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地平線上
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ちへいせんじやう
先驅の
光が
各自の
顏を
微明るくして
日が
地平線上に
其の
輪郭の一
端を
現はさうとする
時間を
誤らずに
彼等は
揃つて
念佛を
唱へる
筈なので
……
山も
地平線上に
遠霞んで、
荒涼たる
光景が
恰も
欄干で
絞つて、
網を
十をばかり、ぱつと
捌いて
大きく
投げて、
末を
廣げたのに
譬たのだらう。と、
狼狽へて
居たのである。
若し、
水天一碧の
地平線上、
團々たる
黒烟先づ
見え、つゞゐて
白色の
新式巡洋艦現はれ、それと
共に、
龍の
如く、
鯱の
如き
怪艇の
水煙を
蹴つて
此方に
向ふを
見ば、
請ふ、
旗ある
人は
旗を
振り
エヒミチは
窓の
所に
立つて
外を
眺むれば、
日はもうとツぷりと
暮れ
果てゝ、
那方の
野廣い
畑は
暗かつたが、
左の
方の
地平線上より、
今しも
冷たい
金色の
月が
上る
所、
病院の
塀から百
歩計りの
處に