納涼すゞみ)” の例文
ころは夏なりしゆゑ客舎やどりしいへにはかげにむしろをしきて納涼すゞみ居しに、主人あるじは酒をこのむ人にて酒肴しゆかうをこゝに開き、は酒をばすかざるゆゑ茶をのみて居たりしに
「つい此間まで、この河原に納涼すゞみがおして、ほんまに綺麗どしたがな、こなひだ大水が出てな、皆流されて、まだ夜があんじようならへんので、淋しんどつせ。」
世の中へ (新字旧仮名) / 加能作次郎(著)
また、大通おほどほりの絹張きぬばり繪行燈ゑあんどう横町々々よこちやう/\あか軒提灯のきぢやうちんも、祭禮まつりやみはう相應ふさはしい。つき紅提灯べにぢやうちん納涼すゞみる。それから、そらえた萬燈まんどうは、しものお會式ゑしきおもはせる。
祭のこと (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
引誘さそひ納涼すゞみに出し歸りがけ船中せんちうよりすぐに吉原の燈籠とうろうを見物せんとすゝめけるに吉之助は御當地ごたうちはじめての事なれば吉原はべつして不案内ふあんないゆゑかた辭退ことわり此日は漸々やう/\宿やどへ歸り番頭傳兵衞に此事をはなしければ傳兵衞かうべ
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
此年文化五年の夏蘭軒は墨田川に納涼すゞみ舟を泛べた。
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
あたり公園こうゑんひろいけあり。ときよし、かぜよしとて、町々まち/\より納涼すゞみひとつどふ。わらべたち酸漿提灯ほゝづきぢやうちんかざしもしつ。みづともしびうつくしきよるありき。みぎはちひさふねうかべて、水茶屋みづぢやや小奴こやつこ莞爾にこやかに竹棹たけざをかまへたり。
婦人十一題 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
納涼すゞみみづつてづ。
月令十二態 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)