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細紐
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ほそひも
ふりがな文庫
“
細紐
(
ほそひも
)” の例文
「見ましたとも、首を締めた
細紐
(
ほそひも
)
まで見ましたよ。尤も仰向になつて居ましたが、不思議なことに結び目が首の後ろにあつたやうで」
銭形平次捕物控:300 系図の刺青
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
その着物は一枚の
小袖
(
こそで
)
と
細紐
(
ほそひも
)
だけでは事足りず、何枚かの着物といくつもの紐と、そしてその紐は妙な形にむすばれ不必要に垂れ流されて
桜の森の満開の下
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
関口は、うしろに置いてあった分厚い
革鞄
(
かわかばん
)
を引き寄せると、中から油紙に包み、厳重に
細紐
(
ほそひも
)
でからげた片手握りほどの太さのものを出した。
お守り
(新字新仮名)
/
山川方夫
(著)
この勤勉な、労苦を労苦とも思わないような人達に励まされて、お雪も
手拭
(
てぬぐい
)
を冠り、ウワッパリに
細紐
(
ほそひも
)
を巻付けて、
下婢
(
おんな
)
を助けながら働いた。
家:01 (上)
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
召していた衣服もすべて
剥
(
は
)
ぎとられたか、おとめの
羞恥
(
しゅうち
)
をわずかにつつみ得る布一枚に
細紐
(
ほそひも
)
一ツのすがたでもあった。
新書太閤記:10 第十分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
▼ もっと見る
だが、足元には、
細紐
(
ほそひも
)
一本すら、落ちてはいなかった。まるで見えない透明の縄で、からだを縛られていたようだ。
火星兵団
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
いや、洗いたての、男の
浴衣
(
ゆかた
)
だ。荒い棒縞で、帯は、おなじ布地の
細紐
(
ほそひも
)
。柔道着のように、前結びだ。あの、宿屋の浴衣だな。あんなのがいいのだ。すこし、少年を
雌に就いて
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
彼方
(
あなた
)
の丈高い影は見え、此方は頭上から
白
(
しら
)
はげた古かつぎを
細紐
(
ほそひも
)
の胴ゆわいというばかりの身なりから、気取られました様子も無く、巧くゆきましたのでございまする。
雪たたき
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
田舎娘
(
いなかむすめ
)
にしてはからだが少し白すぎやしないかしらと心配しながら、次々と
細紐
(
ほそひも
)
を解いて行った。
人間豹
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
母もとうとう断念したらしく、
鏡台
(
きょうだい
)
を
縁側
(
えんがわ
)
に持ち出して私の髪を
結
(
ゆ
)
ってくれたり、
箪笥
(
たんす
)
の一ばん上の
抽斗
(
ひきだし
)
から赤い
支那緞子
(
しなどんす
)
の
片
(
きれ
)
でつくった
巾着
(
きんちゃく
)
と
細紐
(
ほそひも
)
とを私にくれたりした。
何が私をこうさせたか:――獄中手記――
(新字新仮名)
/
金子ふみ子
(著)
風呂
(
ふろ
)
に入ってから、二人はいつかの陰気な居間で休んだのだったが、しばらくすると葉子は
細紐
(
ほそひも
)
をもって彼にのしかかって来たかと思うと、悪ふざけとも思えない
目色
(
めつき
)
をして
仮装人物
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
細紐
(
ほそひも
)
や、足袋や、切れた三味線の糸や、まるめた
紙屑
(
かみくず
)
などがちらばっているし、裸のままの三味線が二
挺
(
ちょう
)
、針穴のいっぱいある行燈といっしょに、隅のほうに立てかけられたまま
雪と泥
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
と
婀娜
(
あだ
)
たる声、障子を開けて顔を出した、水色の
唐縮緬
(
とうちりめん
)
を
引裂
(
ひっさ
)
いたままの
襷
(
たすき
)
、玉のような
腕
(
かいな
)
もあらわに、
蜘蛛
(
くも
)
の
囲
(
い
)
を
絞
(
しぼ
)
った
浴衣
(
ゆかた
)
、帯は
占
(
し
)
めず、
細紐
(
ほそひも
)
の
態
(
なり
)
で
裾
(
すそ
)
を
端折
(
はしょ
)
って、布の純白なのを
三尺角
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
岸本は節子に
珠数
(
ずず
)
を贈った。幾つかの透明な硝子の
珠
(
たま
)
をつなぎ合せて、青い
清楚
(
せいそ
)
な
細紐
(
ほそひも
)
に
貫通
(
とお
)
したもので、女の持つ物に
適
(
ふさ
)
わしく出来ていた。
新生
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
