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拱
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こま
ふりがな文庫
“
拱
(
こま
)” の例文
小事に
齷齪
(
あくそく
)
しない手を
拱
(
こま
)
ぬいで、頭の奥で齷齪しているのである。外へ出さないだけが、普通より
品
(
ひん
)
が好いと云って僕は讃辞を呈したく思っている。
彼岸過迄
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
お光達には腕を
拱
(
こま
)
ぬいて立っている大河俊太郎の姿がはっきり見えた。兄はたまらないように「おうい」と叫んだ。
地上:地に潜むもの
(新字新仮名)
/
島田清次郎
(著)
手を
拱
(
こま
)
ねきて蒼穹を察すれば、我れ「我」を
遺
(
わす
)
れて、
飄然
(
へうぜん
)
として、
襤褸
(
らんる
)
の如き「時」を脱するに似たり。
一夕観
(新字旧仮名)
/
北村透谷
(著)
助
(
たす
)
ける事も
出來
(
でき
)
ぬとは兄と
言
(
いは
)
るゝ甲斐も
無
(
なく
)
悔
(
くや
)
し涙が
飜
(
こぼ
)
るゝと手を
拱
(
こま
)
ぬけば弟の十兵衞は
眞實
(
しんじつ
)
ぞと思へばいとゞ氣の
毒
(
どく
)
さに
兄樣
(
あにさん
)
然
(
さ
)
までに御心配下されますな御心切を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
七三郎の巴之丞が、
洛中
(
らくちゅう
)
洛外の人気を
唆
(
そそ
)
って、弥生狂言をも、同じ
芸題
(
だしもの
)
で打ち続けると云う噂を聞きながら、藤十郎は烈しい
焦躁
(
しょうそう
)
と不安の胸を抑えて、じっと思案の手を
拱
(
こま
)
ぬいたのである。
藤十郎の恋
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
▼ もっと見る
錢形平次も腕を
拱
(
こま
)
ぬくばかり、この判じ物は容易に解けさうもありません。
銭形平次捕物控:073 黒い巾着
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
ゆうべの豪雨が此の地方では多量の
雹
(
ひょう
)
を伴っていたため、漸く熟れ出した葡萄の畑という畑がこっぴどくやられ、農夫達は今のところは手を
拱
(
こま
)
ねいて嵐のやむのをただ見守っているのだと云う事が
菜穂子
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
若
(
も
)
し
同車
(
どうしや
)
の
人
(
ひと
)
が
無
(
な
)
かつたら
僕
(
ぼく
)
は
地段駄
(
ぢだんだ
)
を
踏
(
ふ
)
んだらう、
帽子
(
ばうし
)
を
投
(
な
)
げつけたゞらう。
僕
(
ぼく
)
と
向
(
む
)
き
合
(
あ
)
つて、
眞面目
(
まじめ
)
な
顏
(
かほ
)
して
居
(
ゐ
)
る
役人
(
やくにん
)
らしい
先生
(
せんせい
)
が
居
(
ゐ
)
るではないか、
僕
(
ぼく
)
は
唯
(
た
)
だがつかりして
手
(
て
)
を
拱
(
こま
)
ぬいてしまつた。
湯ヶ原より
(旧字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
手を
拱
(
こま
)
ぬけば、吾胸の
泣菫詩抄
(旧字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
したがってこの
昂奮
(
こうふん
)
した青年をどう取り扱っていいかの心得が、僕にまるで無かった事もついでに断っておきたい。僕はただ
茫然
(
ぼうぜん
)
として手を
拱
(
こま
)
ぬいていた。
彼岸過迄
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
平次は腕を
拱
(
こま
)
ぬきました。深沈たる瞳は何を考へて居るでせう。
銭形平次捕物控:217 歎きの幽沢
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
付て居たりし折から
顏色
(
かほいろ
)
も
常
(
つね
)
成
(
なら
)
ず
息
(
いき
)
せきと
立戻
(
たちもど
)
り
突然
(
いきなり
)
二階の小座敷へ
這入
(
はひ
)
りし
容子
(
ようす
)
啻事
(
たゞごと
)
成らずと久八が
裏階子
(
うらばしご
)
より忍び上り
襖
(
ふすま
)
の
陰
(
かげ
)
に
彳
(
たゝず
)
みて
窺
(
うかゞ
)
ひ居るとは夢にも知らず千太郎は
腕
(
うで
)
拱
(
こま
)
ぬき長庵に欺かれて五十兩
騙
(
かた
)
り取れし殘念さよと覺悟を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
僕がこの過失に気がついたのは今から二三年前である。しかし気がついた時はもう遅かった。僕はただなす能力のない手を
拱
(
こま
)
ぬいて、心の
中
(
うち
)
で嘆息しただけであった。
彼岸過迄
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
平次は腕を
拱
(
こま
)
ぬいて考へました。
銭形平次捕物控:003 大盗懺悔
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
惘然
(
もうぜん
)
として煙草の煙を眺めている。恩賜の時計は一秒ごとに約束の履行を
促
(
うな
)
がす。
橇
(
そり
)
の上に力なき身を託したようなものである。手を
拱
(
こま
)
ぬいていれば自然と約束の
淵
(
ふち
)
へ
滑
(
すべ
)
り込む。
虞美人草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
平次は兩腕を
拱
(
こま
)
ぬきました。
銭形平次捕物控:319 真珠太夫
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
拱
漢検1級
部首:⼿
9画
“拱”を含む語句
拱手
腕拱
拱廊
拱揖
斗拱
拱門
手拱
拱手傍観
拱格
老拱
拱黙
拱道
拱路
拱貫
拱衛
拱梁
三拱
拱州
拱居
拱基
...