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せすじ
ふりがな文庫
“
脊筋
(
せすじ
)” の例文
私がのっそりと
突立
(
つッた
)
った
裾
(
すそ
)
へ、女の
脊筋
(
せすじ
)
が
絡
(
まつわ
)
ったようになって、右に左に、肩を
曲
(
くね
)
ると、
居勝手
(
いがって
)
が悪く、白い指がちらちら乱れる。
二、三羽――十二、三羽
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
そして急に
冷
(
ひ
)
え
冷
(
び
)
えとした
山気
(
さんき
)
のようなものが、ゾッと
脊筋
(
せすじ
)
に感じる。そのとき人は、その
急坂
(
きゅうはん
)
に鼠の姿を見るだろう。
西湖の屍人
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
相川青年はそれを聞くと、
脊筋
(
せすじ
)
を虫が這う感じで、ゾーッとしないではいられなかった。文句こそありふれた安来節だけれど、それはこの世のものではない。
妖虫
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
俎板
(
まないた
)
の上で首を切られても、
胴体
(
どうたい
)
だけはぴくぴく動いている
河沙魚
(
かわはぜ
)
のような、
明瞭
(
はっき
)
りとした、動物的な感覚だけが、千穂子の
脊筋
(
せすじ
)
をみみずのように動いているのだ。
河沙魚
(新字新仮名)
/
林芙美子
(著)
そう思って、考えてみたのですが、次の瞬間、私は
脊筋
(
せすじ
)
にすーっと冷たい物の
駛
(
はし
)
るのを感じました。
歪んだ夢
(新字新仮名)
/
蘭郁二郎
(著)
▼ もっと見る
しかし起きて
膳
(
ぜん
)
に向った時、彼には
微
(
かす
)
かな寒気が
脊筋
(
せすじ
)
を上から下へ伝わって行くような感じがあった。その後で
烈
(
はげ
)
しい
嚏
(
くさみ
)
が二つほど出た。傍にいる細君は黙っていた。
道草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
お涌はさういふ気持ちで喚く時、
脊筋
(
せすじ
)
を通る徹底した
甘酸
(
あまずっぱ
)
い気持ちに襲はれ
頸筋
(
くびすじ
)
を
小慄
(
こぶる
)
ひさせた。
蝙蝠
(新字旧仮名)
/
岡本かの子
(著)
妙に
疳
(
かん
)
にさわって、おい、お慶、日は短いのだぞ、などと大人びた、いま思っても
脊筋
(
せすじ
)
の寒くなるような非道の言葉を投げつけて、それで足りずに一度はお慶をよびつけ
黄金風景
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
それは丁度
初夏
(
はつなつ
)
頃の陽気で、肥ったお島は長い野道を歩いて、
脊筋
(
せすじ
)
が汗ばんでいた。顔にも汗がにじんで、
白粉
(
おしろい
)
の
剥
(
は
)
げかかったのを、懐中から鏡を取出して、直したりした。
あらくれ
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
数日来
見飽
(
みあ
)
きるほど見て来た
平凡
(
へいぼん
)
な木乃伊である。彼は、そのまま、行過ぎようとして、ふとその木乃伊の顔を見た。
途端
(
とたん
)
に、冷熱いずれともつかぬものが、彼の
脊筋
(
せすじ
)
を走った。
木乃伊
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
いきなり
飛
(
とび
)
かゝって、娘の上に乗し掛っている奴の
褌
(
ふんどし
)
の結び目と
領首
(
えりくび
)
を
取捕
(
とッつか
)
まえて
後
(
うしろ
)
の方へ
投
(
なげ
)
ると、松の
樹
(
き
)
へ
打附
(
ぶッつ
)
けられ、
脊筋
(
せすじ
)
が痛いからくの字なりになって尻餅を
搗
(
つ
)
き、腰を
撫
(
さす
)
って居りまする。
粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分):02 粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分)
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
主水は正坐して
脊筋
(
せすじ
)
を立てると
鈴木主水
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
外
(
ほか
)
の
綺麗
(
きれい
)
な部分とは比較にならぬ程
汚
(
よご
)
れていたし、髷に続く
項
(
うなじ
)
の奥には、着物の襟と背中との作る谷底を真上から覗くので、
脊筋
(
せすじ
)
の窪みまで見えて、そして
陰獣
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
……城の石垣に於て、
大蛇
(
おおへび
)
と
捏合
(
こねお
)
うた、あの
臭気
(
におい
)
が
脊筋
(
せすじ
)
から脇へ
纏
(
まと
)
うて、飛ぶほどに、
駈
(
か
)
けるほどに、段々
堪
(
たま
)
らぬ。よつて、此の
大盥
(
おおだらい
)
で、
一寸
(
ちょっと
)
行水
(
ぎょうずい
)
をばちや/\
遣
(
や
)
つた。
妖魔の辻占
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
溜息
(
ためいき
)
をついて市電に乗り、自分にとって、この世の中でたった一つの頼みの綱は、あの堀木なのか、と思い知ったら、何か
脊筋
(
せすじ
)
の寒くなるような
凄
(
すさま
)
じい気配に襲われました。
人間失格
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
「だらしがないわ皆三さん。着物の
脊筋
(
せすじ
)
を、こんなに曲げて着てるつてないわ」
蝙蝠
(新字旧仮名)
/
岡本かの子
(著)
……
膚
(
はだ
)
は
蔽
(
おお
)
うたよりふっくりと肉を置いて、
脊筋
(
せすじ
)
をすんなりと、
撫肩
(
なでがた
)
して、白い脇を
乳
(
ちち
)
が
覗
(
のぞ
)
いた。
二、三羽――十二、三羽
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
脊
常用漢字
中学
部首:⾁
10画
筋
常用漢字
小6
部首:⽵
12画
“脊”で始まる語句
脊
脊負
脊中
脊髄
脊丈
脊梁
脊椎
脊柱
脊伸
脊骨