下女が見付けて大騷ぎになり、兎も角も首に卷き付けた
細紐
(
ほそひも
)
だけを
外
(
はづ
)
して、一應介抱して見たが、もう冷たくなつてゐるんだ。息を吹き返す道理はない。
銭形平次捕物控:109 二人浜路
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
帆村の興味は、そんなことよりも、大島の松の木にひっかかっていたお化け鞄と猫又の死骸と
血染
(
ちぞめ
)
の
細紐
(
ほそひも
)
が、何を語っているか、それを解くことに
懸
(
かか
)
っていた。
鞄らしくない鞄
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
「ええ本当ですとも」と曾根隆助は云った、「先月の末でしたか、朝のまだ暗いうちに、お琴のやつが二階からおりて来たので吃驚しました、寝衣に
細紐
(
ほそひも
)
をしめただけの恰好です」
季節のない街
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
と
婀娜
(
あだ
)
たる
聲
(
こゑ
)
、
障子
(
しやうじ
)
を
開
(
あ
)
けて
顏
(
かほ
)
を
出
(
だ
)
した、
水色
(
みづいろ
)
の
唐縮緬
(
たうちりめん
)
を
引裂
(
ひつさ
)
いたまゝの
襷
(
たすき
)
、
玉
(
たま
)
のやうな
腕
(
かひな
)
もあらはに、
蜘蛛
(
くも
)
の
圍
(
ゐ
)
を
絞
(
しぼ
)
つた
浴衣
(
ゆかた
)
、
帶
(
おび
)
は
占
(
し
)
めず、
細紐
(
ほそひも
)
の
態
(
なり
)
で
裾
(
すそ
)
を
端折
(
はしよ
)
つて、
布
(
ぬの
)
の
純白
(
じゆんぱく
)
なのを
三尺角
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
死人の
頸
(
くび
)
に卷いたのは、皮肉なことに、同じ部屋に居眠して居たお村の赤い
細紐
(
ほそひも
)
で、蒲團の
裾
(
すそ
)
の方には、立派な
縫
(
ぬひ
)
つぶしの紙入れが一つ落ちて居ります。
銭形平次捕物控:020 朱塗りの筐
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
巧
(
たく
)
みなる手段によって
籠絡
(
ろうらく
)
すると、その力を借りて、猫又とお化け鞄とを盗み出させ、それから
細紐
(
ほそひも
)
で自分の手首をしばって、猫又を入れたお化け鞄に結びつけ、鞄の把柄を下へ押し下げた。
鞄らしくない鞄
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
下女が見付けて大騒ぎになり、ともかくも首に巻き付けた
細紐
(
ほそひも
)
だけを
外
(
はず
)
して、一応介抱してみたが、もう冷たくなっているんだ。息を吹き返す道理はない。
銭形平次捕物控:109 二人浜路
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
首筋のあたりを見ると、間違ひもなく
細紐
(
ほそひも
)
で締められた跡がありますが、それも至つて薄く、首が
畸形的
(
きけいてき
)
に伸びてない點など、自殺でないことは馴れた八五郎には一と眼で解ります。
銭形平次捕物控:145 蜘蛛の巣
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
頸
(
くび
)
へ卷きつけたのは、お角の
細紐
(
ほそひも
)
、
四方
(
あたり
)
を見ると大して取亂した樣子もなく、ほんの一と思ひに
殺
(
や
)
られたことは解りますが、餘つ程
慣
(
な
)
れた奴と見えて、後に毛程の證據も殘しません。
銭形平次捕物控:064 九百九十両
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
首筋のあたりを見ると、間違いもなく
細紐
(
ほそひも
)
で絞められた跡がありますが、それも至って薄く、首が
畸形的
(
きけいてき
)
に伸びてない点など、自殺でないことは馴れた八五郎には一と眼でわかります。
銭形平次捕物控:145 蜘蛛の巣
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
下女のお信は、自分の
細紐
(
ほそひも
)
で首を締められて、これは植込の蔭に投り込んでありました、後に殘つた證據といふものは一つも無く、多勢の人が泊つて居たので、誰の仕業とも見當はつきません。
銭形平次捕物控:272 飛ぶ若衆
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
首の下に前から仕掛けた
細紐
(
ほそひも
)
で絞め殺し、窓の下へ相棒に大八車を持ち込ませ、窓の敷居から車の上へ、
金襴
(
きんらん
)
の帶を張り渡して、死骸を車の上へ滑らせた、——その仕掛けを皆んな話してやるのだ
銭形平次捕物控:300 系図の刺青
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
細紐
(
ほそひも
)
で後ろから絞められて、声も立てずに死んだのでしょう。
銭形平次捕物控:104 活き仏
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
細
常用漢字
小2
部首:⽷
11画
紐
漢検準1級
部首:⽷
10画
“細紐”で始まる語句
細紐姿