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窈窕
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ようちょう
ふりがな文庫
“
窈窕
(
ようちょう
)” の例文
元々、矮虎ときては
色情
(
いろ
)
に目のない性分である。その彼をして、
窈窕
(
ようちょう
)
たる美戦士へあたらせたのは、けだし人をえたものではない。
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
余は余の周囲に何事が起りつつあるかを自覚した。同時にその自覚が
窈窕
(
ようちょう
)
として地の
臭
(
におい
)
を帯びぬ一種特別のものであると云う事を知った。
思い出す事など
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
また上下の文ありて「入りては則ち髪を乱し形を
壊
(
やぶ
)
り、出でては則ち
窈窕
(
ようちょう
)
して態を
作
(
な
)
す……これ心を専らにし色を正すこと
能
(
あた
)
わずと
謂
(
い
)
う」
吉田松陰
(新字新仮名)
/
徳富蘇峰
(著)
フランス魂の幻像——
楯
(
たて
)
をもってる
窈窕
(
ようちょう
)
たる処女、
闇
(
やみ
)
の中に輝く青い眼のアテネ、労働の女神、
類
(
たぐ
)
いまれなる芸術家、または
ジャン・クリストフ:12 第十巻 新しき日
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
なるほど
窈窕
(
ようちょう
)
としてあでやかなひとりの美人が、おどろ髪に両眼をきょとんとみひらいて、青白い面にはにたにたとぶきみな笑いをのせながら
右門捕物帖:02 生首の進物
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
▼ もっと見る
「話に聞いた
人面瘡
(
じんめんそう
)
——その
瘡
(
かさ
)
の顔が
窈窕
(
ようちょう
)
としているので、
接吻
(
キッス
)
を……何です、その花の唇を吸おうとした馬鹿ものがあったとお思いなさい。」
星女郎
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
昨夜の夜半に、風呂場で見た半人半魚の麗人が、数歩前を自分の方へ向かって、
窈窕
(
ようちょう
)
として歩を運んでくるではないか。
岩魚
(新字新仮名)
/
佐藤垢石
(著)
現に、
伊太利
(
イタリー
)
の十八世紀小説の中にですが、
凸凹
(
でこぼこ
)
の
鏡玉
(
レンズ
)
を透して癩患者を眺めたとき、それが
窈窕
(
ようちょう
)
たる美人に化したという話もあるとおりで……。
白蟻
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
と、吟味所の裏木戸が、内から
窃
(
ひそ
)
かに開けられた。つと現われた人影は、どうやらうら若い女らしい。それも
﨟
(
ろう
)
たけた
窈窕
(
ようちょう
)
たる高貴の姫君ではあるまいか。
蔦葛木曽棧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
「今物語」に、或る五位の蔵人が、
革堂
(
こうどう
)
で
窈窕
(
ようちょう
)
たる佳人を見てそれに懸想し、そのあとをつけて行ったところが、一条河原の
浄人
(
きよめ
)
の小屋に這入ったという話がある。
賤民概説
(新字新仮名)
/
喜田貞吉
(著)
そこには一種のなんとなく
窈窕
(
ようちょう
)
たる
雰囲気
(
ふんいき
)
があったことを当時は自覚しなかったに相違ないが、かなりに鮮明なその記憶を今日分析してみてはじめて発見するのである。
自由画稿
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
荘厳というべきか
窈窕
(
ようちょう
)
というか、
嬋娟
(
せんけん
)
というべきか夢幻というか! 亡国と
莫迦
(
ばか
)
にし古代文明国と
嘲
(
あざけ
)
り、物の数にも入れていなかった印度という六千年の伝統を持つ国に対して
ナリン殿下への回想
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
その顔には
窈窕
(
ようちょう
)
として最早や人界のものでないような美女のおもかげを泛べていました。
生々流転
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
C女史は「手を額に当てて、懺悔に似た心もちで呆然と窓の外を眺めた」淑貞の
窈窕
(
ようちょう
)
たる体には活溌な霊魂が投げ入れられて、豊満になった肉体とともに、冗談を云う娘となって来た。
春桃
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
当今少婦輩内にては乱髪壊形し、外にては
窈窕
(
ようちょう
)
として態を
作
(
な
)
すを当り前の事と考え候よう相見え候。これは古礼に叶わざる事と存じ奉り候。
