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虫干
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むしぼし
ふりがな文庫
“
虫干
(
むしぼし
)” の例文
旧字:
蟲干
結局は甲冑の如く床の間に飾られ、弓術の如く食後の腹ごなしに
翫
(
もてあそ
)
ばれ、
烏帽子
(
えぼし
)
直垂
(
ひたたれ
)
の如く
虫干
(
むしぼし
)
に昔しを
偲
(
しの
)
ぶ種子となる外はない。
四十年前:――新文学の曙光――
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
小供のとき家に五六十幅の
画
(
え
)
があった。ある時は床の間の前で、ある時は蔵の中で、またある時は
虫干
(
むしぼし
)
の折に、余は
交
(
かわ
)
る交るそれを見た。
思い出す事など
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
その鏡はなんとかいう寺の宝物のようになっていて、明治以後にも
虫干
(
むしぼし
)
の時には陳列して見せたそうであるが、今はどうなったか判らない。
青蛙堂鬼談
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
渋江氏は比良野
貞固
(
さだかた
)
に
諮
(
はか
)
って、伊沢氏から還された書籍の主なものを津軽家の倉庫にあずけた。そして毎年二度ずつ
虫干
(
むしぼし
)
をすることに定めた。
渋江抽斎
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
そりや
無論
(
むろん
)
道具よ。女に道具以上の
價値
(
かち
)
があツて
耐
(
たま
)
るものか。だがさ、早い話が、お前は大事な着物を
虫干
(
むしぼし
)
にして
樟腦
(
しやうなう
)
まで入れて
藏
(
しま
)
ツて置くだらう。
青い顔
(旧字旧仮名)
/
三島霜川
(著)
▼ もっと見る
昨日から寺西家では
虫干
(
むしぼし
)
が始まつて居るんだ相で、土用干といふ位だから、土用中にやるのかと思つたら、土用中は濕氣があるから、秋口になつてやる方が宜いんですつてね。
銭形平次捕物控:279 持参千両
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
不昧公は千家へ
往
(
ゆ
)
く途中で、急にその日は大徳寺に
宝物
(
ほうもつ
)
の
虫干
(
むしぼし
)
がある事を思ひ出した。
茶話:04 大正七(一九一八)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
それでいて、十代の娘時分から、赤いものが大嫌いだったそうで、
土用
(
どよう
)
の
虫干
(
むしぼし
)
の時にも、私は
柿色
(
かきいろ
)
の
三升格子
(
みますごうし
)
や千鳥に
浪
(
なみ
)
を染めた
友禅
(
ゆうぜん
)
の
外
(
ほか
)
、何一つ花々しい
長襦袢
(
ながじゅばん
)
なぞ見た事はなかった。
監獄署の裏
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
と
納戸
(
なんど
)
へ入って、戸棚から持出した
風呂敷包
(
ふろしきづつみ
)
が、その
錦絵
(
にしきえ
)
で、
国貞
(
くにさだ
)
の画が二百余枚、
虫干
(
むしぼし
)
の時、
雛祭
(
ひなまつり
)
、秋の
長夜
(
ながよ
)
のおりおりごとに、
馴染
(
なじみ
)
の
姉様
(
あねさま
)
三千で、
下谷
(
したや
)
の
伊達者
(
だてしゃ
)
、
深川
(
ふかがわ
)
の
婀娜者
(
あだもの
)
が
沢山
(
たんと
)
いる。
国貞えがく
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
虫干
(
むしぼし
)
や
甥
(
おい
)
の僧訪ふ東大寺
俳人蕪村
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
虫干
(
むしぼし
)
の日に現れたる
晶子詩篇全集
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
父
(
ちゝ
)
の
云
(
い
)
ひ
付
(
つけ
)
で、
毎年
(
まいねん
)
の
通
(
とほ
)
り
虫干
(
むしぼし
)
の
手傳
(
てつだひ
)
をさせられるのも、
斯
(
こ
)
んな
時
(
とき
)
には、
却
(
かへ
)
つて
興味
(
きようみ
)
の
多
(
おほ
)
い
仕事
(
しごと
)
の
一部分
(
いちぶぶん
)
に
數
(
かぞ
)
へられた。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
屋敷の名は明らかに云うわけには行かないが、自分は
西国
(
さいこく
)
の或る藩中に勤めている者で、あの生成の仮面は主人の屋敷で当夏
虫干
(
むしぼし
)
のみぎりに紛失したものである。
半七捕物帳:42 仮面
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
毎年
(
まいねん
)
一度の
虫干
(
むしぼし
)
の日ほど、なつかしいものはない。
虫干
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
「ぢや、
氣紛
(
きまぐれ
)
で
私
(
わたくし
)
を
虫干
(
むしぼし
)
になさるんですか。」
青い顔
(旧字旧仮名)
/
三島霜川
(著)
紫
(
むらさき
)
の
裾模様
(
すそもやう
)
の小
袖
(
そで
)
に金糸の
刺繍
(
ぬひ
)
が見える。袖から
袖
(
そで
)
へ
幔幕
(
まんまく
)
の
綱
(
つな
)
を通して、
虫干
(
むしぼし
)
の時の様に
釣
(
つ
)
るした。
袖
(
そで
)
は丸くて
短
(
みぢ
)
かい。是が
元禄
(
げんろく
)
かと三四郎も気が
付
(
つ
)
いた。
其外
(
そのほか
)
には
画
(
ゑ
)
が沢山ある。
三四郎
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
「もう
虫干
(
むしぼし
)
をなさいますの。」
つゆのあとさき
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
虫
常用漢字
小1
部首:⾍
6画
干
常用漢字
小6
部首:⼲
3画
“虫干”で始まる語句
虫干幕
虫干仕舞