さかづき)” の例文
そは好趣味ありと謂ふべし。さらば、即興詩人の君、アヌンチヤタの健康を祝して一杯ひとつきを傾けてん。(我は苦痛を忍びてさかづきうちあはせたり。)
おもきみ……しき九獻くこんさかづきよりして以來このかたはじめてむねとほりたるあますゞしつゆなりしを。——たのかい——いや、われく。
婦人十一題 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
白みを帯びた緑の、女の指のやうにしなやかに躍つてゐる葉のむらがりと、爪さきで軽くはじいたら、え切つた金属性の響でも立てさうな、金と銀との花のさかづき
水仙の幻想 (新字旧仮名) / 薄田泣菫(著)
食机おしきの上に盆鉢わんばちが並び、そこに馳走の数々が盛られ、首長の瓶子へいしには酒が充たされ、大さかづきが添えられてあり、それらの前に刺繍を施したしとねが、重々あつあつと敷かれてあったからである。
弓道中祖伝 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
漸々だん/″\さかづきがまはつてまゐるにしたがつて、二人ともふちほんのり桜色さくらいろとなりました。小
心眼 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
誤って花瓶やさかづきを地に落した時も散り敷く落葉は布団のように軟なためにきず一ツつきもしなかった。終日樹の下に画幅や古書を投棄てて置いても乾いた枯葉の為に少しも湿める虞がなかった。
写況雑記 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
見おこせたまへさかづきを、げにうるはしき
有明集 (旧字旧仮名) / 蒲原有明(著)
小舟には、人々さかづきを干し
パステルの竜 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
人々は生面の客あるを見ても、絶て怪みいぶかることなく、我にこしかけを與へて坐せしめ、我にさかづきを與へて飮ましめ、さかなせんとて鹽肉團サラメをさへりてくれたり。
宴會えんくわいふが、やさしいこゝろざしのひとたちが、なき母親はゝおや追善つゐぜんいとなんだ、せきつらなつて、しきさかづきんだ、なつの十ぎを、袖崎そでさきふ、………今年ことし東京とうきやう何某大學なにがしだいがく國文科こくぶんくわ卒業そつげふして
月夜車 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
ぐるは玻瓈はりさかづき、それのみかは
春鳥集 (旧字旧仮名) / 蒲原有明(著)
をちの船、さながらさちさかづきと。
有明集 (旧字旧仮名) / 蒲原有明(著)
さかづきたとへさそひひくも
春鳥集 (旧字旧仮名) / 蒲原有明(著)
つかれなり、うましさかづき
春鳥集 (旧字旧仮名) / 蒲原有明(著)
かたみにあぐるさかづき
独絃哀歌 (旧字旧仮名) / 蒲原有明(著)
そのさかづきを誰か汲む。
独絃哀歌 (旧字旧仮名) / 蒲原有明(著)
さかづきにしたみし酒は
有明集 (旧字旧仮名) / 蒲原有明(著)
死のさかづき
独絃哀歌 (旧字旧仮名) / 蒲原有明(著)