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気懸
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きがか
ふりがな文庫
“
気懸
(
きがか
)” の例文
旧字:
氣懸
貞時はあまりに筒井が頭をつかいすぎはしないか、暇もなくはたらいては手を
傷
(
いた
)
めるようなことがないかと、それが
気懸
(
きがか
)
りだった。
津の国人
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
その姿も見えないほどな数の中に
没
(
ぼっ
)
して彼は善戦に努めていたが、ただ主人官兵衛の身だけがうしろの
気懸
(
きがか
)
りであるらしかった。
黒田如水
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
怪漢は縛られたまま廊下に
俯伏
(
うつぶ
)
せになって転がっていたが、動こうともしない。その横をすりぬけて、私達は
気懸
(
きがか
)
りの事件の部屋へ行ってみた。
ゴールデン・バット事件
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
ただ御本を読むのなら、何も錠まで
卸
(
おろ
)
さなくてもと、そんな一寸したことまでが、
気懸
(
きがか
)
りの種になるのでございます。
人でなしの恋
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
あなたが、恋をしたとしますよ、するとですね、彼女があなたを如何に思っているかというのが、
気懸
(
きがか
)
りでしょう。
白金神経の少女
(新字新仮名)
/
蘭郁二郎
(著)
▼ もっと見る
彼の心もその家のように震えていた。家の内外の空気の流れ、床板の
軋
(
きし
)
り、聞きなれたかすかな物音、それらを
気懸
(
きがか
)
りそうに
窺
(
うかが
)
った。どれにも皆聞き覚えがあった。
ジャン・クリストフ:05 第三巻 青年
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
懇意になりかけたマスタアやボオイたちの手前、病人の葉子を置き去りにするのも、体裁が悪かった。K——博士との関係が、どこまで進んでいるかも
気懸
(
きがか
)
りであった。
仮装人物
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
『
母
(
はは
)
はあんなに
固
(
かた
)
く
請合
(
うけあ
)
ってくだされたが、
果
(
はた
)
して
懐剣
(
かいけん
)
が
遺骸
(
いがい
)
と一
緒
(
しょ
)
に
墓
(
はか
)
に
収
(
おさ
)
めてあるかしら……。』そう
思
(
おも
)
うと
私
(
わたくし
)
はどうしてもそれが
気懸
(
きがか
)
りで
気懸
(
きがか
)
りで
耐
(
たま
)
らなくなりました。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
玉脇の妻は、
以
(
もっ
)
て未来の有無を
占
(
うらな
)
おうとしたらしかったに——
頭陀袋
(
ずだぶくろ
)
にも納めず、帯にもつけず、
袂
(
たもと
)
にも入れず、角兵衛がその
獅子頭
(
ししがしら
)
の中に、封じて去ったのも
気懸
(
きがか
)
りになる。
春昼後刻
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
作者は本篇の主人公がかつかつ六等官に過ぎないということが既に
気懸
(
きがか
)
りなのである。
死せる魂:01 または チチコフの遍歴 第一部 第一分冊
(新字新仮名)
/
ニコライ・ゴーゴリ
(著)
然
(
しか
)
しそんなことは、私は何の
気懸
(
きがか
)
りもなかった。級長の上野が、私より学力が劣っていてどうだとか、なんて云って私を
煽
(
おだ
)
てる同級生もいたのだが、私にはそんなことはどうでもよかった。
戦争雑記
(新字新仮名)
/
徳永直
(著)
出て来られた日には大変な事になると
思
(
おもっ
)
て誠に
気懸
(
きがか
)
りであった。
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
一郎は急に何だか
気懸
(
きがか
)
りになってきた。
劇団「笑う妖魔」
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
そればかりが
気懸
(
きがか
)
りになりました。
オリンポスの果実
(新字新仮名)
/
田中英光
(著)
髯男
(
ひげおとこ
)
は、それが、なんとなく
気懸
(
きがか
)
りになったので、手早く解いてみた。その中から、ゴロリと転りだしたのは、真黒の、三つの防毒マスクだった。
空襲葬送曲
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
手紙の後の方は、いっそ読まないで、破り
棄
(
す
)
てて了おうかと思ったけれど、どうやら
気懸
(
きがか
)
りなままに、居間の小机の上で、兎も角も、読みつづけた。
人間椅子
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
「ただ、それが、幕吏の手へ渡ると、他人に迷惑をかけねばならんので、それだけが、
気懸
(
きがか
)
りであったが……」
松のや露八
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
彼がやっつけた人々は、往来で彼に
挨拶
(
あいさつ
)
をした。ある時彼は顔をしかめた
気懸
(
きがか
)
りな様子で、雑誌社にやって来た。そしてテーブルの上に一枚の訪問名刺を投げ出しながら尋ねた。
ジャン・クリストフ:06 第四巻 反抗
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
尾鰭
(
おひれ
)
はのらのらと跳ねるなれども、ここに、ふと、世にも
気懸
(
きがか
)
りが出来たじゃまで。
夜叉ヶ池
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
それはなにか
気懸
(
きがか
)
りな話ではあったが、そういう
申出
(
もうしい
)
でには愛情のおもい
遣
(
や
)
りが
香
(
こう
)
のように
匂
(
にお
)
うてくるようでもあった。筒井はいつでも、そんなふうに申し出ることですぐれているものを持っていた。
津の国人
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
この
草内
(
くさち
)
に留まって一休みしたのは、夜来の疲れもあったが、かたがた、
筒井順慶
(
つついじゅんけい
)
の向背が
気懸
(
きがか
)
りだったことにもよる。筒井家と明智家とは姻戚の関係がある。
新書太閤記:07 第七分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
彼女のうちに
曖昧
(
あいまい
)
な
気懸
(
きがか
)
りな何かを、認めたからであったろうか? しかしそれは他の場合であったら、彼にとっては、ますます愛するようになるべき一つの理由であるはずだった。
ジャン・クリストフ:06 第四巻 反抗
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
恰度
(
ちょうど
)
そのころ、彼には
鳥渡
(
ちょっと
)
気懸
(
きがか
)
りな事件が生じた。それは
家扶
(
かふ
)
の
孫火庭
(
そんかてい
)
が、一週間ばかりというものは、行方不明になったことだった。彼に行かれては、漢青年は
浮木
(
ふぼく
)
にひとしかった。
西湖の屍人
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
正直者の朝成は、
気懸
(
きがか
)
りになり出した。ままよ、彼の頼みを取次いでやればすむわけである。六波羅へも、なんぼなんでも余り、足を絶ち過ぎていた。こんな折こそ、口実にもなる。
源頼朝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「まあ!」と彼女は
気懸
(
きがか
)
りそうに言った、「また恋したのに違いない!」
ジャン・クリストフ:06 第四巻 反抗
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
僕はなんとなくこの机の主のことが
気懸
(
きがか
)
りになった。
階段
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
気
常用漢字
小1
部首:⽓
6画
懸
常用漢字
中学
部首:⼼
20画
“気”で始まる語句
気
気色
気遣
気勢
気持
気質
気障
気配
気味
気高