螺旋形らせんけい)” の例文
幾筋か枝道が出来ている。ある所は彎曲をなし、ある所は螺旋形らせんけいをなし、うっかり枝道へ分け入って、行き詰まるようなこともあった。
任侠二刀流 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
薄暗い螺旋形らせんけいの狭い階段を上って行く。壁には一面のらく書きがしてある。たいてい見物人の名前らしい。登りつめて中段の回廊へ出る。
先生への通信 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
はじめは円をえがき、それからだんだんと径を大きくして、外側へ大きく円を画きつづけるのだ。つまり螺旋形らせんけいの航路をとって探していくのである。
宇宙戦隊 (新字新仮名) / 海野十三(著)
しかもそのコップは上部の壁の一部が開いて屏風びょうぶのような形になっていて、上から見ると六角の螺旋形らせんけいき込んでいるという念の入ったものであった。
雪雑記 (新字新仮名) / 中谷宇吉郎(著)
螺旋形らせんけいの階段を下から上ってゆくと、室の片すみにある船の甲板の出入り口のような四角な穴に出るのだった。
紅薔薇色の壁寄椅子、四面の壁鏡、螺旋形らせんけい梯子段はしごだん——もし蝸牛に踊子があってその派手で古びた殻をマントのように脱ぎ捨てたとしたらそれはこの小店だ。
食魔に贈る (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
螺旋形らせんけいの階段の手すりを、滑り台のように滑って、二人は一気に潜水艦の格納庫に降り立った。
秘境の日輪旗 (新字新仮名) / 蘭郁二郎(著)
およ後方こうほうまうけられたる遞進機ていしんきとを使用しようして、のぼ山道やまみち大木たいぼく巨巖等きよがんとうちからに、螺旋形らせんけい尖端せんたん螺釘らていごと前方ぜんぽう大木たいぼくねぢみ、車内しやない揚上機やうじやうき運轉うんてんともに、その螺旋らせん自然しぜん收縮しゆうしゆくして
奴さんは恐れて、螺旋形らせんけいの階段を走りおりて街路とおりへでたのだ、そして、奴さんの意識は朦朧もうろうとなってしまったさ、奴さんは人道じんどう車道しゃどうも区別なしに歩いていると、荷物かもつ自動車がやって来たさ
雨夜草紙 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
先方むこうの知らぬを幸いに地底を深く螺旋形らせんけいに掘り、大富金山に属すべきものを我らが方へ横取りするは、天意にそむいたいわばぬすみ。
蔦葛木曽棧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
私たちは螺旋形らせんけいに回ってる階段をのぼっていった。そして一つの廊下にで、なおも一つの廊下に出で、なおも一つ廊下を通った。それから低い扉が開かれた。
死刑囚最後の日 (新字新仮名) / ヴィクトル・ユゴー(著)
それが大体きまった大きさの螺旋形らせんけいえがきながら舞って来るのである。そして大部分のものはキラキラと電燈の光に輝いて、結晶面の完全な発達を知らせてくれる。
雪雑記 (新字新仮名) / 中谷宇吉郎(著)
確かに捲きついたと思うと、あとから全体が螺旋形らせんけいに縮れて、適当な弾性をもって緊張するのである。
柿の種 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
その階段は、螺旋形らせんけいにねじれて上へあがっていくようになっていた。階段のはばはかなり広かった。それをのぼりながら三根夫は壁がどんな材料でつくってあるのか注意して見た。
怪星ガン (新字新仮名) / 海野十三(著)
身慄いが細い螺旋形らせんけいの針金にでもつき刺されるように肩から首筋を刺した。
巴里祭 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
しかし、この冐險鐵車ぼうけんてつしや特色とくしよく水中すいちうほか如何いかなる險阻けんそみちでも進行しんかうぬといふことはなく、險山けんざんのぼるには通常つうじやう車輪しやりんほか六個ろくこ強堅きようけんなる齒輪車しりんしやと、車室しやしつ前方ぜんぽう裝置さうちされたる螺旋形らせんけい揚上機やうじやうき
それが大体きまった大きさの螺旋形らせんけいを描きながら舞って来るのである。そして大部分のものはキラキラと電燈の光に輝いて、結晶面の完全な発達を知らせてくれる。
(新字新仮名) / 中谷宇吉郎(著)
球突場たまつきばになってる二階の広間、天井をつきぬけてる螺旋形らせんけいの木の階段、テーブルの上の葡萄酒、壁についてるすす、昼間からともされた蝋燭ろうそく、そういうのがこの居酒屋のありさまだった。
大岩を畳んで築かれた幅三間の階段が無間むげん地獄の地の底眼掛け、螺旋形らせんけいうねっていたが、四人の者は一歩一歩それを下へ下へ下って行く。行くに従い様々の音が地の底から聞こえて来た。
神州纐纈城 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
右まきの螺旋形らせんけいをつくって、行儀ぎょうぎよくとんでいく噴行艇群だった。
大宇宙遠征隊 (新字新仮名) / 海野十三(著)
結晶は落下の途中、流体力学の知識から分るように、水平に近い位置を保ちながら落ちて来るはずで、その時鉛直線を軸として螺旋形らせんけいの道に沿って廻りながら落ちて来る。
(新字新仮名) / 中谷宇吉郎(著)