氷嚢こほりぶくろ)” の例文
氷嚢こほりぶくろ生憎あいにくかつたので、きよあさとほ金盥かなだらひ手拭てぬぐひけてつてた。きよあたまやしてゐるうち、宗助そうすけ矢張やは精一杯せいいつぱいかたおさえてゐた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
召物めしものれますとふを、いゝさまづさせててくれとて氷嚢こほりぶくろくちひらいてみづしぼ手振てぶりの無器用ぶきようさ、ゆきすこしはおわかりか、兄樣にいさんつむりひやしてくださるのですよとて
うつせみ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
御米およね何時いつになく逆上のぼせて、みゝまであかくしてゐた。あたまあついかとくとくるしさうにあついとこたへた。宗助そうすけおほきなこゑしてきよ氷嚢こほりぶくろつめたいみづれていとめいじた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
女子をなごどもは何時いつしか枕元まくらもとをはづして四邊あたりにはちゝはゝ正雄まさをのあるばかり、いまいふことわかるともわからぬともおぼえねども兄樣にいさん兄樣にいさんちひさこゑべば、なにようかと氷嚢こほりぶくろ片寄かたよせて傍近そばちかるに
うつせみ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
きよ御前まへいそいでとほりへつて、氷嚢こほりぶくろつて醫者いしやんでい。まだはやいからきてるだらう」
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)