)” の例文
御盃台は柳箱やないばこ、松を著け、松に鬚籠ひげこく。夜戌の半刻頃御退出にて、亥刻前施薬院を御立ち、伯元等と亥刻に旅宿へ帰る。
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
その鬼神の楼閣一下して、墻壁となるかと思われしが、また崛起くっきして楼閣を起し、二長瀑をく。右なるは三百尺、左なるは五百尺もやあらん。
層雲峡より大雪山へ (新字新仮名) / 大町桂月(著)
たきもしめざる蘭麝らんじやおのづからかをりて、くや蛺蝶けふてふ相飛あひとべり。蒲柳ほりう纖弱せんじやく羅綺らきにだもがたし。麗娟りけんつね何處いづくにも瓔珞やうらくくるをこのまず。
唐模様 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
また遠望するのも宜しい。同じ人が、日は香爐(峯の名)を照して紫煙を生ず、遙に看る瀑布の長川をくるを、といつてゐるのは遠望の觀賞である。
華厳滝 (旧字旧仮名) / 幸田露伴(著)
その窓をあました南側の壁と向うの北側の壁とには、ほとんど軸のかつてゐなかつた事がない。蔵沢ざうたく墨竹ぼくちく黄興くわうこうの「文章千古事ぶんしやうせんこのこと」と挨拶をしてゐる事もある。
漱石山房の秋 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
身にけたるは、大抵襦袢一枚のみにて、唯だ稀に短き中單チヨキを襲ねたるがまじれり。「ラツツアロオネ」といふ賤民(立坊たちんばうなどの類)の裸裎らていなるが煖きすなに身を埋めて午睡せるあり。
中央の卓の上に置いた虎鬚菖蒲はしょうぶの鉢がまず女の室らしい感じを与えた。そして、両側の柱には四幅の絵をけて、その中間になった処にも何かの神の像を画いた物を挂けてあった。
雷峯塔物語 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
『言はまくもゆゆし畏しけまくもあやに尊きこれの皇神すめがみ』といふのもある。
愛国歌小観 (旧字旧仮名) / 斎藤茂吉(著)
その後いくばくならずして我輩は反対党のために敗北し、同志と共に袖を列ねて冠をけたのである。そこで野に下りたる我輩はまず政治の方面、即ち改進党の組織に力を用ゆることとなった。
東洋学人を懐う (新字新仮名) / 大隈重信(著)
本年十月三日枕山先生、昆渓翁、雪江、蘆洲、柳圃りゅうほ董園とうえんノ諸先輩及釈智仙、琴抱ノ二師ト同ジク有明楼ニ会シともニ絶筆ノ韻ヲ次ギ鵞湖がこ画ク所ノ肖像一幅ヲ壁間ニケ酒肉ヲ供ヘテ奠儀てんぎヲ行フ。
下谷叢話 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
「此牛肉屋もなか/\立派だ。額も油繪をけてゐるね」
貫一は彼等の騒ぐを尻目にけて
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
かる者あり
宮本武蔵:02 地の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
しつに、玉鳳ぎよくほうすゞふくみ、金龍きんりうかうけり。まどくるもの列錢れつせん青瑣せいさなり。しろきからなしあかきすもゝえだたわゝにしてのきり、妓妾ぎせふ白碧はくへきはなかざつて樓上ろうじやうす。
唐模様 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
その窓をあました南側の壁と向うの北側の壁とには、ほとんど軸のかつてゐなかつた事がない。蔵沢ざうたく墨竹ぼくちく黄興くわうこうの「文章千古事ぶんしやうせんこのこと」と挨拶あいさつをしてゐる事もある。
東京小品 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
銅版畫をけつらねたる技藝品鋪の前には、人あまた立てり。その衣にまつはれて錢を得んとするは、乞兒かたゐの群なり。されば車の間を馳せぬくることを厭ひては、こゝを行くべくもあらず。
泣入る宮を尻目にけて
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
西側の壁には安井曽太郎やすゐそうたらうの油絵の風景画が、東側の壁には斎藤与里さいとうより氏の油絵の艸花くさばなが、さうして又北側の壁には明月禅師めいげつぜんじ無絃琴むげんきんと云ふ艸書さうしよ横物よこものが、いづれもがくになつてかつてゐる。
漱石山房の秋 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
裏の木戸口をへだてにて、庭続の隣家の殿、かつて政事をも預りしが行年ここに五十六、我おいたりとかんけて幕のうちひそみたまえど、時々黒頭巾出没して、国五郎という身で人形を使わせらる。
貧民倶楽部 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
西側の壁には安井曾太郎やすゐそうたらう氏の油絵の風景画が、東側の壁には斎藤与里さいとうより氏の油絵の艸花くさばなが、さうして又北側の壁には明月禅師めいげつぜんじ無絃琴むげんきんと云ふ艸書さうしよ横物よこものが、いづれも額になつてかつてゐる。
東京小品 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)