墓穴はかあな)” の例文
わしだんずることも出來でけうずれ、このやうに頭髮かみのけ掻毟かきむしって、ま此樣このやう地上ぢびたたふれて、まだらぬ墓穴はかあなしゃくることも出來でけうずれ!
墓穴はかあなのすみのほうから一ぴきのヘビがはいだしてきて、おきさきさまのなきがらのほうへ近よっていきました。
みづか穿うがちてりし白き墓穴はかあなよりふみまゐらせさふらふおん別れ致してみづからを忘れりしに船は動きめしにさふらふわたくしの気附きさふらひしもまこと一二時間ののちさふらひけん。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
西風にじょうじて火をはなたば、前方のけん城兵じょうへい墓穴はかあな、とりでも自滅じめつのほかはあるまいと思うがいかに
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
その時、私はどうしても、墓穴はかあなから出て来たのだとは、言うことができませんでした。もしも、もとのところへつれ返されたら、大へんだと思ったものですから。……それで
南海岸なんかいがんのどこかで発見した墓穴はかあなの話しに、ある光を投ずるにちがいないと私は考えますが、そうじゃありませんか? もちろん、ブライトンはビザンティンからはたいぶはなれております。
二人共墓穴はかあなをくゞつて平等に——ありのまゝに神さまの御前に立つたやうに!
やりそこねて、軍隊へ送り込まれるような真似をやらないように気をつけるがいい。ヨーロッパ行きならいいが、そういう場合は決って太平洋だからな。それは自分で墓穴はかあなへ旅行するようなもんだよ
諜報中継局 (新字新仮名) / 海野十三(著)
そして、バタンという音がしたかと思うと、あとは墓穴はかあなのような、暗やみにとざされてしまいました。それは、ほんとうの明智探偵が悪人をとらえるためにつくっておいた、落とし穴だったのです。
鉄塔の怪人 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
天地間てんちかん最早もはや小山某こやまなにがしといふかきの書生しよせいなくなる! とぼくおもつたときおもはずあしとゞめた。あたまうへ眞黒まつくろしげつたえだからみづがぼた/\ちる、墓穴はかあなのやうな溪底たにそこではみづげきしてながれるおとすごひゞく。
湯ヶ原より (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
生きた墓穴はかあな
ロレ 南無なむやフランシス上人しゃうにんまもらせられい! はれ、けったいな、今宵こよひこの老脚らうきゃくいくたび墓穴はかあな蹉躓けつまづいたことやら!……れぢゃ、そこにゐるのは?
ロレ なりゃ墓穴はかあなまで一しょにおじゃれ。