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襟飾
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ネクタイ
ふりがな文庫
“
襟飾
(
ネクタイ
)” の例文
同時にまた縞の背広に地味な
襟飾
(
ネクタイ
)
をした彼の服装も、
世紀末
(
せいきまつ
)
の芸術家の名前を列挙するのが、不思議なほど、素朴に出来上っていた。
路上
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
そして最後に、死人が彼の
襟飾
(
ネクタイ
)
を掴んでいました。これだけ材料があれば、十分陪審員たちを承伏させることが出来るに違いありません
白銀の失踪
(新字新仮名)
/
アーサー・コナン・ドイル
(著)
何の為に酔狂にも
驢馬
(
ろば
)
なんか連れて、南
仏蘭西
(
フランス
)
の山の中をうろつかねばならぬか? 何の為に、良家の息子が、よれよれの
襟飾
(
ネクタイ
)
をつけ
光と風と夢
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
先生の
白襯衣
(
ホワイトシャート
)
を着た所は
滅多
(
めった
)
に見る事が出来なかった。大抵は
鼠
(
ねずみ
)
色のフラネルに
風呂敷
(
ふろしき
)
の切れ
端
(
はし
)
のような
襟飾
(
ネクタイ
)
を結んで
済
(
す
)
ましておられた。
博士問題とマードック先生と余
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「よし※」龍介はしばらく考えた後決心したように叫んだ「よし、やってやろう、黒
襟飾
(
ネクタイ
)
組が勝つか、少年春田龍介が勝つか、一騎討だ※」
黒襟飾組の魔手
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
▼ もっと見る
名前は昔の武者修業のように古風ですが、本人は七つ下りの茶色の背広に、ボヘミアン
襟飾
(
ネクタイ
)
をした、芸術家らしい青年です。
奇談クラブ〔戦後版〕:02 左京の恋
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
私は一わたり部屋を見渡した後で、引手のついている化粧台の抽出しを立続けて開けると、
襟飾
(
ネクタイ
)
の入っている箱の中に一葉の写真を見付けた。
日蔭の街
(新字新仮名)
/
松本泰
(著)
「
貴郎
(
あなた
)
、そんな
身装
(
みなり
)
をしてお
隣家
(
となり
)
へ往つてらしたんですか。
襟飾
(
ネクタイ
)
もつけないで、何てまあ礼儀を知らない方なんでせう。」
茶話:03 大正六(一九一七)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
私は逢わない先から、フロールの笑顔が眼先にちらついて、母が
襟飾
(
ネクタイ
)
を結んだり
頭髪
(
かみ
)
を
梳
(
す
)
いてくれるのさえも待ち切れずに、戸外へ飛び出して行く。
陰獣トリステサ
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
しかし、法水に
固唾
(
かたず
)
を呑ませたものは、この装置ではなく、安手の
襟飾
(
ネクタイ
)
を継ぎ合せて貼ってある、台の底だった。
聖アレキセイ寺院の惨劇
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
あろう事か、あっと頬げたを
圧
(
おさ
)
えて
退
(
すさ
)
る、道学者の
襟飾
(
ネクタイ
)
へ、
斜
(
はすっ
)
かいに肩を
突懸
(
つっか
)
けて、横押にぐいと押して
婦系図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
ルーズベルト型ダブルカラに
土耳古更紗
(
トルコさらさ
)
の
襟飾
(
ネクタイ
)
、黒地のタキシード服と、青灰色の舶来地外套、カンガルー皮入のエナメル靴を穿いて、茶色のキッドの手袋に
暗黒公使
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
ねえ、ジエィン、あなたは私があのあなたに上げた小さな眞珠の
頸飾
(
くびかざり
)
を今でもこの
襟飾
(
ネクタイ
)
の下の黒い頸に捲きつけてゐることを知つてゐる? 私は
遺品
(
かたみ
)
だと思つて、私の寶を
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
今日はいつもより顔の色が悪く、レース編みのきたない
襟飾
(
ネクタイ
)
を紐のように
顎
(
あご
)
の下へたらし、何を詰め込んだのか、すり切れた上着のポケットを、みっともなく
膨
(
ふく
)
らましている。
キャラコさん:01 社交室
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
彼の蝶形
襟飾
(
ネクタイ
)
と白
襯衣
(
シャツ
)
の胸板とが、いま排他的に社交界めかして舞台しているのである。
踊る地平線:09 Mrs.7 and Mr.23
(新字新仮名)
/
谷譲次
(著)
彼は、カラをつけ、
襟飾
(
ネクタイ
)
を結び、背広を着たままで、地上六十
呎
(
フィート
)
、寂寞とした無人の大ビルディングの一角で——正確に云えば、S百貨店五階、洋家具売場附属倉庫内で、睡眠を摂っていたのだった。
扉は語らず:(又は二直線の延長に就て)
(新字新仮名)
/
小舟勝二
(著)
どう思ったか
毛利
(
もうり
)
先生が、その古物の
山高帽
(
やまたかぼう
)
を頂いて、例の紫の
襟飾
(
ネクタイ
)
へ
仔細
(
しさい
)
らしく手をやったまま、悠然として小さな体を現した。
毛利先生
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
ボヘミアン
襟飾
(
ネクタイ
)
にゴム長を穿いた恰好は、モーニングやエブニング・ドレスを着飾った、紳士淑女の夜会に飛込むような代物ではありません。
笑う悪魔
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
