坊主頭ばうずあたま)” の例文
暫くすると戸口が細目にいた。内からのぞいたのは坊主頭ばうずあたまの平八郎である。平八郎は捕手とりてと顔を見合せて、すぐに戸を閉ぢた。
大塩平八郎 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
時々とき/″\さむかぜて、うしろから小六ころく坊主頭ばうずあたまえりあたりおそつた。其度そのたびかれさらしのえんから六でふなかみたくなつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
天滿與力てんまよりきは、ふとぼうなにかでむねでもかれたやうに、よろ/\としながら、無念氣むねんげ玄竹げんちく坊主頭ばうずあたまにらけたが、『多田院御用ただのゐんごよう』の五文字いつもじは、惡魔除あくまよけの御符ごふうごと
死刑 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
しきりに水をかぶつてゐる坊主頭ばうずあたま、竹の手桶と焼物の金魚とで、余念なく遊んでゐる虻蜂蜻蛉あぶはちとんぼ、——狭い流しにはさう云ふ種々雑多な人間がいづれも濡れた体をなめらかに光らせながら
戯作三昧 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
さきつたのはねずみであらう、夜目よめにはもやつてなやした、被布ひふのやうなものを、ぐたりとて、ふちなしの帽子ばうしらしい、ぬいと、のはうづにたかい、坊主頭ばうずあたまのまゝとふのをかぶつた
三人の盲の話 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
くら便所べんじよからて、手水鉢てうづばちみづけながら、不圖ふとひさしそと見上みあげたときはじめてたけことおもした。みきいたゞきこまかなあつまつて、まる坊主頭ばうずあたまやうえる。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)