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耳朶
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みゝたぶ
ふりがな文庫
“
耳朶
(
みゝたぶ
)” の例文
明色
(
めいしよく
)
の髪の毛には、菫の輪飾が戴かせてある。
耳朶
(
みゝたぶ
)
にはアウリカルクムの輪が嵌めてある。きらめく宝石の鎖が胸の上に垂れてゐる。
クサンチス
(新字旧仮名)
/
アルベール・サマン
(著)
髯の跡青く、受け口にて、前齒二本
缺
(
か
)
け落ちたり。右
耳朶
(
みゝたぶ
)
に小豆粒ほどの黒子あり。言葉は中國
訛
(
なま
)
り。聲小にして、至つて穩かなり——
銭形平次捕物控:101 お秀の父
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「
耳朶
(
みゝたぶ
)
に怪我をしたものだから、縫つて貰はうと思つて来たのだが、余り手間取るから
寧
(
いつ
)
そ食つてしまはうと思つて。」
茶話:03 大正六(一九一七)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
其
(
その
)
濁
(
にご
)
つた
音
(
おと
)
が
彗星
(
はうきぼし
)
の
尾
(
を
)
の
樣
(
やう
)
にぼうと
宗助
(
そうすけ
)
の
耳朶
(
みゝたぶ
)
にしばらく
響
(
ひゞ
)
いてゐた。
次
(
つぎ
)
には
二
(
ふた
)
つ
鳴
(
な
)
つた。
甚
(
はなは
)
だ
淋
(
さみ
)
しい
音
(
おと
)
であつた。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
其
(
そ
)
の
姿
(
すがた
)
で
手
(
て
)
をつきました。あゝ、うつくしい
白
(
しろ
)
い
指
(
ゆび
)
、
結立
(
ゆひた
)
ての
品
(
ひん
)
のいゝ
圓髷
(
まるまげ
)
の、
情
(
なさけ
)
らしい
柔順
(
すなほ
)
な
髱
(
たぼ
)
の
耳朶
(
みゝたぶ
)
かけて、
雪
(
ゆき
)
なす
項
(
うなじ
)
が
優
(
やさ
)
しく
清
(
きよ
)
らかに
俯向
(
うつむ
)
いたのです。
雪霊記事
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
▼ もっと見る
瞬く間、窓の外が明るくなつたと思ふと、汽車は、とある森の中の小さい驛を
通過
(
パツス
)
した。お定は此時、丑之助の右の
耳朶
(
みゝたぶ
)
の、大きい
黒子
(
ほくろ
)
を思出したのである。
天鵞絨
(旧字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
と、晩飯の食堂で室長に私は
叱
(
しか
)
られて、お
椀
(
わん
)
と
杓子
(
しやくし
)
とを持つたまゝ、
耳朶
(
みゝたぶ
)
まで
赧
(
あか
)
くなつた顔を伏せた。
途上
(新字旧仮名)
/
嘉村礒多
(著)
眼瞼
(
まぶた
)
の裏の紅い処をひっくりかえして白眼を出させたり、
耳朶
(
みゝたぶ
)
や唇の端を掴んで振って見たり、芝居の子役か
雛妓
(
おしゃく
)
の手のようなきゃしゃな青白い指先が狡猾に働いて
少年
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
大太鼓は
耳朶
(
みゝたぶ
)
を引張る様に濁つて、淋しく物哀れに、然し何か透き通つた様に聞えて、継母と姉と自分の三人の家内が、今にも何かに襲はれて消えて終ふのではないかと
死線を越えて:01 死線を越えて
(新字旧仮名)
/
賀川豊彦
(著)
「あツ、……」と叫んだ母は、兩手で
耳朶
(
みゝたぶ
)
に蓋をした。六十六部の多く通る麥秋の頃には、文吾の家の表戸が閉め切つてあつて、六部に留守だと思はせるやうにしてあつた。
石川五右衛門の生立
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
金メッキの耳輪が、小さい
耳朶
(
みゝたぶ
)
にゆれてゐる。黒い髪の毛は、
襟
(
えり
)
もとで短く刈り込んでゐた。
浮雲
(新字旧仮名)
/
林芙美子
(著)
耳朶
(
みゝたぶ
)
のちぎれかけた男も、踵をそがれた男も、腰に弾丸のはまった男も、上膊骨を折った男も、それ/″\、憐れみと、懇願の混合した眼ざしを持って弱々しげに這入ったきた。
氷河
(新字新仮名)
/
黒島伝治
(著)
平次は娘の死骸を兩手で抱き上げるやうに、外から入る光線を、その可愛らしい
耳朶
(
みゝたぶ
