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ふりがな文庫
“
無精
(
ぶしょう
)” の例文
髯といえば
無精
(
ぶしょう
)
にも伸び放題となり、髪は一本一本逆だち、それも黒毛の間に、白髪がチカチカと秋のすすきのように光っている。
地球盗難
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
無精
(
ぶしょう
)
でわがままな彼は玄関先まで出て来ながら、なかなか応じそうにしなかったのを、母親が無理に勧めてようやく靴を
穿
(
は
)
かした。
彼岸過迄
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
また事実、みな必死に働いてくれておるのに、それに
率先
(
そっせん
)
すべき身でありながら、兄貴ばかりは、そうやって、
無精
(
ぶしょう
)
ひげを伸ばして——。
口笛を吹く武士
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
大井は
相不変
(
あいかわらず
)
ノオト・ブックのはみ出した
懐
(
ふところ
)
へ、
無精
(
ぶしょう
)
らしく両手を突込んでいたが、俊助の顔を見るなりにやにや笑い出して
路上
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
しかしながら、年をとっては
無精
(
ぶしょう
)
ですから、わざわざそれを
追蒐
(
おいか
)
けてみようとの好奇心も動かず、やがてハタと戸を締めきってしまいました。
大菩薩峠:20 禹門三級の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
▼ もっと見る
破れたお
釜
(
かま
)
帽子の
鍔
(
つば
)
が鼻の頭まで垂れ下がって、その下から五分も伸びた顔じゅうの
無精
(
ぶしょう
)
ひげが黒々とのぞいていた。
人間豹
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
書庫と書斎を別に作るのは、すこぶる合理的のようだが、冬の夜などは、つい面倒になって
無精
(
ぶしょう
)
をする。手を抜いた仕事は、どうも、ロクなことはない。
胡堂百話
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
「年をとって
無精
(
ぶしょう
)
になったな。二百人もの見物を前において手際のいいところを見せた君なんだ。おれなんかに頼むよりさっさとじぶんでやったほうが楽だろう」
ハムレット
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
魚の骨みたいに体には肉がないし、しじゅう水ッ
洟
(
ぱな
)
はすすっているし、
無精
(
ぶしょう
)
で、うす汚いこと、仕事場の
漆
(
うるし
)
ベラや、
砥
(
と
)
の土や、漆茶碗などと見分けのつかない程である。
新書太閤記:03 第三分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
苦心することの恐れ、疲れを最も少なくして効果を得んとする試み、ワグナー派の力強い構成に必要な激しい努力を
無精
(
ぶしょう
)
のためにあきらめたやり方、などを彼は作の中に感じた。
ジャン・クリストフ:07 第五巻 広場の市
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
はつと思つた瞬間、眼が合つてしまひました。その眼のことは前にも書いた通りです。
無精
(
ぶしょう
)
ひげの生えたやつれた顔は、案外血色がわるくはなく、何やら微笑のやうなものが浮んでゐました。
死児変相
(新字旧仮名)
/
神西清
(著)
次郎はやっと腰をあげたが、いかにも
無精
(
ぶしょう
)
らしくのそのそと歩き出した。
次郎物語:04 第四部
(新字新仮名)
/
下村湖人
(著)
かの女の黒いのはむしろ
無精
(
ぶしょう
)
だからであると僕には思われた。
耽溺
(新字新仮名)
/
岩野泡鳴
(著)
とお父さんは
無精
(
ぶしょう
)
ばかりでもなく、実際手に余していたのだ。
ぐうたら道中記
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
蒼白
(
あおじろ
)
い顔をした
無精
(
ぶしょう
)
で、
臆病
(
おくびょう
)
なフェリックスがいう。
にんじん
(新字新仮名)
/
ジュール・ルナール
(著)
昌允
無精
(
ぶしょう
)
しないで、洗って来いったら。
華々しき一族
(新字新仮名)
/
森本薫
(著)
無精
(
ぶしょう
)
な弟は
只
(
ただ
)
一言
(
ひとこと
)
楢ノ木大学士の野宿
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
主人のような男が髪を分けるのかと聞く人もあるかも知れぬが、実際彼は
他
(
ほか
)
の事に
無精
(
ぶしょう
)
なるだけそれだけ頭を
叮嚀
(
ていねい
)
にする。
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
男は眼を隠していたお
釜
(
かま
)
帽子を
叩
(
たた
)
き捨てるようにぬぐと、顔じゅうに伸びた
無精
(
ぶしょう
)
ひげをモリモリと
剥
(
は
)
ぎ取って行った。
人間豹
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
二人ともに
無精
(
ぶしょう
)
ぞろいのさせる業でもありましたが、今日は、すっかりそれを掃除して、一点の塵もとどめぬようにこの一間を清算してしまいました。
大菩薩峠:41 椰子林の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
ただ、
元来
(
がんらい
