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敵手
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あいて
ふりがな文庫
“
敵手
(
あいて
)” の例文
ト跡でお勢が
敵手
(
あいて
)
も無いに独りで
熱気
(
やッき
)
となって
悪口
(
あっこう
)
を並べ立てているところへ、何時の間に帰宅したかフと母親が這入って来た。
浮雲
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
しかしその心中に燃ゆる憤怒の影から彼は新しい
敵手
(
あいて
)
の力量を知った。そしてこれがこの事件の大立物たる事を否定する事は出来なかった。
水晶の栓
(新字新仮名)
/
モーリス・ルブラン
(著)
敵手
(
あいて
)
が刄物を持って居るのを見ては油断が出来ませんから、幸兵衞にひしと組付いて、両手を働かせないように致しました。
名人長二
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
三斎だ! 土部一族だ! そして、その土部一族に使われて、暗殺を引き受けるのは、言うまでもなく、門倉平馬——小梅以来の
敵手
(
あいて
)
であろう。
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
一、
敵手
(
あいて
)
の中の
主立
(
おもだち
)
たる一人は黒田藩の指南番浅川一柳斎と名乗り、五十前後の長身にて、骨柄逞ましき武士なること。
斬られたさに
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
▼ もっと見る
と米は
傍
(
かたわら
)
から押隔てると、
敵手
(
あいて
)
はこれなり、倉は
先
(
せん
)
を取られた上に、今のお懸けなさいましで
赫
(
かッ
)
となっている処。
黒百合
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
元来親方の
敵手
(
あいて
)
でない。その中にお客さんが押しかけ始めた。日曜の朝を利用するのは大抵サラリーマンだ。それも親方が宣伝する通り、相応のところが多い。
求婚三銃士
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
相談の
敵手
(
あいて
)
にもなるまいが
痒
(
かゆ
)
い
脊中
(
せなか
)
は孫の手に頼めじゃ、なよなよとした
其肢体
(
そのからだ
)
を縛ってと云うのでない注文ならば
天窓
(
あたま
)
を
破
(
わ
)
って工夫も
仕様
(
しよう
)
が一体まあどうした
訳
(
わけ
)
か
風流仏
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
けれど右門には、
長兄
(
あに
)
の心が分ってみると、その長兄と恋を争う気にはとてもなれなかった。そういう恋の
敵手
(
あいて
)
がないにしたところで、彼には、彼女へ、面と
対
(
むか
)
って
柳生月影抄
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
敵手
(
あいて
)
に取つて不足なき、敵には
背後
(
うしろ
)
の見せ易く、奥様と三に忍びし一郎の、旦那殿には忍び得で。
誰が罪
(新字旧仮名)
/
清水紫琴
(著)
ぐたぐたとなってしまった
許
(
ばかり
)
ではなく、令嬢の愛が自分にないと知ると、自分の身を犠牲にして、恋の
敵手
(
あいて
)
と云ってもよい高田と、自分の恋人とを、仲介しようとするような
神の如く弱し
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
彼奴
(
かれめ
)
が
敵手
(
あいて
)
とならんこと
覚束
(
おぼつか
)
なし、
妾
(
わらわ
)
夜叉神
(
やしゃじん
)
に一命を
鬼桃太郎
(新字新仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
ト
敵手
(
あいて
)
が
傍
(
そば
)
にでもいるように、真黒になってまくしかける。高い男は先程より、手紙を
把
(
と
)
ッては読かけ読かけてはまた下へ
措
(
お
)
きなどして、さも迷惑な
体
(
てい
)
。
浮雲
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
「おお、いよいよ、御一同、抜かれましたな——が、辻斬りで、年寄り子供を斬るとは、ちがって、お手向いいたす
敵手
(
あいて
)
となると、お気おくれがなさるようで——」
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
己
(
おのれ
)
と死ぬものじゃから其の念を断つ処が出家の修行で、飽く迄も怨む執念を
断
(
き
)
らんければいかん、それに貴様は
幾歳
(
いくつ
)
じゃ、十二や十三の小坊主が、
敵手
(
あいて
)
は剣術遣じゃないか
真景累ヶ淵
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
憎まねばならぬ筈の恋の
敵手
(
あいて
)
とを、仲介しようとする、それでは至純と思われて居た筈の河野の最初の恋までが、イカサマな贋物のように思われるのではないかと雄吉は思った。
神の如く弱し
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
敵手
(
あいて
)
は女じゃありませんか。かわいそうに。私なら弁護を頼まれたってなんだって
管
(
かま
)
やしません。おまえが悪い、ありていに白状しな、と出刃打ちの野郎を
極
(
き
)
め付けてやりまさあ
義血侠血
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
そして選ばれた
敵手
(
あいて
)
を四人まで打ち伏せた。
柳生月影抄
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
較
(
くらべ
)
られては
敵手
(
あいて
)
にあらず。
風流仏
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
敵手
(
あいて
)
を片づけてしまった闇太郎、匕首の血を拭い清めて、別に呼吸も切らしていない。三人を引きうけて、匕首をぐうっと引きつけてかまえた雪之丞のうしろから
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
孝助は
此奴等
(
こいつら
)
は
徒党
(
ととう
)
したのではないかと、
透
(
すか
)
して向うを見ると、
溝
(
どぶ
)
の
縁
(
ふち
)
に今一人
踞
(
しゃが
)
んで居るから、孝助は
予
(
か
)
ねて殿様が教えて下さるには、
敵手
(
あいて
)
の大勢の時は
慌
(
あわ
)
てると怪我をする
怪談牡丹灯籠:04 怪談牡丹灯籠
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
「そもそも
半座
(
はんざ
)
を分けるなどとは、こういう
敵手
(
あいて
)
に
用
(
つか
)
う
易
(
やす
)
い文句じゃないのだ。」
取舵
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
それに女の
児
(
こ
)
はこましゃくれているから、子供でも人の
家
(
うち
)
だと遠慮する。私
一人
(
ひとり
)
威張っていられる。間違って喧嘩になっても、
屹度
(
きッと
)
敵手
(
あいて
)
が泣く。然うすればお
祖母
(
ばあ
)
さんが
謝罪
(
あやま
)
って呉れる。
平凡
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
敵手
(
あいて
)
が倒れてしまった瞬間に、市九郎は我にかえった。
恩讐の彼方に
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
向うへ
対手
(
あいて
)
に廻しては、三味線の
長刀
(
なぎなた
)
、
扇子
(
おうぎ
)
の
小太刀
(
こだち
)
、立向う
敵手
(
あいて
)
の無い、芳町育ちの、一歩を譲るまい、
後
(
おくれ
)
を取るまい、稲葉家のお孝が、清葉ばかりを当の
敵
(
かたき
)
に、引くまい、
退
(
の
)
くまい
日本橋
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
何を云ッても
敵手
(
あいて
)
にならぬのみか、この上手を附けたら雨になりそうなので、さすがの本田も少し持あぐねたところへ、お鍋が呼びに来たから、それを幸いにして奥坐舗へ還ッてしまッた。
浮雲
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
「と、おっしゃって下すった処で、
敵手
(
あいて
)
はお汁粉よ。」
薄紅梅
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
乗り合いはますます
躁
(
さわ
)
ぎて、
敵手
(
あいて
)
なき
喧嘩
(
けんか
)
に狂いぬ。
義血侠血
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
“敵手”の意味
《名詞》
敵手(てきしゅ)
敵の手の中。
相手。ライバル。
(出典:Wiktionary)
敵
常用漢字
小6
部首:⽁
15画
手
常用漢字
小1
部首:⼿
4画
“敵手”で始まる語句
敵手国