ぐすり)” の例文
旧字:
「ねずみさん、油断ゆだんをしてはいけません。昨日きのう昼間ひるま人間にんげんがねずみとりぐすりものなかへいれて、そのへんにまいたようですから……。」
ねずみとバケツの話 (新字新仮名) / 小川未明(著)
「でも、父の秘本に、赤い光を出すぐすりのことが書いてあって、それには、墓場にあるある物から一つの薬をとるのだといっていましたが」
銀河まつり (新字新仮名) / 吉川英治(著)
圭子はよく彼女をつかまへて、ぐすりをたらしてみこませるために、目蓋まぶたきかへして、何分かのあひだ抑へてゐるのであつたが、片目の目脂めやにが少し減つたと思ふと
チビの魂 (新字旧仮名) / 徳田秋声(著)
西口ミサコの家からミサ子の母親が、うどんこと卵をねったはりぐすりぬのにのばしてもってきた。
二十四の瞳 (新字新仮名) / 壺井栄(著)
慄悚ぞっとした、玉露を飲んで、中気ぐすりめさせられた。そのいやな心持。えいめたといううちにも、エイと掛声で、上框あがりがまちに腰を落して、直してあった下駄を突っかける時
雪柳 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
こんなことでははかがいかぬと急に鉄砲買いを思いつき、商用の便宜のために心にもない切支丹のお水を授かり、葡萄牙人の間を駆けまわって、鉄砲、鉄砲ぐすり、鉄砲玉、火砲、海戦道具と
うすゆき抄 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
日本に於ける蠑螈ゐもりの黒焼と等しく所謂いはゆるぐすり」として盛んに使用せられたことであり、その二は之を地より抜く際、物凄い叫び声を発し、其の声を聞いた者は皆気が狂ふといふ迷信である。
毒と迷信 (新字旧仮名) / 小酒井不木(著)
ホールがうろうろしながら、気つけぐすりをおかみさんの口におしあてた。
文芸と階級問題との関係は、頭と毛生けはぐすりとの関係に似ている。もしちやんと毛が生えてゐれば、かならずしも塗る事を必要としない。又もし禿げ頭だつたとすれば、恐らくは塗つてもかないであらう。
澄江堂雑記 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
病人は、がれいのように平たくなって、昏睡こんすいしていた。枕元には、せんぐすりも見えない。うす寒い空気と壁があるだけで、台所にも、一粒の米粒すらなさそうである。
治郎吉格子 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
むらまちあいだに、一けん医院いいんがあります。村人むらびとにいわせると、この医者いしゃくすりたかいから、めったに、かかれない。だから、どこでもぐすりで、まにあわせるといううわさをしました。
天女とお化け (新字新仮名) / 小川未明(著)
少年しょうねんが、しろぐすりすと
薬売りの少年 (新字新仮名) / 小川未明(著)