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安宅
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あたか
ふりがな文庫
“
安宅
(
あたか
)” の例文
「これは」と思って眼をやると、対岸
安宅
(
あたか
)
町の方角で、飛び廻っている御用
提灯
(
ちょうちん
)
! しかも五つ六つではない、二十三十乱れている。
剣侠受難
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
謡曲の
中
(
うち
)
でも比較的芝居がかりに出来ている
鉢
(
はち
)
の
木
(
き
)
、
安宅
(
あたか
)
等ですら、
処々
(
しょしょ
)
三四行
乃至
(
ないし
)
十四行
宛
(
ずつ
)
要領の
得悪
(
えにく
)
い文句が挿まっていて
謡曲黒白談
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
その時私はひょっくりミッション・スクール時代のお友達で、今は知名のピアニストになっていられる
安宅
(
あたか
)
さんにお会いした。
楡の家
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
「曲者は
安宅
(
あたか
)
の弁吉ですよ。やくざ者だが
小太刀
(
こだち
)
の名人で、自分の腕に慢じて、武家の髷などを切って見度くなったんですね」
銭形平次捕物控:174 髷切り
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
蓑
(
みの
)
の
外
(
ほか
)
に、ばんどりとて
似
(
に
)
たものあり、
蓑
(
みの
)
よりは
此
(
こ
)
の
方
(
はう
)
を
多
(
おほ
)
く
用
(
もち
)
ふ。
磯
(
いそ
)
一峯
(
いつぽう
)
が、(こし
地
(
ぢ
)
紀行
(
きかう
)
)に
安宅
(
あたか
)
の
浦
(
うら
)
を一
里
(
り
)
左
(
ひだり
)
に
見
(
み
)
つゝ、と
言
(
い
)
ふ
處
(
ところ
)
にて
寸情風土記
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
▼ もっと見る
手取川
(
てどりがわ
)
、
打越
(
うちこし
)
、
安宅
(
あたか
)
などいたる処の敵を追い、また敵の援護となる部落を焼きたてて、
金津
(
かなつ
)
の先まで進出したときである。
新書太閤記:05 第五分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
おりつは恐ろしさのあまり逃げ帰ったが、すると佐太郎が掛合にいき、どう話をつけたものか、こんどは本所
安宅
(
あたか
)
の、岡場所の一軒へ奉公にやられた。
赤ひげ診療譚:08 氷の下の芽
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
拝聴
仕
(
つかまつ
)
ろうじゃないか。今大変なところだよ。いよいよ露見するか、しないか危機一髪と云う
安宅
(
あたか
)
の
関
(
せき
)
へかかってるんだ。——ねえ寒月君それからどうしたい
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
どんなに美味しい与兵衛や
安宅
(
あたか
)
の寿司を提供したとてお客は元来蕎麦を食べにきたのだから満足はしない、いわんやそれが私という未熟な駄寿司たるにおいておや。
わが寄席青春録
(新字新仮名)
/
正岡容
(著)
先生の横っ面をぴしゃりと
食
(
くら
)
わせるというようなことは、米友として前例のない手厳しさであるが、米友としては、
安宅
(
あたか
)
の弁慶の故智を学んだわけでもあるまいが
大菩薩峠:36 新月の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
駒形
(
こまかた
)
の渡し、富士見の渡し、
安宅
(
あたか
)
の渡しの三つは、しだいに一つずつ、いつとなくすたれて、今ではただ一の橋から浜町へ渡る渡しと、
御蔵橋
(
みくらばし
)
から須賀町へ渡る渡しとの二つが
大川の水
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
けれども友人の
舌鋒
(
ぜっぽう
)
は、いよいよ鋭く、周囲の情勢は、ついに追放令の一歩手前まで来ていたのである。この時にあたり、私は窮余の一策として、かの
安宅
(
あたか
)
の
関
(
せき
)
の
故智
(
こち
)
を思い浮べたのである。
服装に就いて
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
「深川
安宅
(
あたか
)
町大口横町すず」というのが一つ。
右門捕物帖:29 開運女人地蔵
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
「こいついよいよ関所だわえ。
安宅
(
あたか
)
の関なら
富樫
(
とがし
)
だが鼓ヶ洞だから多四郎か。いや
睨
(
にら
)
みの
利
(
き
)
かねえ事は。……あいあい
某
(
それがし
)
一人にて候」
八ヶ嶽の魔神
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
「曲者は
安宅
(
あたか
)
の辨吉ですよ。やくざ者だが
小太刀
(
こだち
)
の名人で、自分の腕に慢じて、武家の髷などを切つて見度くなつたんですね」
銭形平次捕物控:174 髷切り
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
安宅
(
あたか
)
の関の古蹟とともに、実盛塚は名所と聞く。……が、私は今それをたずねるのではなかった。
小春の狐
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
渡し賃が
要
(
い
)
るならくれてやらあ、手前たちは渡し賃を貰って人を渡しさえすりゃいいんだろう、通すの通さねえの、
安宅
(
あたか
)
の関の弁慶みたいなごたいそうなことを言うない
大菩薩峠:11 駒井能登守の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
こんど完成した二の丸御殿の舞台で、こけら落しとかいう、江戸から
観世
(
かんぜ
)
一座が呼ばれ、殿さまも
安宅
(
あたか
)
の弁慶をおつとめになる
演能
(
えんのう
)
