罵倒ばたう)” の例文
おゝ、自然しぜんてきたいして、みづから、罵倒ばたうするやうな木像もくざうでは、前方さき約束やくそくげんのも無理むりはない……駄物だもの駄物だもの駄物だもの
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
飛びつくやうに抱き起したガラツ八、これはあまり醉つてゐない上、どんなに罵倒ばたうされても、親分の平次に向つて腹を立てるやうな男ではありません。
彼に対する一種すが/\しい、痛快味のこもつた心持だつた。そしてわたしは平常へいぜいの感情の吐け口を得たやうに、口をきはめてあの若者を罵倒ばたうして聞かせた。
愚かな父 (新字旧仮名) / 犬養健(著)
公爵こうしやくたれてるのをると、如何どうしても土偶どぐうらしい。黒色こくしよく土偶どぐうの一らしいので『萬歳ばんざい』をとなへる。なかには、まへからつて二人ふたりは、そもそなにしつゝりやなど罵倒ばたうる。
今夜こんやあなたのおとうさんが、ぼく罵倒ばたうしてしたのも、おやとして無理むりなことではありません。まつたぼくといふをとこは、あなたをなにひとつ幸福かうふくにしてあげることなんかできない人間にんげんなんですから……
彼女こゝに眠る (旧字旧仮名) / 若杉鳥子(著)
俺が死んだらうする? 其のくせお前は、俺の體が虚弱きよじやくだとか、俺の性質が陰氣いんきだとかツて、絶えず俺のことを罵倒ばたうしてゐる、罵倒しながら、おれに依ツて自己じこ存立そんりつを安全にしてゐるのだから
青い顔 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
罵倒ばたうしたが、そばに立つて居る子息むすこの妻に向つて
重右衛門の最後 (新字旧仮名) / 田山花袋(著)
新兵衞の唇からは、罵倒ばたうといふよりは、泣言とも愚痴ぐちともつかぬ言葉が突いて出ました。
それよりして以來いらい——癇癪かんしやくでなく、いきどほりでなく、先生せんせいがいゝ機嫌きげんで、しかも警句けいくくもごとく、弟子でしをならべて罵倒ばたうして、いきほひあたるべからざるときふと、つゝきつて、くばせして
春着 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)