)
の中に射し込ませるのでした。
銭形平次捕物控:208 青銭と鍵
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「正義」の
大商人
(
おほあきんど
)
ウヰルソン氏なぞ、よく気を
注
(
つ
)
けないと、兎のやうな
耳朶
(
みゝたぶ
)
を
拗
(
ちぎ
)
れる程引張られるかも知れないて。
茶話:03 大正六(一九一七)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
耳朶
(
みゝたぶ
)
にぶんと響き、脳にぐわら/\と
浸
(
し
)
み
渡
(
わた
)
れば、
眼
(
まなこ
)
眩
(
くら
)
み、
心
(
こゝろ
)
消
(
き
)
え、気も
空
(
そら
)
になり足
漾
(
ただよ
)
ひ、魂ふら/\と抜出でて
藻脱
(
もぬけ
)
となりし五尺の
殻
(
から
)
の縁側まで逃げたるは、一秒を経ざる瞬間なりき。
妖怪年代記
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
と、旦那が
耳朶
(
みゝたぶ
)
を引っ張って、こづき廻すと
幇間
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
女の心の臓が案外
健康
(
ぢやうぶ
)
だつたので、幾らか物足りない気持で、医者が待合室へ入つて来ると、そこには中馬が引き拗つた
耳朶
(
みゝたぶ
)
を火鉢の火で
炙
(
あぶ
)
つてゐた。
茶話:03 大正六(一九一七)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
玉ちやんには左の
耳朶
(
みゝたぶ
)
の下に可愛らしい
黒子
(
ほくろ
)
がありますし、左二の腕に私と一緒にふざけて
彫
(
ほ
)
つた、小さい/\
干支
(
えと
)
の
巳
(
み
)
(蛇)があるんです。これと
對
(
つゐ
)
の——
銭形平次捕物控:160 二つの刺青
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
頬に
刺青
(
いれずみ
)
か何んかあるが、右の
耳朶
(
みゝたぶ
)
に
凍傷
(
しもやけ
)
の跡があつて、左の手の小指が子供の時の怪我で曲つて居ますだ。誰が何んと言つても、伜の文三に間違ひはありましねえ
銭形平次捕物控:173 若様の死
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
キツチナアはだしぬけに
耳朶
(
みゝたぶ
)
を引張られたやうな顔をした。——若い将校め、何といふ不作法な事を言つたものか。こんなのに限つて、一度は女の前でとんぼがへりをする奴さ。
茶話:05 大正八(一九一九)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
「あの邊のことなら、酒屋のムク犬の顏まで知つて居ますよ、ましてお蝶にお輝と來ちや、何方も負けず劣らず綺麗だから、可愛らしい
耳朶
(
みゝたぶ
)
の下の赤い
黒子
(
ほくろ
)
まで心得て居ます」
銭形平次捕物控:263 死の踊り子
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
その心祝ひに呼んだ同僚や
朋輩
(
ほうばい
)
、七、八人の取持ちにつれて行つた娘のお
節
(
せつ
)
、十八になつたばかりの、目出度くも可愛らしいのが、凉み船に飛んで來た矢に、右の
耳朶
(
みゝたぶ
)
を射られましたが
銭形平次捕物控:310 闇に飛ぶ箭
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
白い首筋、桃色の
耳朶
(
みゝたぶ
)
、美しくも惱ましい歎きの姿です。
銭形平次捕物控:103 巨盗還る
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
前齒が一枚
缺
(
か
)
けて、右の
耳朶
(
みゝたぶ
)
に傷があつたやうだ。
銭形平次捕物控:183 盗まれた十手
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
“耳朶”の意味
《名詞》
耳 朶(ジダ、みみたぶ)
みみたぶ。
(出典:Wiktionary)
“耳朶(耳たぶ)”の解説
耳たぶ(みみたぶ)は外耳の構成要素で耳殻の下部に垂れ下がった柔らかい肉のこと。耳朶(じだ)、耳垂(じすい)、耳たぼ(みみたぼ)とも言う。
(出典:Wikipedia)
耳
常用漢字
小1
部首:⽿
6画
朶
漢検1級
部首:⽊
6画
“耳朶”で始まる語句
耳朶色