これが私の
襟飾
(
ネクタイ
)
です。どうぞ手に取つて御覧下さい。私は今朝三十分ばかしお邪魔をしたと思ひますから、三十分程御覧になつたら、直ぐ御返しを
茶話:03 大正六(一九一七)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
さていよいよ八月十八日の夜、若林子爵家の書斎で、龍介と子爵は黒
襟飾
(
ネクタイ
)
組から送られた最後の脅迫状を読んでいた。
黒襟飾組の魔手
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
しかもその風呂敷に似た
襟飾
(
ネクタイ
)
が時々
胴着
(
チョッキ
)
の胸から抜け出して風にひらひらするのを見受けた事があった。
博士問題とマードック先生と余
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
ストレーカ自身もよほど烈しく抵抗したものと見え、右の手には柄元までべっとり血のついた小さなナイフをしっかりと握り、左の手には赤と黒との絹の
襟飾
(
ネクタイ
)
を掴んでいた。
白銀の失踪
(新字新仮名)
/
アーサー・コナン・ドイル
(著)
襟飾
(
ネクタイ
)
の歪んだの……カフスのズッコケたの……鼻の横に薄赤い、わざとらしい
口紅
(
ミスプリント
)
の在るもの……皆グデングデンに酔っ払っているらしく、私には眼もくれずに、長椅子の上に重なり合って
少女地獄
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
自分が椅子を離れると同時に、先生はあの血色の悪い丸顔を、あのうすよごれた折襟を、あの紫の
襟飾
(
ネクタイ
)
を、一度にこちらへふり向けた。
毛利先生
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
七つ下りの背広、
襟飾
(
ネクタイ
)
が神田っ
児
(
こ
)
の
旋毛
(
つむじ
)
位に曲って、モシャモシャと無精髯の生えた顔は、思いきや哲学者のような峻烈なのに変って居ります。
笑う悪魔
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
ストウ夫人は
命令通
(
いひつけどほ
)
り三十分程
襟飾
(
ネクタイ
)
を見てゐた。その間に煮物が焦げついたか
何
(
ど
)
うかは、私の知つた事ではない。
茶話:03 大正六(一九一七)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
「僕ですか、ああ僕なら明日の午後二時までに、黒
襟飾
(
ネクタイ
)
組を全部一網打尽に捕縛するつもりですよ」
黒襟飾組の魔手
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
しまいに或
唐物屋
(
とうぶつや
)
の店先に飾ってあるハイカラな
襟飾
(
ネクタイ
)
を見た時に、彼はとうとうその
家
(
うち
)
の中へ入って、自分の欲しいと思うものを手に取って、ひねくり廻したりなどした。
明暗
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
この
襟飾
(
ネクタイ
)
は、前夜厩舎へ来た見知らぬ男のつけていたものに間違いないと女中が申し立てた。
白銀の失踪
(新字新仮名)
/
アーサー・コナン・ドイル
(著)
青い革のズボン吊り。本麻、赤縞ワイシャツに猫目石のカフスボタン。三つボタンは十八金。
襟飾
(
ネクタイ
)
は最近流行し初めた緑色の派手なペルシャ模様。
留針
(
タイピン
)
は物々しい金台の
紅玉
(
ルビー
)
。腕輪はニッケルの
撥条
(
ばね
)
。
暗黒公使
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
それをまた毛利先生は、時々紫の
襟飾
(
ネクタイ
)
へ手をやりながら、誤訳は元より
些細
(
ささい
)
な発音の相違まで、一々丁寧に直して行く。
毛利先生
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
今宵の
話手
(
はなして
)
に選ばれた
桃川燕之助
(
ももかわえんのすけ
)
は、五分刈頭にホームスパンのダブダブの洋服、ボヘミアン
襟飾
(
ネクタイ
)
に、穴のあいた
紺足袋
(
こんたび
)
、
藁草履
(
わらぞうり
)
という世にも不思議な風采を壇上に運んで
奇談クラブ〔戦後版〕:14 第四次元の恋
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
彼は男の
後
(
あと
)
を見え隠れにここまで
跟
(
つ
)
いて来て、また見たくもない唐物屋の店先に飾ってある
新柄
(
しんがら
)
の
襟飾
(
ネクタイ
)
だの、
絹帽
(
シルクハット
)
だの、
変
(
かわ
)
り
縞
(
じま
)
の
膝掛
(
ひざかけ
)
だのを
覗
(
のぞ
)
き込みながら、こう遠慮をするようでは
彼岸過迄
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
それから何故か思ひついたやうに、白い
襟飾
(
ネクタイ
)
へ手をやつて見て、又菊の中を忙しく玄関の方へ下りて行つた。
舞踏会
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
桃川燕之助は、
咳
(
がい
)
一咳と云った調子で、少し古風なエロキューションで続けました。大して暑くもないのに、胸のあたりでハタハタと白扇を使うと、ボヘミアン
襟飾
(
ネクタイ
)
が
翩翻
(
へんぽん
)
として宙に泳ぎます。
奇談クラブ〔戦後版〕:14 第四次元の恋
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
あの
頸
(
くび
)
をさ、
襟飾
(
ネクタイ
)
のやうに
結
(
むす
)
んでしまつたら、一体あいつはどうしてほどく気なんだらう。
動物園
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
襟
常用漢字
中学
部首:⾐
18画
飾
常用漢字
中学
部首:⾷
13画
“襟飾”で始まる語句
襟飾り