)
無精
(
ぶしょう
)
な所から、何も近所にあるものを嫌ってまで、遠くの風呂へ行くにも及ぶまいじゃないかといった点で、別に
是非
(
ぜひ
)
をつけてはいなかったのである。
電気風呂の怪死事件
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
図書館の
扉口
(
とぐち
)
に近い、
目録
(
カタログ
)
の
函
(
はこ
)
の並んでいる所へ、
小倉
(
こくら
)
の袴に
黒木綿
(
くろもめん
)
の
紋附
(
もんつき
)
をひっかけた、背の低い角帽が一人、
無精
(
ぶしょう
)
らしく
懐手
(
ふところで
)
をしながら、ふらりと外からはいって来た。
路上
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
このごろの
芸妓
(
げいしゃ
)
というものが、どういう具合に変ったか、私は全然知らない。年をとると
無精
(
ぶしょう
)
になるし、宴会などというものは、大分、以前から一切おことわりしているからである。
胡堂百話
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
一面、
無精
(
ぶしょう
)
で身のまわりをかまわないくせに、湯にはいることは好きである。
新書太閤記:04 第四分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「
無精
(
ぶしょう
)
を極めないで流し給え。
清々
(
せいせい
)
するぜ」
負けない男
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
人間も返事がうるさくなるくらい
無精
(
ぶしょう
)
になると、どことなく
趣
(
おもむき
)
があるが、こんな人に限って女に好かれた試しがない。
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
顔じゅうに
無精
(
ぶしょう
)
ひげがモジャモジャした熊みたいなやつであった。むろん「人間豹」に頼まれた
無頼漢
(
ぶらいかん
)
に違いない。
人間豹
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
どうも天性
無精
(
ぶしょう
)
で今日迄髪を分けたという事がない、せいぜい五分刈ですましてしまう、その位だから理髪店へ行って時間をとられるのは何よりつらい。
百姓弥之助の話:01 第一冊 植民地の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
彼の顔は
無精
(
ぶしょう
)
ひげでおおわれ、頭もばさばさ、身体の上にはたくさん着ていたが、ズボンもジャケツも
外套
(
がいとう
)
もみんなひどいもので、破れ穴は数えられないほど多いし、ほころびたところはそのままで
少年探偵長
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
「ハハハハ妙な逃げ路を発見したね。もう冬服の時節だあね。着換えればいい事を。君は万事
無精
(
ぶしょう
)
だよ」
野分
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
今まで低くたれていた首を、ムクムクともたげて、顔いちめんの
無精
(
ぶしょう
)
ひげの中から、するどい目を光らせて、目の前の明智探偵の家を、ジロジロとながめまわすのです。
怪人二十面相
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
福村は
無精
(
ぶしょう
)
に、縁側から手を突き出して
大菩薩峠:18 安房の国の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
頭の毛をモジャモジャにのばして、顔いちめんに
無精
(
ぶしょう
)
ひげのはえた、きたならしい洋服男です。
少年探偵団
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
「なに兄さんだって、そう御上手じゃなくってよ。それに兄さんはあなたよりよっぽど
無精
(
ぶしょう
)
ね」
門
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
ほおからあごにかけてのうすぎたない
無精
(
ぶしょう
)
ひげ、見るからにゾッとするような顔つきです。
妖怪博士
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
じゃついでだから帰りに
小日向
(
こびなた
)
へ廻って御寺参りをして来ておくれって申しましたら、御母さんは近頃
無精
(
ぶしょう
)
になったようですね、この間も
他
(
ひと
)
に代理をさせたじゃありませんか
彼岸過迄
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
尤
(
もっと
)
も持主たる余の方でもペリカンを厚遇しなかったかも知れない。
無精
(
ぶしょう
)
な余は
印気
(
インキ
)
がなくなると、勝手次第に机の上にある
何
(
ど
)
んな印気でも構わずにペリカンの腹の中へ
注
(
つ
)
ぎ込んだ。
余と万年筆
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「
無精
(
ぶしょう
)
に似合わない事ね。何と」
虞美人草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
“無精”の意味
《名詞》
無精(ぶしょう)
めんどくさがって物事を怠けること。
身だしなみなどに頓着しないこと。
(出典:Wiktionary)
無
常用漢字
小4
部首:⽕
12画
精
常用漢字
小5
部首:⽶
14画
“無精”で始まる語句
無精髭
無精髯
無精鬚
無精者
無精髪
無精髮