怖々こは/″\)” の例文
やすいきを入て居けるゆゑ怖々こは/″\前へ行先生只今の者に能々うけたまはりし處熊谷にて御世話になりたる者のよしに候と云ば後藤は是を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
怖々こは/″\時の經つのを待つてゐるから、あの部屋のあたりには人目が無い上に、自分は何の關係も無いことを他の人に見せ付けて置くことが出來る。
(與助は猿を縁におろして、怖々こは/″\ながら留めようとしてゐると、上のかたより願人坊主の雲哲と願哲は商賣に出る姿にて、住吉踊の傘をかつぎて出で、これを見て騷ぐ。)
権三と助十 (旧字旧仮名) / 岡本綺堂(著)
まあ、おそろしいところからくらゐはなれたらうとおもつて怖々こは/″\振返ふりかへると、ものの五尺ごしやくとはへだたらぬわたし居室ゐま敷居しきゐまたいで明々地あからさま薄紅うすくれなゐのぼやけたきぬからまつて蒼白あをじろをんなあしばかりが歩行あるいてた。
怪談女の輪 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
葱を伏せつつ、怖々こは/″\うねたかみを凝視みつめゆく
東京景物詩及其他 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
「何か御用?」と、怖々こは/″\いた。
(二人は腹をかゝへて笑ふ。加賀は怖々こは/″\ながら透してみる。)
能因法師 (旧字旧仮名) / 岡本綺堂(著)
怖々こは/″\飛んで歸つたので、氣が付かなかつたことでせう」
見ればてつがねにて四尺ばかりも有んかと思はれしかにぎふとなる禪杖なり因て下男彌助は戰々ぶる/\ふるへながら心のうちには是は何でも盜賊のかしらに相違なしたしかに今の駕籠舁かごかきどもの仲間ならん飛だ奴が這入はひりこんだと思ひ怖々こは/″\ながらこし
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
お靜は怖々こは/″\入口の障子を開けると
申立るにぞ原田はじめ一同笑ひに堪兼たへかねもう宜々よい/\林藏がもどり次第に早々さう/\しらせろコリヤ家主いへぬし嘉右衞門林藏が歸りしならば早速さつそく同道どうだうせよと申付られ引取所ひきとるところへ林藏は立戻たちもどりし故に家主いへぬし嘉右衞門は林藏にかくと申きけければ林藏は何事なにごとやらんと怖々こは/″\ながら其所そこへ出れば町方まちかた役人村役人二人共附添つきそひ手先てさきの者は立働たちはたらき一どう居並ゐならんで居る故只きも
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)