しん)” の例文
入れ百八十兩の金子を殘らずもどしければ九助はお里を是迄の縁と斷念あきらめ殊に伯父の娘なればきびしき事も成難しと千しんしてためたる金の中を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
わが越後のごとく年毎としごと幾丈いくぢやうの雪をなんたのしき事かあらん。雪のためちからつくざいつひやし千しんする事、しもところておもひはかるべし。
周三は、畫室を出ると、また父に取捕まつて、首根くびねつこを押へ付けて置いてめ付けられるのがこはいのだ。で、しん氣臭いのをおつこちへて、穴籠と定めて了ふ。
平民の娘 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
丙は乙に当ると共に、丁戊ていぼの側面攻撃を防禦しなければならぬ。とが張り合っている横合いから丁が差手をする。そう当るとこうしんとが、間道づたいに奇襲を試みる。
大菩薩峠:40 山科の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
かくもよい教えを持って居る両国の仏教徒は、互いに合同して世界に真実仏教の普及をはからなければならん。これ私が千しん万難ばんなんを忍び、雪また雪をえ川また川を渡ってこの国に出て来た所以ゆえんである。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
「あんた、しん気くさいお子オやなア。」
わが町 (新字新仮名) / 織田作之助(著)
平次の問いは微妙でしんらつでした。
あらた我々われ/\は元岡山の藩中松田喜内と申者の親類にて右喜内のかたき吾助と云者をねらうたんと三年の間所々をたづまはり千しんし今日此處にて出會年來の本望を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
またのぼりゆき/\て桟齴かけはしのやうなる道にあたり、岩にとりつき竹の根を力草ちからくさとし、一歩に一声をはつしつゝ気を張りあせをながし、千しんしのぼりつくして馬のといふ所にいたる。
またのぼりゆき/\て桟齴かけはしのやうなる道にあたり、岩にとりつき竹の根を力草ちからくさとし、一歩に一声をはつしつゝ気を張りあせをながし、千しんしのぼりつくして馬のといふ所にいたる。
つとめ中天よりさづかる金とは云ながら千しんせし金の中八十兩と申大金を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
そのせはしき事の千しん、暖国の農業のうげふすれば百ばい也。さればとて雪国にうまるもの幼稚をさなきより雪中に成長するゆゑ、蓼中たでのなかむしからきをしらざるがごとく雪を雪ともおもはざるは、暖地だんち安居あんきよあぢはへざるゆゑ也。