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奧座敷
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おくざしき
合點行ずと
考へ居るに又々
後からも女共が來り旦那樣
變な客人で御座ります
奧座敷が明て居ますから御通りなされ御酒にしますか御膳を
夜はやゝ
更けた。はなれの
十疊の
奧座敷は、
圓山川の
洲の
一處を
借りたほど、
森閑ともの
寂しい。
二三尺、
今度は——
荒庭の
飛石のやうに、
包んだまゝの
荷がごろ/\して
居る。
奧座敷へ
侵入した。——
此を
思ふと、いつもの
天井を
荒𢌞るのなどは、ものの
數ではない。
見兼たりけん客人には餘程
草臥しと見えたり
遠慮なく
勝手に休み給へ今に家内の者共が
大勢歸り來るが
態々起て
挨拶には及ばず明朝まで
緩りと
寢れよ
夜具は
押入に
澤山ありどれでも勝手に着玉へ
枕は
鴨居の上に
幾許もありいざ/\と進めながら
奧座敷は
差支へ有れば是へは
猥りに
這入給ふな此儀は
小庭を
隔てた
奧座敷で
男女打交りのひそ/\
話、
本所も、あの
餘り
奧の
方ぢやあ
私厭アよ、と
若い
聲の
媚めかしさ。
旦那業平橋の
邊が
可うございますよ。おほゝ、と
老けた
聲の
恐しさ。