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獣物
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けだもの
ふりがな文庫
“
獣物
(
けだもの
)” の例文
旧字:
獸物
あんな
獣物
(
けだもの
)
が何を食うんだか知りませんけれど、煙突から煙りがひどく出るときには、いつでも家じゅうに変な匂いがするんですよ
世界怪談名作集:10 廃宅
(新字新仮名)
/
エルンスト・テオドーア・アマーデウス・ホフマン
(著)
その腕を広げて、あろうことか、私に
淫
(
みだ
)
らしい
挑
(
いど
)
みを見せてまいったのです。そして、その
獣物
(
けだもの
)
のような狂乱が、とうとう私に……
紅毛傾城
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
そうれまんだ
肝
(
きも
)
べ焼けるか。こう
可愛
(
めんこ
)
がられても肝べ焼けるか。
可愛
(
めんこ
)
い
獣物
(
けだもの
)
ぞい
汝
(
われ
)
は。見ずに。
今
(
いんま
)
にな
俺
(
お
)
ら汝に絹の衣装べ着せてこすぞ。
カインの末裔
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
虫や
獣物
(
けだもの
)
の世界に、草や木の世界に、星や月の世界に、一口に言えばこの大きな大自然の中に、どんなことが行われているのか。
何が私をこうさせたか:――獄中手記――
(新字新仮名)
/
金子ふみ子
(著)
「そこで、おれの考えじゃあ、この一件は二つの筋が一つにこぐらかっているらしい。まず人を啖い殺すやつは
獣物
(
けだもの
)
だな」
半七捕物帳:23 鬼娘
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
▼ もっと見る
見
(
み
)
わたすかぎり、
初雪
(
はつゆき
)
にいろどられて、
白
(
しろ
)
い
世界
(
せかい
)
の
中
(
なか
)
を、
金色
(
こんじき
)
の
帯
(
おび
)
のように、
河
(
かわ
)
が
流
(
かわ
)
れ、
田圃
(
たんぼ
)
は、
獣物
(
けだもの
)
の
背中
(
せなか
)
のように、しまめを
造
(
つく
)
っていました。
美しく生まれたばかりに
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
鳥や
獣物
(
けだもの
)
がびっくりして逃げ出すくらいのものだ。アア、君は
爺
(
じい
)
や夫婦が、その声を聞きつけて、助けに来てくれると思っているんだね。フフフ……。
悪魔の紋章
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
ところが、多くの場合男は女にとつて
天使
(
エンゼル
)
どころか、牛のやうに
鈍間
(
のろま
)
で、おまけに牛のやうに
獣物
(
けだもの
)
である。
茶話:04 大正七(一九一八)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
この男が彼の女の馬車を御して来たのですが、あの
獣物
(
けだもの
)
連中は、この若者を引きずり降ろして、棍棒でやっつけたのだな。これはこのまま寝かしておきましょう。
自転車嬢の危難
(新字新仮名)
/
アーサー・コナン・ドイル
(著)
「こんな
獣物
(
けだもの
)
は痛え思いをさせなくっちゃわからねえ、物の道理を言って聞かせてもわからねえ野郎だ」
大菩薩峠:18 安房の国の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
そんなら沢山も有りません、金は
僅
(
わず
)
かだが、この
後
(
うしろ
)
の山の
焚木
(
たきゞ
)
は
家
(
うち
)
の物だから、山の
蕨
(
わらび
)
を取っても夫婦が食って行くには沢山ある、また
此所
(
ここ
)
を
斯
(
こ
)
うすれば此所で
獣物
(
けだもの
)
が獲れる
敵討札所の霊験
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
血に渇いた
獣物
(
けだもの
)
のような心持で、闇の夜を狙って外へ出ては、見境もなく人を殺して歩いた——それに相違あるまい——俺はどうしてこんなつまらない事が見透せなかったんだろう
銭形平次捕物控:013 美女を洗い出す
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
大炊介の人柄は、血の荒れの見え
透
(
す
)
く
獣物
(
けだもの
)
じみた武辺流のなかでは、たしかに一風変った存在だったろうが、それはそれだけのもので、冷静な少女の心を魅するほどの力があったとは思えない。
うすゆき抄
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
彼女は、
臆病
(
おくびょう
)
な
獣物
(
けだもの
)
が、何ものかを避けるように飛びのいて、ふたたび、その忌まわしい場所に視線を向けようとはしなかったのである。
紅毛傾城
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
「それは露路の奥の垣根に引っかかっていたのよ。勿論、あすこらのことだから何がくぐるめえものでもねえが、なにしろそれは
獣物
(
けだもの
)
の毛に相違ねえ」
半七捕物帳:23 鬼娘
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
瑠璃子は、
獣物
(
けだもの
)