に、寄合以上の者が家族といっしょに拝見を許された。
合歓木の蔭
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
俺は最初幾松が臭いと思つたが、高瀬舟や
安宅
(
あたか
)
長屋に潜つてゐちや人殺しはできない。万一そんなことが知れちや、お
店
(
たな
)
者は一代の恥つかきだ。
銭形平次捕物控:105 刑場の花嫁
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
鰐
(
わに
)
の口の
安宅
(
あたか
)
をのがれ、
倶利伽羅
(
くりから
)
の竜の背を越えて、四十八瀬に日を数えつつ、直江の津のぬしなき舟、朝の嵐に
漾
(
ただよ
)
って、佐渡の島にも
留
(
とど
)
まらず、白山の
嶽
(
たけ
)
の風の激しさに
河伯令嬢
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
安宅
(
あたか
)
の関では弁慶の忠義、やっと
関守
(
せきもり
)
をたぶらかし、脱け出すことは出来ましたものの、落ち行く先は
辺鄙
(
へんぴ
)
の奥地、ろくなたべ物とてはありますまいし、ろくなお
伽
(
とぎ
)
衆とてもありますまいし
あさひの鎧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
雪嶺先生の勉強時間を、なるべくさまたげないためで、この
安宅
(
あたか
)
の
関
(
せき
)
を首尾よく越えると、応接間である。
胡堂百話
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
北の海なる
海鳴
(
うみなり
)
の鐘に似て凍る時、音に聞く……
安宅
(
あたか
)
の関は、この
辺
(
あたり
)
から海上三里、弁慶がどうしたと? 石川県
能美郡
(
のみごおり
)
片山津の、
直侍
(
なおざむらい
)
とは、こんなものかと、客は
広袖
(
どてら
)
の襟を
撫
(
な
)
でて
鷭狩
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
一人は能の
安宅
(
あたか
)
の弁慶、兜巾をいただき、
篠懸
(
すずかけ
)
をかけ、大口を穿き金剛杖をついて、威風堂々たる人物であり、一人はこれも羽衣へ出る、腰簑をつけた
瀟洒
(
しょうしゃ
)
とした漁夫で、手に櫂を持っており
血煙天明陣
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
安宅
(
あたか
)
の辨吉、
小人
(
こびと
)
三次郎などはどうでせう。辨吉は小太刀をよく使ふさうで、仲間では評判の腕きゝですよ。小人三次郎は橋場の家に弟子を取つて、
柔術
(
やはら
)
の稽古を
銭形平次捕物控:174 髷切り
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
加賀の
安宅
(
あたか
)
の方から、きまって、尼さんが二人づれ、毎年のように
盂蘭盆
(
うらぼん
)
の頃になると行脚をして来て、村里を流しながら唄ったので、ふしといい、唄といい、里人は皆涙をそそられた。
雪柳
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「冬次郎様にも
安宅
(
あたか
)
の弁慶の、変装のもとに忍び込んでおられる」
血煙天明陣
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
安宅
(
あたか
)
の弁吉、
小人
(
こびと
)
三次郎などはどうでしょう。弁吉は小太刀をよく使うそうで、仲間では評判の腕ききですよ。小人三次郎は橋場の家に弟子を取って、
柔術
(
やわら
)
の稽古を
銭形平次捕物控:174 髷切り
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
「覚えておれ、鳥居前は
安宅
(
あたか
)
の関だ。」
照葉狂言
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
今にも
磔柱
(
はりつけ
)
を背負はせるやうに
脅
(
おど
)
かして、ようやく白状させましたよ——本所の
安宅
(
あたか
)
長屋で丸太(
船比丘尼
(
ふなびくに
)
)を相手してゐちや、幾松口がきけないのも無理はありません。
銭形平次捕物控:105 刑場の花嫁
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
今にも
磔柱
(
はりつけ
)
を背負わせるように
脅
(
おど
)
かして、ようやく白状させましたよ——本所の
安宅
(
あたか
)
長屋で丸太(
船比丘尼
(
ふなびくに
)
)を相手にしていちゃ、幾松口がきけないのも無理はありません。
銭形平次捕物控:105 刑場の花嫁
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
六七人集めて、
安宅
(
あたか
)
の弁吉と
小人
(
こびと
)
の三次郎と、俵右門とを見張らせてくれ。昼は要らない。夜だけだ。三人は何処へも出ないのに、髷切りがまだ続くようなら、考え直さなきゃならない
銭形平次捕物控:174 髷切り
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
六七人集めて、
安宅
(
あたか
)
の辨吉と
小人
(
こびと
)
の三次郎と、俵右門とを見張らせてくれ。晝は要らない、夜だけだ。三人は何處へも出ないのに、髷切りがまだ續くやうなら、考へ直さなきやならない
銭形平次捕物控:174 髷切り
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
その晩平次と八五郎は
安宅
(
あたか
)
に飛んで、
船比丘尼
(
ふなびくに
)
のおえのを搜しました。
銭形平次捕物控:105 刑場の花嫁
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
その晩平次と八五郎は
安宅
(
あたか
)
に飛んで、
船比丘尼
(
ふなびくに
)
のおえのを捜しました。
銭形平次捕物控:105 刑場の花嫁
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
“安宅”の意味
《名詞》
心配なく安心して身を置ける場所。
仁道。
(出典:Wiktionary)
安
常用漢字
小3
部首:⼧
6画
宅
常用漢字
小6
部首:⼧
6画
“安宅”で始まる語句
安宅丸
安宅町
安宅蔵
安宅鮓
安宅河岸
安宅真一