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背向
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うしろむき
ふりがな文庫
“
背向
(
うしろむき
)” の例文
夫人この時は、
後毛
(
おくれげ
)
のはらはらとかかった、江戸紫の襟に映る、雪のような
項
(
うなじ
)
を
此方
(
こなた
)
に、
背向
(
うしろむき
)
に
火桶
(
ひおけ
)
に
凭掛
(
よりかか
)
っていたが、
軽
(
かろ
)
く振向き
伊勢之巻
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
忍びて様子をうかがいたまわば、すッと障子をあくると共に、
銀杏返
(
いちょうがえし
)
の
背向
(
うしろむき
)
に、あとあし下りに
入
(
い
)
り来りて、諸君の
枕辺
(
まくらべ
)
に近づくべし。
化銀杏
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
与吉は
独
(
ひとり
)
で頷いたが、
背向
(
うしろむき
)
になって、
肱
(
ひじ
)
を張って、
南
(
なん
)
の字の印が動く、半被の袖をぐッと引いて、手を
掉
(
ふ
)
って
三尺角
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
與吉
(
よきち
)
は
獨
(
ひとり
)
で
頷
(
うなづ
)
いたが、
背向
(
うしろむき
)
になつて、
肱
(
ひぢ
)
を
張
(
は
)
つて、
南
(
なん
)
の
字
(
じ
)
の
印
(
しるし
)
が
動
(
うご
)
く、
半被
(
はつぴ
)
の
袖
(
そで
)
をぐツと
引
(
ひ
)
いて、
手
(
て
)
を
掉
(
ふ
)
つて
三尺角
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
(五助さん、これでしょう、)と晩方
遊女
(
おいらん
)
が
遣
(
や
)
った図にそっくりだ。はっと思うトタンに
背向
(
うしろむき
)
になって仰向けに、そうよ、
上口
(
あがりぐち
)
の方にかかった、姿見を見た。
註文帳
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
▼ もっと見る
身を起して
背向
(
うしろむき
)
になったが、
庖丁
(
ほうちょう
)
を取出すでもなく、縁台の
彼方
(
あなた
)
の三畳ばかりの
住居
(
すまい
)
へ戻って、薄い
座蒲団
(
ざぶとん
)
の
傍
(
かたわら
)
に、
散
(
ちら
)
ばったように差置いた、
煙草
(
たばこ
)
の箱と
長煙管
(
ながぎせる
)
。
伊勢之巻
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
が、今度は、おなじ象の鼻で、反対に、
背向
(
うしろむき
)
に
刎
(
は
)
ねられたんだね、土耳古人は向うむきになって、どしどし楽屋を出ちまったよ。刎ねられ方は簡単だけれど、今度は
昨夜
(
ゆうべ
)
より
落胆
(
がっかり
)
した。
ピストルの使い方:――(前題――楊弓)
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
時
(
とき
)
其時
(
そのとき
)
、
玄々
(
げん/\
)
不可思議奇絶怪絶、
紅
(
あか
)
きものちらりと見えて、
背向
(
うしろむき
)
の婦人
一人
(
いちにん
)
、我を去る十歩の内に、立ちしは夢か、幻か、我はた
現心
(
うつゝごころ
)
になりて思はず
一歩
(
ひとあし
)
引退
(
ひつさが
)
れる、とたんに
此方
(
こなた
)
を振返りし
妖怪年代記
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
襖
(
ふすま
)
も畳も天井も
黄昏
(
たそがれ
)
の色が
籠
(
こも
)
ったのに、座はただ白け返った処へ、一道の火光
颯
(
さっ
)
と
葭戸
(
よしど
)
を透いて、やがて台附の
洋燈
(
ランプ
)
をそれへ、小間使の光は、団扇を手にしたまま
背向
(
うしろむき
)
になっている才子の
傍
(
かたわら
)
へ
三枚続
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
白
(
しろ
)
い
乳
(
ちゝ
)
を
出
(
だ
)
して
居
(
ゐ
)
るのは
胸
(
むね
)
の
處
(
ところ
)
ばかり、
背向
(
うしろむき
)
のは
帶
(
おび
)
の
結目許
(
ゆひめばか
)
り、
疊
(
たゝみ
)
に
手
(
て
)
をついて
居
(
ゐ
)
るのもあつたし、
立膝
(
たてひざ
)
をして
居
(
ゐ
)
るのもあつたと
思
(
おも
)
ふのと
見
(
み
)
るのと
瞬
(
またゝ
)
くうち、ずらりと
居並
(
ゐなら
)
んだのが
一齊
(
いつせい
)
に
私
(
わたし
)
を
見
(
み
)
た
怪談女の輪
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
背
常用漢字
小6
部首:⾁
9画
向
常用漢字
小3
部首:⼝
6画
“背”で始まる語句
背後
背
背負
背中
背丈
背戸
背嚢
背景
背馳
背広