の様な叫び声を発しながら、歯をむき出し、爪を立てて、死にもの狂いに武者振りついて来た。
白髪鬼
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
獣物
(
けだもの
)
が自分の
仔
(
こ
)
をめんこがるやうなもんだ。何んにもわからねえでめんこがつてゐたんだ。だから俺はこんなに馬鹿になつたども、俺はお袋だけは好きだつた。
骨
(新字旧仮名)
/
有島武郎
(著)
そして、あわれな人間の生活の有様や、
飢
(
うえ
)
に
啼
(
な
)
いているあわれな
獣物
(
けだもの
)
などの姿をながめたのであります。
月と海豹
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
、
獣物
(
けだもの
)
のような東海坊にくれてやる気にもなりません
銭形平次捕物控:111 火遁の術
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
と汚ならしい、
獣物
(
けだもの
)
に触れるような血相で、
顫
(
ふる
)
えつつ前方を指差すのであったが、そうしてから法水の腕に
凭
(
もた
)
れて、今度も異様な言葉を呟くのだった。
人魚謎お岩殺し
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
「むむ、どうであんなところの番頭なんていうものは、判らねえ
獣物
(
けだもの
)
が多いもんだ」と、半七は笑っていた。
半七捕物帳:29 熊の死骸
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
物珍しいものを見るという様子をしてはいたけれども、心の中には自分の敵がどんな
獣物
(
けだもの
)
であるかを見きわめてやるぞという激しい
敵愾心
(
てきがいしん
)
が急に燃えあがっていた。
或る女:1(前編)
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
食卓
(
しょくたく
)
の
上
(
うえ
)
には、いろいろのくだものや、
魚
(
さかな
)
や、
鳥
(
とり
)
や、
獣物
(
けだもの
)
の
肉
(
にく
)
などがならべられ、また、
色
(
いろ
)
のかわった
酒
(
さけ
)
が、めいめいの
前
(
まえ
)
においてあったコップに、そそがれていました。
雪の上の舞踏
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
死美人の背中に傷つけられた「恐怖王」とは
抑々
(
そもそも
)
何者であるか、あの写真を見ても胸の悪くなるゴリラ男は、一体人間なのか、それとも人間によく似た
獣物
(
けだもの
)
ではないのか。
恐怖王
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
「
獣物
(
けだもの
)
らしいな」と、半七はその紙包みをあけて見て云った。「犬や猫じゃ無さそうだ。なんの毛だろう」
半七捕物帳:29 熊の死骸
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
鳥
(
とり
)
や、
獣物
(
けだもの
)
のすることは、
人間
(
にんげん
)
のごとく、そうしくじりがないものです。しかし、だれもいないと
思
(
おも
)
ったのがそうでなかった。
空
(
あ
)
き
地
(
ち
)
に
勇
(
いさむ
)
くんと
賢二
(
けんじ
)
くんが、すずめをさがしていたのです。
ねずみの冒険
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
幸吉は追いつめられた
獣物
(
けだもの
)
の様に、目を血走らせ、やっきとなって叫んだ。
鬼
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
さあ、何もかも正直に云ってしまえ。辻番の
老爺
(
おやじ
)
だって、もうむく犬を抱いて寝る時候じゃあねえのに、なんだって手前のからだに
獣物
(
けだもの
)
の毛がくっ付いているのか、わけを云え
半七捕物帳:29 熊の死骸
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
彼は
獣物
(
けだもの
)
の様に
咆哮
(
ほうこう
)
して、白いテープに向って突進した。
地獄風景
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
「人間の住んでいる町は、美しいということだ。人間は、魚よりもまた
獣物
(
けだもの
)
よりも人情があってやさしいと聞いている。私達は、魚や獣物の中に住んでいるが、もっと人間の方に近いのだから、人間の中に入って暮されないことはないだろう」
赤い蝋燭と人魚
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
なにか商売の
獣物
(
けだもの
)
を売ることに就いて、兄貴の作右衛門がはじめて江戸へ出て来たのは文化二年の暮で、あくる年の春まで逗留しているうちに、ふと妙な気になったのだと云います。
半七捕物帳:18 槍突き
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
吉原の堤下にお紺という
獣物
(
けだもの
)
使いで、
質
(
たち
)
のよくない女が住んでいるという。
半七捕物帳:23 鬼娘
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
獣
常用漢字
中学
部首:⽝
16画
物
常用漢字
小3
部首:⽜
8画
“獣物”で始まる語句
獣物等