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ものずき
ふりがな文庫
“
好事
(
ものずき
)” の例文
ちっと変った処で、
好事
(
ものずき
)
に過ぎると云う方もございましょう。何しろ片寄り過ぎますんで。しかし実は席を
極
(
き
)
めるのに困りました。
吉原新話
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
麦倉邸のまえには
好事
(
ものずき
)
の村の男が日夜に群集するので、村役人は農事の妨げになると云って其の門前へ掲示をだした。
魔王物語
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
甲田さんも随分
好事
(
ものずき
)
な事をする人ですなあ。乞食してゐて五十銭も貰つたら、俺だつて歩くのが
可厭
(
いや
)
になりますよ。
葉書
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
古来、田舎にて
好事
(
ものずき
)
なる親が、子供に漢書を読ませ、四書五経を勉強する間に浮世の事を忘れて、変人奇物の評判を成し、生涯、身を持て余したる者は、はなはだ少なからず。
小学教育の事
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
「もウ咄したか、まだ咄さぬか」と思えば胸も落着かず、
臆病
(
おくびょう
)
で
好事
(
ものずき
)
な眼を
額越
(
ひたえごし
)
にそッと親子へ注いでみればお勢は澄ました顔、お政は意味の無い顔、……咄したとも付かず、咄さぬとも付かぬ。
浮雲
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
▼ もっと見る
けれども
潟
(
かた
)
の事だから川よりは平穏だから、
万一
(
まさか
)
の事もあるまい、と
好事
(
ものずき
)
な
連中
(
れんじゅう
)
は乗ッていたが、
遁
(
に
)
げた者も四五人は
有
(
あ
)
ッたよ。
取舵
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
この言葉は、
甚
(
ひど
)
く甲田の心を害した。たとひ對手が何にしろ、旅をして困つてる者へ金を呉れるのが何が
好事
(
ものずき
)
なものかと思つたが、たゞ苦笑ひをして見せた。
葉書
(旧字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
つむじ曲りが、
娑婆気
(
しゃばっけ
)
な、わざと
好事
(
ものずき
)
な吾妻下駄、霜に寒月の冴ゆる
夜
(
よ
)
の更けて帰る千鳥足には、殊更に音を立てて、カラカラと板を踏む。
日本橋
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
この言葉は、
甚
(
ひど
)
く甲田の心を害した。たとへ対手が何にしろ、旅をして困つてる者へ金を呉れるのが何が
好事
(
ものずき
)
なものかと思つたが、ただ苦笑ひをして見せた。
葉書
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
青年は、
好事
(
ものずき
)
にも、わざと自分の腰をずらして、今度は
危気
(
あぶなげ
)
なしに両手をかけて、
揺籠
(
ゆりかご
)
のようにぐらぐらと遣ると
婦系図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
甲田さんも隨分
好事
(
ものずき
)
な事を
葉書
(旧字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
世に
推事
(
おしごと
)
というは出来ぬもので、これがな、腹に底があってした事じゃと、うむと
堪
(
こら
)
えるでござりましょうが、
好事
(
ものずき
)
半分の
生兵法
(
なまびょうほう
)
、
豪
(
えら
)
く汗を
掻
(
か
)
きました。
星女郎
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「お縁側が昔のままでございますから、
旧
(
もと
)
は
好事
(
ものずき
)
でこんなに仕懸けました。
鶯張
(
うぐいすばり
)
と申すのでございますよ。」
黒百合
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
愚僧は
好事
(
ものずき
)
——お行者こそ御苦労な。江戸まで、あの荷物を
送
(
おくり
)
と見えます。——
武士
(
さむらい
)
は何とした、
心
(
しん
)
が
萎
(
な
)
えて、手足が
突張
(
つっぱ
)
り、
殊
(
こと
)
の
外
(
ほか
)
疲れたやうに見受けるな。
妖魔の辻占
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
と笑いながら幹事が最初
挨拶
(
あいさつ
)
した、——それは、神田辺の沢岡という、雑貨店の
好事
(
ものずき
)
な主人であった。
吉原新話
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
いや、その儀なら
仔細
(
しさい
)
はござらん、またどこの
好事
(
ものずき
)
じゃと申して、そんな峠へ別荘でもござりますまい。……まず理窟は
措
(
お
)
いて、誰だか買主が分らぬでございます。
星女郎
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
夥間
(
なかま
)
の友だちが話しました事を、——その大木戸向うで、蝋燭の
香
(
におい
)
を、
芬
(
ぷん
)
と
酔爛
(
よいただ
)
れた、ここへ、その脳へ差込まれましたために、ふと
好事
(
ものずき
)
な心が、火取虫といった形で
菎蒻本
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
で、思い思いではあるけれども、
各自
(
めいめい
)
暗がりの中を、こう、……不気味も、
好事
(
ものずき
)
も、負けない気も
交
(
まじ
)
って、その
婆々
(
ばばあ
)
だか、
爺々
(
じじい
)
だか、
稀有
(
けぶ
)
な
奴
(
やつ
)
は、と透かした。が居ない……
吉原新話
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
と
好事
(
ものずき
)
に
蹲込
(
しゃがみこ
)
んで、溝板を取ろうとする、め組は手品の玉手箱の
蓋
(
ふた
)
を開ける手つきなり。
婦系図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
風説
(
うわさ
)
の通り、あの峠茶屋の買主の、どこのか
好事
(
ものずき
)
な御令嬢が
住居
(
すまい
)
いたさるるでも理は聞える。よしや事あるにもせい、いざと云う時に
遁出
(
にげだ
)
しましても
可
(
よ
)
さそうなものじゃったに……
星女郎
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
その近処の病家へ
行
(
ゆ
)
きました時に、
其家
(
そこ
)
の作男が、沼を通りがかりに見て来たって、話したもんですから、
夫
(
やど
)
が
貴下
(
あなた
)
、
好事
(
ものずき
)
にその男を連れて帰りがけに、
廻道
(
まわりみち
)
をして、内の
車夫
(
わかいしゅ
)
に手伝わして
沼夫人
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
好事
(
ものずき
)
さ、
好事
(
ものずき
)
で、変つた話でもあつたら聞かう、不思議なことでもあるなら見ようと思ふばかり、しかしね、其を
見聞
(
みき
)
くにつけては、どんな又
対手
(
あいて
)
に不心得があつて、
危険
(
けんのん
)
でないとも限らぬから
二世の契
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
お
媼
(
ばあ
)
さん、
風説
(
うわさ
)
を知りつゝ
恁
(
こ
)
うやつて一人で来た位だから、打明けて云ひます、見受けた
処
(
ところ
)
、君は何だ、様子が
宛然
(
まるで
)
野の
主
(
ぬし
)
とでもいふべきぢやないか、何の
馬鹿々々
(
ばかばか
)
しいと思ふだらうが、
好事
(
ものずき
)
です
二世の契
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
と紋床も
好事
(
ものずき
)
なり、ばりかんを持ったままで仕事の最中。
三枚続
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
“好事”の意味
《名詞》
好 事 (こうじ, こうず)
(こうじ)喜ばしいこと、幸先が良いこと。
(こうじ)善い行い。善行。
(こうず)風変わりなものを好むこと。物好きであること。
(出典:Wiktionary)
好
常用漢字
小4
部首:⼥
6画
事
常用漢字
小3
部首:⼅
8画
“好事”で始まる語句
好事家
好事者
好事癖
好事心
好事的
好事魔
好事多端