身綺麗みぎれい)” の例文
身綺麗みぎれいにはしていても髪容かみかたちかまわない。それなのにあの円顔の目と口とには、複製図で見た Monnaモンナ Lisaリイザこびがある。
青年 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
朝飯が済でから身仕度するがおよそ二時まで掛ります、大層着物をるのがかましい人でいつでも婚礼の時かと思うほど身綺麗みぎれいにして居ました
血の文字 (新字新仮名) / 黒岩涙香(著)
男の洋服すらそのようだから、日本で女の洋服着はさぞ暑苦しい事だろう。身綺麗みぎれいに着てゆけるかどうかは疑問である。
独居雑感 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
つて其處そこつてかんがへたのは、身綺麗みぎれいらしい女中ぢよちうであつたが、わたしはよくもなかつた。で、ひだりすみ屋臺やたいよこにしたところで、年配ねんぱい老爺おとつさんと、おばあさん。
松の葉 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
19は三週間のあいだ私達が「ほんとに彼男あれだけは私たちが掘り出した宝石ジュエルです」と言い得る、身綺麗みぎれい小気こきの利いた“My Good Man”となることであろう。
踊る地平線:09 Mrs.7 and Mr.23 (新字新仮名) / 谷譲次(著)
葉子は湯島に宿を取っている松川を見ると、いきなり飛びついて来る彼にくちびるを出した。松川は洋服も脱がずにいたが、田端で別れたころから見ると、身綺麗みぎれいにしていた。
仮装人物 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
この二人にくらべると、ほかの『城』同人は存外特色に乏しかった。が、身綺麗みぎれいな服装の胸へ小さな赤薔薇あかばら造花ぞうかをつけている事は、いずれもを一にしているらしかった。
路上 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
彼女を少しでもよりよく身綺麗みぎれいにさせて置くこと、不自由な思いや、ケチ臭いことはさせないで、のんびりと成長させてやること、———それはもとより私の本懐でしたから
痴人の愛 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
僕をこの催しに誘い出したのは、写真を道楽にしているしとみ君と云う人であった。いつも身綺麗みぎれいにしていて、衣類や持物に、その時々の流行をっている。
百物語 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
心状しんじやうのほどはらず、中間ちうげん風情ふぜいには可惜あたら男振をとこぶりの、すくないものが、身綺麗みぎれいで、勞力ほねをしまずはたらくから、これはもありさうなことで、上下じやうげこぞつてとほりがよく、千助せんすけ千助せんすけたいした評判ひやうばん
片しぐれ (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
彼女は俸給ほうきゅうのほとんど全部を親に取りあげられ、半衿はんえり一つ白粉おしろいびん買うにも並々ならぬ苦心があり、いつも身綺麗みぎれいにしている芸者の身の上がうらやましくなり、縹緻きりょうもまんざらでないところから
縮図 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
母親の富とは大違いな殊勝な心懸こころがけ、自分の望みで大学病院で仕上げ、今では町住居ずまいの看護婦、身綺麗みぎれいで、容色きりょうくって、ものが出来て、深切で、おとなしいので、寸暇のない処を
葛飾砂子 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
婆あさんの質樸しつぼくで、身綺麗みぎれいにしているのが、純一にはひどく気に入った。
青年 (新字新仮名) / 森鴎外(著)