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明々
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あかあか
ふりがな文庫
“
明々
(
あかあか
)” の例文
眼の早いガラッ八が指さしたのは、朝陽を
明々
(
あかあか
)
と受けて、昨夜から干し忘れたらしい
半纏
(
はんてん
)
が一枚、裏の物干竿に引っかけてあったのです。
銭形平次捕物控:085 瓢箪供養
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
ああいう
敏捷
(
びんしょう
)
な女だから、かえってこっちの裏をかいて、
明々
(
あかあか
)
と
町家
(
ちょうか
)
の灯が往来を照らしている中を、
洒然
(
しゃぜん
)
とあるいているかも知れない。
牢獄の花嫁
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
藍碧の海をへだてて長く
突出
(
つきだ
)
した緑色の岬の端には、眼の醒めるような一群の白堊館が、折からの日差しに
明々
(
あかあか
)
と映えあがる。
死の快走船
(新字新仮名)
/
大阪圭吉
(著)
と
暈
(
ぼか
)
してしまった。燃え盛ると大の字が
明々
(
あかあか
)
と中空に浮いているようで頗る壮観だぜと、
先刻
(
さっき
)
は頻りに提燈を持っていたのに。
ぐうたら道中記
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
狭苦しい置屋の店も
縁起棚
(
えんぎだな
)
に燈明の光が
明々
(
あかあか
)
と照り
栄
(
は
)
えて、お勝手で煮る香ばしいおせちの
臭
(
にお
)
いが入口の方まで臭うている。
うつり香
(新字新仮名)
/
近松秋江
(著)
▼ もっと見る
小夜子はいつものことで、薄暗い中の間で
明々
(
あかあか
)
と燈明のとぼっている仏壇の下にぴったりと坐って、
数珠
(
じゅず
)
を
揉
(
も
)
みながら一心にお経をあげていた。
仮装人物
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
それからもう一つの斑点が、特別な強度をもって、書架の上に飾ってあった一個の骸骨のあたりを、
明々
(
あかあか
)
と染めていた。
誰?
(新字新仮名)
/
モーリス・ルヴェル
(著)
その中に、小さな仮小屋の様な
煙草店
(
たばこみせ
)
があって、まだガラス戸の中に
燈
(
あかり
)
が
明々
(
あかあか
)
とついていたので、そこで尋ねて見ると
妖虫
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
街路
(
みち
)
は八分通り
蔭
(
かげ
)
つて、高声に笑ひ交してゆく二人の、肩から横顔を
明々
(
あかあか
)
と照す傾いた日もモウ左程暑くない。
鳥影
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
ジルベールが真先に立って、
手捜
(
てさぐ
)
りで玄関の鍵穴に合鍵を挿し込んで難なく
扉
(
ドア
)
を開け三人が吸い込まれる様に室内へ入った。客間には瓦斯が
明々
(
あかあか
)
と
点
(
とも
)
っていた。
水晶の栓
(新字新仮名)
/
モーリス・ルブラン
(著)
若しや? と思うと矢も盾も堪らず、
扉
(
ドア
)
を
押開
(
おしひら
)
いて中へ入った。部屋の中には電灯が
明々
(
あかあか
)
と点いていた。そして老子爵は、安楽椅子と一緒に床の上へ倒れている。
海浜荘の殺人
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
そしてどっちを見ても、無暗に頑丈な高塀がつづき、夜空に聳え立つ工場の窓には
明々
(
あかあか
)
と灯がうつり、それを距てた内側で夜業に熱中している職工たちの気配が感ぜられた。
深夜の市長
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
と云う、
髯
(
ひげ
)
、
口許
(
くちもと
)
が
明々
(
あかあか
)
として、
洋燈
(
ランプ
)
を
翳
(
かざ
)
す。
沼夫人
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
実平が、時政を訪れ、時政が常胤を起し、中軍の篝は
俄
(
にわか
)
に
明々
(
あかあか
)
と火の音をはぜ、頼朝の座右には、すでに諸将のすがたが詰め合っていた。
源頼朝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
お品は背後に続く男の乱れた
跫音
(
あしおと
)
と、目の前の地上に
明々
(
あかあか
)
と照らし出された二人の影法師に僅かな安堵を覚えながらそれでも夢中で駈けつづけた。
坑鬼
(新字新仮名)
/
大阪圭吉
(著)
玄関脇の客間風な一室に、いつの間にか
明々
(
あかあか
)
と電燈が点ぜられ、その光が廊下まで流れ出していた。その中から
甲高
(
かんだか
)
い女の声が、漏れ聞えていた。
魔術師
