぐ
)
る
渓河
(
たにがわ
)
の水は、
淙々
(
そうそう
)
として遠く流れ行く。かなたの森に鳴くは
鶇
(
つぐみ
)
か。
書記官
(新字新仮名)
/
川上眉山
(著)
然し整理熱は田舎に及び、彼の村人も墓地を拡張整頓するそうで、此程
周囲
(
まわり
)
の雑木を切り倒し、共有の小杉林を
拓
(
ひら
)
いてしもうた。いまに
楆
(
かなめ
)
の
生牆
(
いけがき
)
を
遶
(
めぐ
)
らし、桜でも植えて奇麗にすると云うて居る。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
樹
(
じゅ
)
を
遶
(
めぐ
)
ること三
匝
(
そう
)
三国志:07 赤壁の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
依稀
(
いき
)
たる
細雨
(
さいう
)
は、濃かに糺の森を
罩
(
こ
)
めて、糺の森はわが
家
(
や
)
を
遶
(
めぐ
)
りて、わが家の
寂然
(
せきぜん
)
たる十二畳は、われを封じて、余は
幾重
(
いくえ
)
ともなく寒いものに取り囲まれていた。
京に着ける夕
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
その国俗として
麦藁
(
むぎわら
)
を積んだ処を右に
遶
(
めぐ
)
れば飲食をくれる、来年の豊作を祈るためだ。左に遶れば凶作を招くとて不吉とする。摩訶羅不注意にも左へ遶ったので麦畑の主また
忿
(
いか
)
って打ち懲らす。
十二支考:09 犬に関する伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
併し凝る氣で從事するものは、其の絹紙筆墨を費すや甚大甚夥なるも、畢に繋がれたる馬の一つの柱を
遶
(
めぐ
)
り、籠められたる猿の六つの窗に忙しげなると同樣に、何の進境をも示さぬものである。
努力論
(旧字旧仮名)
/
幸田露伴
(著)
遶
(
めぐ
)
らせる城の如
詩
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
横向に
庇
(
ひさし
)
を向いて開いた引窓から、また
花吹雪
(
はなふぶき
)
を
一塊
(
ひとかたま
)
りなげ込んで、烈しき風の吾を
遶
(
めぐ
)
ると思えば、戸棚の口から弾丸のごとく飛び出した者が、避くる
間
(
ま
)
もあらばこそ
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
露に
湿
(
しめ
)
りて心細き夢おぼつかなくも馴れし都の空を
遶
(
めぐ
)
るに無残や
郭公
(
ほととぎす
)
待
(
まち
)
もせぬ耳に眠りを切って
破
(
や
)
れ
戸
(
ど
)
の
罅隙
(
すきま
)
に、我は
顔
(
がお
)
の明星光りきらめくうら悲しさ、
或
(
ある
)
は柳散り
桐
(
きり
)
落
(
おち
)
て無常身に
染
(
しみ
)
る野寺の鐘
風流仏
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
衣を
牽
(
ひ
)
き、床を
遶
(
めぐ
)
りて狂呼す、「バーンス」詩を作りて河上に
徘徊
(
はいくわい
)
す、或は
呻吟
(
しんぎん
)
し、或は低唱す、忽ちにして大声放歌
欷歔
(
ききょ
)
涙下る、西人此種の所作をなづけて、「インスピレーション」といふ
人生
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
海気は衣を
撲
(
う
)
って
眠
(
ねむ
)
り美ならず、
夢魂
(
むこん
)
半夜
誰
(
た
)
が家をか
遶
(
めぐ
)
りき。
突貫紀行
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
塊まらぬ
間
(
うち
)
に吹かるるときには三つの煙りが三つの輪を
描
(
えが
)
いて、黒塗に
蒔絵
(
まきえ
)
を散らした筒の
周囲
(
まわり
)
を
遶
(
めぐ
)
る。あるものは
緩
(
ゆる
)
く、あるものは
疾
(
と
)
く遶る。またある時は輪さえ描く
隙
(
ひま
)
なきに乱れてしまう。
一夜
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
遶
漢検1級
部首:⾡
16画
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遶道
或値怨賊遶
遶佛
遶竹梁