吉田松陰
(新字新仮名)
/
徳富蘇峰
(著)
枕許に看護婦一
人
(
にん
)
、右に宿直の
国手
(
いしゃ
)
が
彳
(
たたず
)
んで、その
傍
(
わき
)
に別に一人、……
白衣
(
びゃくえ
)
なるが、それは、
窈窕
(
ようちょう
)
たる佳人であった。
式部小路
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
嬋娟
(
せんけん
)
にして男まさりな
呉妹君
(
ごまいくん
)
といわれ、その
窈窕
(
ようちょう
)
たる武技も有名な夫人であったが、国外遠く嫁いで、母の危篤と聞いては、やはり弱い女に過ぎなかった。
三国志:08 望蜀の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
白い顔色が益〻白く、黒い瞳がいよいよ黒く、赤い唇が一層赤く、いつもの彼よりより一層美しくもあれば気高くもある、一個
窈窕
(
ようちょう
)
たる美少年が、鏡の奥に写っていた。
八ヶ嶽の魔神
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
肩にあつまる薄紅の衣の
袖
(
そで
)
は、胸を過ぎてより豊かなる
襞
(
ひだ
)
を描がいて、裾は強けれども
剛
(
かた
)
からざる線を三筋ほど
床
(
ゆか
)
の上まで引く。ランスロットはただ
窈窕
(
ようちょう
)
として眺めている。
薤露行
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
そしてやっとのことで、湖の水門のあたりまで
辿
(
たど
)
り着きましたが、まったく私にはもう、
窈窕
(
ようちょう
)
も凜々しさもお
侠
(
きゃん
)
も
淑
(
しと
)
やかさも何もかもが、一切合切区別つかなくなってしまいました。
墓が呼んでいる
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
おおむね世上では
窈窕
(
ようちょう
)
という文字を使いますが、しかしそれなる薄雪にかぎってはその名の示すとおり窈窕は不適当で、むしろ
玲瓏
(
れいろう
)
としてすがすがしい玉をのぞむような美しさでありました。
右門捕物帖:09 達磨を好く遊女
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
女身至上の尊貴、国母の称と、
窈窕
(
ようちょう
)
の美とを、女の生命に、あわせうけたかの女は、まさに、地上の栄花を、身ひとつにあつめた星の君とも見えもしたろう。
新・平家物語:02 ちげぐさの巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「ちょっと御挨拶を申上げます、……同室の御婦人、紳士の方々も、失礼ながらお
聞取
(
ききとり
)
を願いとうございます。
私
(
わたくし
)
は、ここに隣席においでになる、
窈窕
(
ようちょう
)
たる淑女。」
革鞄の怪
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
白人の中には花のごとき
窈窕
(
ようちょう
)
たる美女もありながら、しかも彼らも彼女らも眼に
一丁字
(
いっていじ
)
なく、奴隷は祖先代々奴隷としての境遇に甘んじてその範囲を出ることは一歩たりとも許されないのです。
ウニデス潮流の彼方
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
高島田に
花笄
(
はなこうがい
)
の、盛装した嫁入姿の
窈窕
(
ようちょう
)
たる淑女が、その嫁御寮に似もつかぬ、卑しげな
慳
(
けん
)
のある女親まじりに、七八人の附添とともに、
深谷
(
ふかや
)
駅から同じ室に乗組んで
唄立山心中一曲
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「あの
窈窕
(
ようちょう
)
たるものとさしむかいで、野天で餡ものを突きつけるに至っては、刀の
切尖
(
きっさき
)
へ饅頭を貫いて、食え!……といった信長以上の
暴虐
(
ぼうぎゃく
)
です。
貴老
(
あなた
)
も意気が
壮
(
さかん
)
すぎるよ。」
式部小路
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
この可憐なのと、
窈窕
(
ようちょう
)
たると、二人を左右に従えて、血ぬった出刃の
尖
(
さき
)
を垂直に落して、切身の目分量をした姉御は、腕まくりさえしないのに、当時の素裸の若い女を現実した。
卵塔場の天女
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
……
窈窕
(
ようちょう
)
たるかな風采、花嫁を祝するにはこの
言
(
ことば
)
が
可
(
い
)
い。
革鞄の怪
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
窈
漢検1級
部首:⽳
10画
窕
漢検1級
部首:⽳
11画
“窈”で始まる語句
窈然
窈
窈々
窈冥
窈娘
窈幻
窈渺
窈冥門
窈窈冥冥