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
その時はもうすっかり暮れて、祭壇上の十六の
灯
(
ひ
)
だけが、
明々
(
あかあか
)
と神秘の光を投げかけております。
銭形平次捕物控:088 不死の霊薬
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
ちょうど、能狂言の終りと共に、あなたこなたは、
明々
(
あかあか
)
と灯に染まり、招かれた客たちは、三の丸、二の丸へとおもいおもいに散って行った。
新書太閤記:11 第十一分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
見るも見すぼらしい人夫すがたの強右衛門は、その中にひきすえられ、
薪
(
まき
)
を加えて、さらに
焔
(
ほのお
)
を新たにした
篝
(
かがり
)
の火に
明々
(
あかあか
)
とその横顔を照らされていた。
新書太閤記:05 第五分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「いや、城内は相かわらずで、深更まで
狭間
(
はざま
)
に
明々
(
あかあか
)
と
燈火
(
ともしび
)
が望まれ、どうかすると
濠水
(
ほりみず
)
に、悠長な
能管
(
のうかん
)
の音や
小鼓
(
こつづみ
)
の鳴りひびいていたりすることもありますが」
新書太閤記:03 第三分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
やがて戦端が開かれたら、谷を囲む南の一峰に、昼は七星旗を立て、夜は七
盞
(
さん
)
の
燈火
(
ともしび
)
を
明々
(
あかあか
)
と掲げよ、司馬懿を引き入れる秘策ゆえ、切に怠らぬようにいたせ。
三国志:11 五丈原の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「四門を開けよ。開け放て。——門々には、水を打ち、
篝
(
かがり
)
を
明々
(
あかあか
)
と焚き、貴人を迎えるごとく清掃せよ」
三国志:11 五丈原の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「ひょんなお訊ねをいたしますが、この道筋に、
明々
(
あかあか
)
と
点
(
とも
)
して起きていたおやしきはございませぬかな」
宮本武蔵:05 風の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
夜もだいぶ
更
(
ふ
)
けているのに、本丸の奥には、
鼓
(
つづみ
)
の音が
冴
(
さ
)
えて聞え、
明々
(
あかあか
)
とまだ燭もかがやいていた。
新書太閤記:05 第五分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
明々
(
あかあか
)
といつか夜明けの雲は
展
(
ひら
)
けている。やがてもう往来も繁かろう。時刻は遅れるのみである。
新編忠臣蔵
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
鐘、
磬
(
けい
)
の音——そして、
明々
(
あかあか
)
と、つぎ直された
灯
(
あか
)
しに、蓮華が、ひらひらと、
撒
(
ま
)
かれていた。
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
毎夜のように、草庵は、
明々
(
あかあか
)
とかがやく灯と、そうした人々の膝でいっぱいに埋められた。
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
夜はまだそう
更
(
ふ
)
けてはいない。本棟の客殿には、なお
明々
(
あかあか
)
と灯がかがやいていた。
梅里先生行状記
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
こう
明々
(
あかあか
)
とした点し灯と人のなかで話していると、話している当人も、実際に出会った時のせつな程の恐怖は消えてしまいましたが、ことばは心と反対に、そのいかにすごかったかを誇張する。
江戸三国志
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
そして別の広間へは、
明々
(
あかあか
)
と燭の数をつらねて、この下屋敷の女中どもを一人残らず居並べておけ!
酒肴
(
しゅこう
)
の用意手早くいたせよ! よいか!
明日
(
あす
)
は
卍
(
まんじ
)
丸の船出ゆえに、別れの宴を
酌
(
く
)
むのである
鳴門秘帖:01 上方の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
気のせいか室内の灯はいつもより
明々
(
あかあか
)
と
戦
(
そよ
)
いでいる。
梅里先生行状記
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
明
常用漢字
小2
部首:⽇
8画
々
3画
“明々”で始まる語句
明々後日
明々地
明々白地
明々喨々
明々白々
明々皎々