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蹴上
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けあ
ふりがな文庫
“
蹴上
(
けあ
)” の例文
犬は、彼が逃げるのを見ると、ひとしくきりりと尾を巻いて、あと足に砂を
蹴上
(
けあ
)
げながら真一文字に追いすがった。
偸盗
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
昨夕
(
ゆうべ
)
の雨が土を
潤
(
ふや
)
かし抜いたところへ、今朝からの馬や車や人通りで、踏み返したり
蹴上
(
けあ
)
げたりした泥の
痕
(
あと
)
を、二人は
厭
(
いと
)
うような
軽蔑
(
けいべつ
)
するような様子で歩いた。
彼岸過迄
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
その女の人が、両腕をひろげ、片足を思ひきりたかく
蹴上
(
けあ
)
げて、お得意の
踊
(
をどり
)
ををどつてゐるのです。
一本足の兵隊
(新字旧仮名)
/
鈴木三重吉
(著)
死んだお半の足で
蹴上
(
けあ
)
げたらしく、滅茶滅茶に崩れた仏壇、
燭台
(
しょくだい
)
の
蝋燭
(
ろうそく
)
は不思議に無事で、これは半分ほどを残して消してありますが、その前に引っくり返ったお半は
銭形平次捕物控:182 尼が紅
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
「
真個
(
ほんと
)
だよ、
霰
(
あられ
)
だって、半分は、その海坊主が
蹴上
(
けあ
)
げて来る、波の
潵
(
しぶき
)
が交ってるんだとさ。」
霰ふる
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
▼ もっと見る
鬼のような船長ノルマンは、足をあげて、ハルクの顔を、下からうんと力まかせに
蹴上
(
けあ
)
げた。
火薬船
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
大藏は
四辺
(
あたり
)
を見て油断を
見透
(
みすか
)
し、片足
挙
(
あ
)
げてポーンと雪洞を
蹴上
(
けあ
)
げましたから転がって、
灯火
(
あかり
)
の消えるのを合図にお菊の胸倉を
捉
(
と
)
って懐に
匿
(
かく
)
し持ったる
合口
(
あいくち
)
を抜く手も見せず
菊模様皿山奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
仲裁に入つた男の
睾丸
(
こうぐわん
)
を
蹴上
(
けあ
)
げて気絶さしたとか、
云々
(
うんぬん
)
の通信なんだがそれに間違ひはありませんか、一応お
訊
(
たづ
)
ねする次第です——と云つたやうな話を聞き、ひどく
狼狽
(
らうばい
)
した訳です。
椎の若葉
(新字旧仮名)
/
葛西善蔵
(著)
砂煙を
蹴上
(
けあ
)
げながら、
毬
(
まり
)
のように駆け飛んで
吾助茶屋
(
ごすけぢゃや
)
の前まで来ると、正勝は馬の背にしがみつくようにしながらぐっと手綱を引いた。馬は
喘
(
あえ
)
いで立ち上がるようにしながら止まった。
恐怖城
(新字新仮名)
/
佐左木俊郎
(著)
その次、Bデッキの上まで来るとあなたは腕をあげ
脚
(
あし
)
を思い切り
蹴上
(
けあ
)
げている、というように、以前は、
嫌
(
きら
)
いだった駆足も、駆けている間中、あなたが見えるといった
愉
(
たの
)
しさに変りました。
オリンポスの果実
(新字新仮名)
/
田中英光
(著)
猛狒
(
ゴリラ
)
怒
(
いか
)
つて
刀身
(
たうしん
)
を
双手
(
もろて
)
に
握
(
にぎ
)
ると、
水兵
(
すいへい
)
は
焦
(
いらだ
)
つて
其
(
その
)
胸先
(
むなさき
)
を
蹴上
(
けあ
)
げる、
此
(
この
)
大奮鬪
(
だいふんとう
)
の
最中
(
さいちう
)
沈着
(
ちんちやく
)
なる
海軍士官
(
かいぐんしくわん
)
は
靜
(
しづ
)
かに
進
(
すゝ
)
み
寄
(
よ
)
つて、
二連銃
(
にれんじう
)
の
筒先
(
つゝさき
)
は
猛狒
(
ゴリラ
)
の
心臟
(
しんぞう
)
を
狙
(
ねら
)
ふよと
見
(
み
)
えしが、
忽
(
たちま
)
ち
聽
(
きこ
)
ゆる
一發
(
いつぱつ
)
の
銃聲
(
じうせい
)
。
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
三重子はさんざんにふざけた
揚句
(
あげく
)
、フット・ボオルと称しながら、枕を
天井
(
てんじょう
)
へ
蹴上
(
けあ
)
げたりした。……
早春
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
死んだお半の足で
蹴上
(
けあ
)
げたらしく、滅茶々々に崩れた佛壇、
燭臺
(
しよくだい
)
の
蝋燭
(
らふそく
)
は不思議に無事で、これは半分ほどを殘して消してありますが、その前に引つくり返つたお半は
銭形平次捕物控:182 尼が紅
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「
眞個
(
ほんと
)
だよ、
霰
(
あられ
)
だつて、
半分
(
はんぶん
)
は、
其
(
そ
)
の
海坊主
(
うみばうず
)
が
蹴上
(
けあ
)
げて
來
(
く
)
る、
波
(
なみ
)
の
潵
(
しぶき
)
が
交
(
まじ
)
つてるんだとさ。」
霰ふる
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
同時に、花房の後ろにいた浪岡は恐怖の発作で習慣的に前へ駆けだした。花房の尻と浪岡の頭部とが激しく突き当たった。身近くその尻っぺたへ一撃を受けて、花房は習慣的にぽんと
蹴上
(
けあ
)
げた。
恐怖城
(新字新仮名)
/
佐左木俊郎
(著)
もっとも情熱は失ったにもせよ、欲望は残っているはずである。欲望?——しかし欲望ではない。彼は今になって見ると、確かに三重子を愛している。三重子は枕を
蹴上
(
けあ
)
げたりした。
早春
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
どうも始末に悪いのは、高く崩れる裾ですが、よくしたもので、
現
(
うつつ
)
に、その蚤の痕をごしごし
引掻
(
ひっか
)
く
次手
(
ついで
)
に、膝を
捩
(
ね
)
じ合わせては、ポカリと
他人
(
ひと
)
の目の前へ靴の底を
蹴上
(
けあ
)
げるのです。
甲乙
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
蹴
常用漢字
中学
部首:⾜
19画
上
常用漢字
小1
部首:⼀
3画
“蹴上”で始まる語句
蹴上粟田口