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慙
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は
ふりがな文庫
“
慙
(
は
)” の例文
さて上に引いた至親の同姓婚を畜生が
慙
(
は
)
じて自害自滅したのが事実ならば、ある動物に羞恥の念ある証としてすこぶる有益だが
十二支考:05 馬に関する民俗と伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
露置く
百合
(
ゆり
)
の花などの
仄
(
ほのか
)
に風を迎へたる如く、その
可疑
(
うたがはし
)
き婦人の
面
(
おもて
)
は
術無
(
じゆつな
)
げに挙らんとして、又
慙
(
は
)
ぢ
懼
(
おそ
)
れたるやうに
遅疑
(
たゆた
)
ふ時
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
ついついそれに言葉がわたった自分というものの
嗜
(
たしな
)
みの浅いことを、
一方
(
ひとかた
)
ならず
慙
(
は
)
じもし、悔いもする心に責められました。
大菩薩峠:30 畜生谷の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
この時の事は
後々
(
のちのち
)
まで渋江の家の一つ話になっていたが、五百は人のその功を称するごとに、
慙
(
は
)
じて席を
遁
(
のが
)
れたそうである。
渋江抽斎
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
王侍御は王給諌がいよいよ自分を中傷しようとするしたがまえだと思ったので、
慙
(
は
)
じると共にひどく恐れて、はっきりと返事をすることができなかった。
小翠
(新字新仮名)
/
蒲 松齢
(著)
▼ もっと見る
ああ
思慮
(
しりょ
)
、
知識
(
ちしき
)
、
解悟
(
かいご
)
、
哲学者
(
てつがくしゃ
)
の
自若
(
じじゃく
)
、それ
将
(
は
)
た
安
(
いずく
)
にか
在
(
あ
)
ると、
彼
(
かれ
)
はひたすらに
思
(
おも
)
うて、
慙
(
は
)
じて、
自
(
みずか
)
ら
赤面
(
せきめん
)
する。
六号室
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
されば褒むるも
貶
(
けな
)
すも、遂に甲斐なき業ならずや。唯だ
訝
(
いぶ
)
かしきは、君はまだ讀まぬ書をいひおとし給ふことの苛酷なることぞといふ。われは心に
慙
(
は
)
ぢて、我詞の全く師の口眞似なるを白状したり。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
客は
慙
(
は
)
じたようなふうであった。客はまた言った。
胡氏
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
その常に
慙
(
は
)
ぢかつ
悔
(
くゆ
)
る一事を責められては、
癒
(
い
)
えざる
痍
(
きず
)
をも
割
(
さか
)
るる心地して、彼は苦しげに
容
(
かたち
)
を
歛
(
をさ
)
め、声をも
出
(
いだ
)
さでゐたり。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
紀州湯浅町の良家の若い妻が盆踊りを見に往きて海岸に
徜徉
(
しょうよう
)
するところを、壮漢数輩
拉
(
らっ
)
して沖の小島へ伴れ行き輪姦せしを本人も一族も
慙
(
は
)
じて
十二支考:08 鶏に関する伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
あゝ
思慮
(
しりよ
)
、
知識
(
ちしき
)
、
解悟
(
かいご
)
、
哲學者
(
てつがくしや
)
の
自若
(
じゝやく
)
、
夫
(
そ
)
れ
將
(
は
)
た
安
(
いづく
)
にか
在
(
あ
)
ると、
彼
(
かれ
)
は
只管
(
ひたすら
)
に
思
(
おも
)
ふて、
慙
(
は
)
ぢて、
自
(
みづか
)
ら
赤面
(
せきめん
)
する。
六号室
(旧字旧仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
小翠は自分の
過
(
あやまち
)
を
慙
(
は
)
じて王夫妻の前へいってあやまった。王はちょうど免官になって不平な際であったから怒って口を
尖
(
とが
)
らして
罵
(
ののし
)
った。小翠も怒って元豊の所へいっていった。
小翠
(新字新仮名)
/
蒲 松齢
(著)
そんな
淫
(
みだら
)
なことに身を過つのを
慙
(
は
)
ずる心の方が強かったからであります。
大菩薩峠:08 白根山の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
純一は
忽
(
たちま
)
ち肌の
粟立
(
あわだ
)
つのを感じた。そしてひどく
刹那
(
せつな
)
の
妄想
(
もうそう
)
を
慙
(
は
)
じた。
青年
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
昨今日本に多い不義にして富みかつ貴き輩の子が父の事を語るを
慙
(
は
)
ずるのあまり、その母は大名の落胤公家の
余孽
(
よげつ
)
だったなど系図に誇るも似た事だ。
十二支考:05 馬に関する民俗と伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
彼等はその無分別を
慙
(
は
)
ぢたりとよりは、この
死失
(
しにぞこな
)
ひし見苦しさを、天にも地にも
曝
(
さら
)
しかねて、
俯
(
ふ
)
しも仰ぎも得ざる
項
(
うなじ
)
を
竦
(
すく
)
め、
尚
(
なほ
)
も為ん方無さの目を閉ぢたり。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
五百がこの有様を夫に話すと、抽斎は栄次郎の同窓で、妻の姉壻たる宗右衛門の身の上を
気遣
(
きづか
)
って、わざわざ横山町へ
諭
(
さと
)
しに往った。宗右衛門は大いに
慙
(
は
)
じて、やや産業に意を用いるようになった。
渋江抽斎
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
五十男は
慙
(
は
)
じ入って下を向いてしまっているのを上人は
大菩薩峠:07 東海道の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
かくて
稽
(
かんが
)
うると
大国主神
(
おおくにぬしのかみ
)
は蛇を
族霊
(
トテム
)
として、他部族の女に通いしが、蛇を族霊とする部族の男と明かすを聞いて女驚くを見、
慙
(
は
)
じて絶ち去ったと見える。
十二支考:04 蛇に関する民俗と伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
新婦の房に入らんとて
恭
(
うやうや
)
しく座を起たんとし、一発高く屁を
放
(
ひ
)
ってけり。衆客彼
慙
(
は
)
じて自殺せん事を恐れ、相顧みてわざと大声で雑談し以て聞かざる真似した。
十二支考:05 馬に関する民俗と伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
また中士の作法を問うと耳を捉えると答えた、下士虎を殺さば
如何
(
どう
)
すると問うと、虎の尾を捉えると答えたので子路自分の下士たるを
慙
(
は
)
じ尾を出して棄てたとある。
十二支考:01 虎に関する史話と伝説民俗
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
慙
(
は
)
じて蛇になった例は、陸前佐沼の城主平直信の妻、佐沼御前
館
(
やかた
)
で働く大工の美男を
見初
(
みそ
)
め、夜分
閨
(
ねや
)
を出てその小舎を尋ねしも見当らず、内へ帰れば戸が鎖されいた。
十二支考:04 蛇に関する民俗と伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
衆人これを聴いて大いに
慙
(
は
)
じ入り、会飲の
後
(
のち
)
将軍を取り囲みその舎を焼かんとす。いわく婦女嫁入り前に必ずすべて汝に辱しめらるるはどうも
堪忍
(
かんにん
)
ならぬ故、汝を焼き殺すべしと。
十二支考:08 鶏に関する伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
慙
漢検1級
部首:⼼
15画
“慙”を含む語句
慙愧
無慙
冷酷無慙
慙恚
慙恨
慙謝
慙死
酷薄無慙
羞慙
破戒無慙
着靴者慙謝
無慙至極
我執無慙
慙汗憤涙
乱倫無慙
慙懼
慙愧叩頭
慙入
兇悪無慙