然程さほど)” の例文
革命的の思想もこの地は然程さほどで無いが印度インド本土にはなりさかんだと云ふ事で、新聞は支那の革命戦争の記事を小さくわづか二三行で済ませて居る。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
丁謂は恐しいような、又然程さほどでも無いような人であるが、とにかく異色ある人だったに違い無く、宋史の伝は之をへんするに過ぎている嫌がある。
連環記 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
小粒の實が初めは然程さほどにもないのに、少し大きく成つたかと思ふと一夜の中にも滅切と太つて幾日も經たないのに抱へて重い程になるので有ます。
白瓜と青瓜 (旧字旧仮名) / 長塚節(著)
ふる葛籠つゞらより取出して此通りと長八の前へ並べて見せければ長八はほとんど感心かんしんなし流石さすがは大橋氏御省愼おたしなみほど感心仕つり候然程さほど迄の御心がけあるとはゆめさら知ず失敬の儀を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
カピ妻 では、其方そなたは、ころしたたう惡黨あくたうまだながらへてゐくさるのを、然程さほどにはおきゃらぬな?
僕は女にかけては然程さほど慾の無い方だけれど、酒となつちや然うは行かん。何処かへ一寸飲みに行つても、銚子を握つて見て、普通より太いと満足するが、細いとか軽いとかすると、モウ気を
菊池君 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
一飮一啄も亦前定であるといふ語が有るが、然程さほどに運命を信じ過ぎても困るけれど、先づ/\何樣どうしても好き、何樣どうしても嫌ひなどと云ふ事も無いのでは無い。
努力論 (旧字旧仮名) / 幸田露伴(著)
男は然程さほど注意を惹かないが、ゆきふ女がおいも若きも引る様な広いジユツプ穿いて、腰の下迄ある長い黒の肩掛を一寸ちよつと中から片手で胸の所の合目あはせめつまんで歩くのが目に附く。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
勿々なか/\其節の間にあふものに非ず假令よしやかんがへて今申た所が本の足袋屋の看板かんばんなり然ながら然程さほど御案事おあんじ有らるゝことならばまづ安堵あんどの爲すこし御心のやすむやうに申上げん先以てほかまでもなく渠等かれら兩人を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
僕は女にかけては然程さほど慾の無い方だけれど、酒となつちやうは行かん。何處かへ、一寸飮みに行つても、銚子を握つて見て、普通より太いと滿足するが、細いとか輕いとかすると、モウ氣を
菊池君 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
カピ長 なん被言おしゃる! まさかに然程さほどではない、まさかに。リューセンシオーの婚禮以來こんれいいらいぢゃによって、すぐはなさきにペンテコスト(祭日)がたとして、二十五ねん、あのをり被假面かぶったのぢゃ。
武勇も然程さほどでは無い者であったから、秀吉は氏郷に対して、木村をば子とも家来とも思って加護かばって遣れ、木村は氏郷を親ともしゅとも思って仰ぎ頼め、と命令し訓諭した。
蒲生氏郷 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
保雄には幾分でも自分の感化を受けてう云ふ青年文学者の出るのがたゞに嬉しいので、永年ながねんの苦労も、ぶんに過ぎた負債も、世間の自分に対する悪評も然程さほど苦には成ら無かつた。
執達吏 (新字旧仮名) / 与謝野寛(著)
身賣みうりせず共廿五兩の金子は何れ共出來やうに此長兵衞と云親分が付て居るぞ然程さほどの事なら我等に相談さうだんするがよし私しも馬喰町での武藏屋長兵衞旅籠屋仲間にて人にも知られし男なり長兵衞の子分が一人娘を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
夢とはいえ、馬鳴竜樹にも会ったのである。又観世音菩薩、毘沙門天王びしゃもんてんおうにも夢に会ったとある。夢に会ったということと、うつつに会ったということとは、然程さほど違うことでは無い。
連環記 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
此等は抑〻そも/\何に胚胎はいたいしてゐるのであらうか、又そも何を語つてゐるのだらうか。たゞ其の驍勇げうゆう慓悍へうかんをしのぶためのみならば、然程さほどにはなるまいでは無いか。考へどころは十二分にある。
平将門 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
然程さほどに待っていてくれるとも分らず思いまどうて余の路に踏みまどうた、相済みませぬ、恐れ入りました、という謝まりの証文の一札の歌であって、胷中きょうちゅうも苦しかったろうが歌も苦しい。
連環記 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
斯様なると暴風雨は弱い塀にたたる道理で、魔の手は蒲生へ向うよりは葛西大崎の新領主となった木村伊勢守父子の方へ向って伸ばされ出した。木村父子は武辺も然程さほどでは無く、小勢でもある。
蒲生氏郷 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
往々世に見える例で有るが、然程さほど能力の有つた人とも見え無かつた人が、或他の人に隨身して數年を經たかと思ふ中に、意外に其の人が能力の有る人になつて頭角を出して來る、といふのが有る。
努力論 (旧字旧仮名) / 幸田露伴(著)
戦の度毎に戦死と覚悟してかかるのが覚悟有る武士というものでは有るが、一寸おかしい、氏郷の心中奥深きところに何か有ったのではないかと思われぬでもないが、又然程さほどに深く解釈せずとも済む。
蒲生氏郷 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
然程さほどに物惜みなされて、それが何の為になり申す。」
雪たたき (新字新仮名) / 幸田露伴(著)