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好
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かう
流水豈心なからんや。
言を
交すと、
祕さず
名を
言つた。お
好ちやんの
語る
處によれば、
若後家だ、と
云ふ。
若旦那思ふ
壺。
十
數年來浪を
枕に
世を
渡る
水夫共も
未曾有の
好航海だと
語つた
程で、
從て
其間には
格別に
記す
程の
事もない。
そゞろ
身にしみて、
春の
夕の
言の
契は、
朧月夜の
色と
成つて、
然も
桃色の
流に
銀の
棹さして、お
好ちやんが、
自分で
小船を
操つて、
月のみどりの
葉がくれに、
若旦那の
別業へ
通つて
來る
此の
美女、
姓は
胡で、
名はお
好ちやんと
云ふ。