影響えいきょう)” の例文
先生は、あるいは、昨日の入塾式における平木中佐の影響えいきょうから、できるだけ早く塾生たちを救い出そうとしていられるのかもしれない。
次郎物語:05 第五部 (新字新仮名) / 下村湖人(著)
クリストフがいる小さなまちを、ある晩、流星りゅうせいのように通りすぎていったえらい音楽家おんがくかは、クリストフの精神せいしんにきっぱりした影響えいきょうを与えた。
ジャン・クリストフ (新字新仮名) / ロマン・ロラン(著)
教場のしくじりが生徒にどんな影響えいきょうあたえて、その影響が校長や教頭にどんな反応をていするかまるで無頓着むとんじゃくであった。
坊っちゃん (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
わたしちちわたし立派りっぱ教育きょういくあたえたです、しかし六十年代ねんだい思想しそう影響えいきょうで、わたし医者いしゃとしてしまったが、わたしがもしそのときちちとおりにならなかったなら
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
自然界の平衡状態イクイリプリアム試験管内しけんかんない科学的かがくてき平衡へいこうのような簡単かんたんなものではない。ただ一種の小動物だけでも、その影響えいきょうおよぶところははかり知られぬ無辺むへん幅員ふくいんをもっているであろう。
蛆の効用 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
横浜の貿易に非常の影響えいきょうこうむらざるを得ず、すなわち外人の恐惶きょうこうもよおしたる所以ゆえんにして、彼等の利害上、内乱ないらん干渉かんしょうしてますますその騒動を大ならしむるがごときおもいもらず
春琴女が後年のはげしい気象を見ればあるいはそういう事実が性格に影響えいきょうを及ぼしたのかともさいせられなくはないがこの事に限らず検校の説には春琴女の不幸をなげくあまり知らずらず他人を
春琴抄 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
それにこの土地に滞在してからまだ一週間かそこいらにしかならないけれど、この高原の初夏の気候が早くも私の肉体の上にも精神の上にも或る影響えいきょうあたえ出していることはいなめなかった。
美しい村 (新字新仮名) / 堀辰雄(著)
新聞なるものゝ平気にうそをつく事をまだよく知らぬ人達の間には大分影響えいきょうしたと見え、見舞やら問合せの手紙はがきなどいくらか来て、余は自身で自身の正気を保証ほしょうす可く余儀なくされた。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
サンムトリがその影響えいきょうを受けて火柱高く第二の爆発ばくはつをやりました。
ドノバンの呼吸は微弱びじゃくである、もしはい影響えいきょうするとだいじになる。
少年連盟 (新字新仮名) / 佐藤紅緑(著)
今の日本では、青年たちは、何といったって、軍からの影響えいきょうを最も多く受けやすいし、そう簡単にはわれわれのいうことを受け付けないだろう。
次郎物語:05 第五部 (新字新仮名) / 下村湖人(著)
その男というのは、ほかの人に影響えいきょうあたえるなどとは自分でも思っていなかったし、たれても平凡へいぼん人間にんげんだった。——それはクリストフの母親ははおやルイザの兄だった。
ジャン・クリストフ (新字新仮名) / ロマン・ロラン(著)
元来中学の教師なぞは社会の上流にくらいするものだからして、単に物質的の快楽ばかり求めるべきものでない。その方にふけるとつい品性にわるい影響えいきょうを及ぼすようになる。
坊っちゃん (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
時計とけいる。アンドレイ、エヒミチは椅子いす倚掛よりかかりげて、じてかんがえる。そうしていまんだ書物しょもつうち面白おもしろ影響えいきょうで、自分じぶん過去かこと、現在げんざいとにおもいおよぼすのであった。
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
その一つ一つに何等なんらかの意味を見出そうと努力するようになったのも、主としてこの言葉の影響えいきょうだったのである。
次郎物語:05 第五部 (新字新仮名) / 下村湖人(著)
そんなふうに、彼はすっかりあまやかされてだめになるところだった。しかしさいわいなことに、彼はまれつきかしこ性質せいしつだったので、ある一人の男のよい影響えいきょうをうけてすくわれた。
ジャン・クリストフ (新字新仮名) / ロマン・ロラン(著)
ああいう社会にああ用いればああいう影響えいきょうがあると呑み込むだけの見識を養成するばかりでなく、その見識に応じて、責任をもってわが富を所置しなければ、世の中にすまないと云うのです。
私の個人主義 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)