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牝鹿
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めじか
ふりがな文庫
“
牝鹿
(
めじか
)” の例文
もう一
匹
(
ぴき
)
の
牝鹿
(
めじか
)
は、
海
(
うみ
)
を一つへだてた
淡路国
(
あわじのくに
)
の
野島
(
のじま
)
に
住
(
す
)
んでいました。
牡鹿
(
おじか
)
はこの二
匹
(
ひき
)
の
牝鹿
(
めじか
)
の
間
(
あいだ
)
を
始終
(
しじゅう
)
行ったり
来
(
き
)
たりしていました。
夢占
(新字新仮名)
/
楠山正雄
(著)
幾日も幾日も、そうした情景が続いた後、少女はとうとうその
牝鹿
(
めじか
)
のようにしなやかな身体を、俊寛の強い
双腕
(
もろうで
)
に委してしまった。
俊寛
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
葉子はソファを
牝鹿
(
めじか
)
のように立ち上がって、過去と未来とを断ち切った現在
刹那
(
せつな
)
のくらむばかりな変身に打ちふるいながらほほえんだ。
或る女:1(前編)
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
それがふじこであろう、若い
牝鹿
(
めじか
)
のような、すんなりした躯つきで、黒眼の勝った大きな眼に、きかぬ気らしい、大胆な色を湛えていた。
樅ノ木は残った:02 第二部
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
ほう、ほう、と鹿の
啼
(
な
)
く声がする——。それに気づいて
眸
(
ひとみ
)
をこらして見ると、
牝鹿
(
めじか
)
や
牡鹿
(
おじか
)
が、月の夜を戯れつつさまよっているのだった。
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
▼ もっと見る
唇
(
くちびる
)
をキュッと結び、寒気を耐えるように、両腕を首の下で締めつけると、ずるりと落ち、
荒布
(
あらめ
)
の下から、それは
牝鹿
(
めじか
)
のような肩が現われた。
紅毛傾城
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
鹿
(
しか
)
はみなさんもよく
見
(
み
)
てご
存
(
ぞん
)
じでせう。
鹿
(
しか
)
は
本州
(
ほんしゆう
)
、
四國
(
しこく
)
、
九州
(
きゆうしゆう
)
、
朝鮮等
(
ちようせんなど
)
に
廣
(
ひろ
)
く
分布
(
ぶんぷ
)
してゐます。
牡鹿
(
をじか
)
は
牝鹿
(
めじか
)
より
少
(
すこ
)
し
大
(
おほ
)
きく、
頭部
(
とうぶ
)
に
角
(
つの
)
を
持
(
も
)
つてゐます。
森林と樹木と動物
(旧字旧仮名)
/
本多静六
(著)
一方、大将軍九郎御曹司義経は、七日の明方、三千余騎で
鵯越
(
ひよどりごえ
)
にのぼり、人馬を休ませていたが、その騒ぎに驚いたか、
牡鹿
(
おじか
)
二匹、
牝鹿
(
めじか
)
一匹が平家の城の一の谷へ逃げ下りた。
現代語訳 平家物語:09 第九巻
(新字新仮名)
/
作者不詳
(著)
数か月来
股関節炎
(
こかんせつえん
)
のために床についたきりで、樹皮の中にはいったダフネのように、全半身副木に固められていた。傷ついた
牝鹿
(
めじか
)
のような眼をし、日影の植物のような
褪
(
あ
)
せた色をしていた。
ジャン・クリストフ:11 第九巻 燃ゆる荊
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
彼は咒禁師の剣を奪いとると、再び
萩
(
はぎ
)
の咲き乱れた庭園の中へ馳け降りた。そうして、彼は
蟇
(
がま
)
に
戯
(
たわむ
)
れかかっている一疋の
牝鹿
(
めじか
)
を見とめると、一撃のもとにその首を斬り落して咒禁師の方を振り向いた。
日輪
(新字新仮名)
/
横光利一
(著)
もうなんでも
野島
(
のじま
)
へ
渡
(
わた
)
らずにはいられなくなりました。そこで
夢野
(
ゆめの
)
の
牝鹿
(
めじか
)
の
止
(
と
)
めるのもきかずに、とうとう出かけて行きました。
夢占
(新字新仮名)
/
楠山正雄
(著)
否
(
いな
)
馳
(
か
)
け始めた。恐ろしい悪夢から逃げるように。恐ろしい罪と恥とから逃げるように。彼女は、
凡
(
すべ
)
てを忘れて、若い
牝鹿
(
めじか
)
のように、逃げた。
真珠夫人
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
どこかで今朝はその眸を、人しれず、
牝鹿
(
めじか
)
の眼のように泣き濡らしてでもいることか。
私本太平記:01 あしかが帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
牝鹿
(
めじか
)
のように敏感な岡さえがいっこう注意しない葉子の健康状態を、鈍重らしい古藤がいち早く見て取って案じてくれるのを見ると、葉子はこの
素朴
(
そぼく
)
な青年になつかし味を感ずるのだった。
或る女:2(後編)
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
痩
(
や
)
せがたで小柄だが、いかにも健康そうであり、動作は若い
牝鹿
(
めじか
)
のようにすばしこく、ちょっとしゃくれた、
愛嬌
(
あいきょう
)
のある顔には、清らかな渓流の
面
(
おも
)
に見られるような、敏感で変化のある表情が
赤ひげ診療譚:06 鶯ばか
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
そしていつも
淡路
(
あわじ
)
の
方
(
ほう
)
へ行って
遊
(
あそ
)
んでいることが
多
(
おお
)
いので、
夢野
(
ゆめの
)
の
牝鹿
(
めじか
)
はさびしがって、
淡路
(
あわじ
)
の
牝鹿
(
めじか
)
をうらんでいました。
夢占
(新字新仮名)
/
楠山正雄
(著)
其処
(
そこ
)
で、追い詰められた
牝鹿
(
めじか
)
と
獅子
(
しし
)
とのように、二人は
暫
(
しば
)
らくは相対していた。
真珠夫人
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
“牝鹿”の解説
『牝鹿』(めじか、Les Biches )FP.36は、フランシス・プーランクが作曲した1幕のバレエ音楽、またこれを元にした管弦楽組曲。
タイトルの『牝鹿』とは、「若い娘たち」「かわいい子」といった意味である。
プーランク24歳の時の作品。初の合唱作品でもある。
(出典:Wikipedia)
牝
漢検準1級
部首:⽜
6画
鹿
常用漢字
小4
部首:⿅
11画
“牝”で始まる語句
牝牛
牝
牝鶏
牝馬
牝犬
牝牡
牝猫
牝豹
牝豚
牝羊